京都の水無月

京都の水無月

 





暑さ厳しい夏のプロローグ。
着るものも家も町も夏仕様に「衣替え」し、暑気払いに決まりのお菓子をいただきます。

6月に入ると、暦の上ではもう夏です。
きものは袷から単衣に衣替えします。
そして京都の町も、いっせいに夏仕様に「衣替え」をします。



 

 

店先ののれんが茶色から白に変えられたり、町家では御簾や簾が下げられます。
京都の夏は暑いので、少しでも涼しく過ごそうと、人々は昔からいろいろな工夫をしてきました。

京都の夏の風物詩の床もその一つです。
鴨川の河原に張り出して造られた床。
涼やかな風に吹かれて床の上から、きらきらと輝いている水面を眺めると、暑さも心なしか和らいで感じられます。

6月になると思いだすものがもう一つあります。
それが「水無月」です。
「水無月」は葛や外郎(ういろう)に小豆をのせた三角形のお菓子で、6月30日にいただきます。
昔、宮中では、旧暦の6月1日を「氷の節句」として、この日に氷を口にすると夏の暑さに負けないとして、氷室の氷を家臣にたまわったそうです。
その習慣にならい、氷をかたどった「水無月」をいただき、暑気払いをするというわけです。

現在では、エアコンのボタンひとつで自由に温度が変えられるようになりました。
それも人間の知恵に違いありませんが、古くからの京都の暮らしには、自然と共存するためのさまざまな知恵があったように思います。
どんなに時代が変わっても、四季のある国に暮らす知恵と文化、心意気は、忘れたくないものです。

(文:日本をしりたい 和の美をめぐる50の言葉)