「汝(なんじ)自身を知れ」とは。

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1月15日が先人式と思って過ごしてきた私ですが、もう成人式は終わってしまったのですね。

成人式はやはり1月15日がいいと思うのは私だけ?

さて、成人を迎えた皆さんにとっても素敵な言葉がありましたので贈りたいと思います。

 

元皇學館大学学長でいらっしゃった谷省吾先生が書かれた「神を祭る」という本から。

 

皆さんは「汝自身を知れ」ということばをご存でしょうか。

汝自身を知れ---お前はいったい何ものであるかを、しっかりしれということです。

これは大昔のギリシャの諺でありますが、古今東西通用する非常に大切な教えであるかと思います。

私どもは自分がしっかりした生涯を送ろうとする場合、先づ自分を知る、別の言葉で言いますと自覚---自覚ということが非常に大切であると思われます。

殊に若い皆さんのようなかたがたに要求されるものは、これから大人になってしっかりした人生を送るためには自分の足でしっかり立たなければならぬ、自分の足でしっかり立つためには自分というものをしっかり知らなければならぬ、ということだと思われます。

昔は十五歳前後で元服が行われました。

現在は二十歳で成人式を行う例になっていますけれども、昔は皆さんくらいの時に元服と言って一人前の扱いを受けるようになったわけですね。

自分の足で立たなければならぬ。

自立しなければならぬ。

自立の根本は自覚である。

皆さんは橋本佐内という名をお聞きになっていると思います。

明治維新がどうしてできたかを考えるとき、忘れてはならない大事な、そしてすばらしいお方であります。

号を景岳といいます。

その景岳先生が、数え年十五歳、みなさんよりまだ少しお若い頃に、自分を励ますために書かれた「啓発録」というものがあります。

それを拝見しますと、五つの項目が挙げてありますが、その一番始めに「雅心ヲ去ル」とあります。

すなわち、幼な心を去る。

そして、その次に「志ヲ立ツ」ということが出ております。

皆さんも、幼い心、稚心を去って、志を立てなければならないのだと思います。

自分は人間だ。

しかし人間と言ったって、その人間を一体どう考えるかということは、これは人によって随分違います。

自分は人間だという。

しかしその人間というものはいったいどういうものかを、よく考え、よく知ることは、これは自覚の根本的な条件であります。

そこで人間とは何者であるかということを考える場合に、二つの認識の道、二つの考え方があると思われます。

その二つの道のどちらをとるかが、その人がどう生きるかということについての、非常に大切な問題であるように私は思うのであります。

それは人間が最高の存在であると考えるか、人間よりも、人間の力の及ぶことのできない大いなるもの、神秘なるもの、不可思議なるもの、そういうものの存在を認めるか、その二つの道だと思います。

人間こそが最高の存在である、人間は科学を生み出している、人間の力は総てを征服することができる、人間の力が総てだ、最高だ、科学によって一切を理解し、人間の理性によって一切を支配することができるのだ、という。

それが一つの考え方でありましょう。

しかし、もう一つの考え方は、人間は決して最高の存在ではないのだ、人間は非常に大きな価値を持ってはいるけど、しかし人間の力を越えたもっと大いなる神秘なる不可思議なる力というものが存在している、それを敬虔に謙虚に認める、それが一つの生き方であります。

後者の生き方、考え方からすると、そこから敬虔なつつしみ深い人生観が導き出されてくるでありましょう。

前者をつきつめていった場合には、そこには人間の一つの傲りがあります。

敬虔なる道をとるか。

傲りの道、傲然たる道をとるか。

その二つが重大なる岐れ道であります。

人生の出発点に立っておられる皆さんがた、その皆さんがたにとって、そのどちらかの道をとるか、敬虔な道をとるか、傲然たる道をとるか、それは非常に大きな課題であります。

そのどちらをとるか、その選択は、これは皆さん自身に委かされているのです。

その選択の責任も皆さん自身にあります。

しかしその責任は皆さま自身に対する責任であると同時に、国家社会に対する責任でもあろうし、また、祖先に対し、父祖に対する責任であるかも知れません。

皆さんはそのどちらをとるか、重大な岐れ道に立っているということを、よく考えていただきたいと思います。

 

 いかがでしたでしょうか。

成人を迎える皆さんだけの話しではないですね。

現在の人間は人間が最高の存在と思っているのではないでしょか。

傲りの道をたどっているのではないでしょうか。

今一度敬虔なる心を持って目の前のこと、人生、世の中のことを見直してみることが必要な世の中が来ているのではないでしょうか。

今年はそんな一年のような気がします。

 

 



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