旧・新歌舞伎座の建築様式のこと

 

大阪の御堂筋を南に下った南海難波駅、高島屋の近くに新歌舞伎座がありました。

過去形なのは、現在は上六近鉄に隣接したところに移転しているからです。

 

旧・新歌舞伎座は一見するととてもベタな和風建築物と思われがちですが、
実は、その屋根のつくりに日本の伝統的な建築技法・スタイルが採用されたものなのです。

 

 


それは「てりむくり」という方法です。
「てりむくり」とはどういうものか。
松岡正剛さんが「連塾ー日本の方法Ⅰ 神仏たちの秘密ー日本の面影の源流を解く」で紹介しています。
彼は、「日本流」という「方法のコンセプト」のひとつの例として「てりむくり」を解説しています。

 

「正負を合わせるてりむくり」という見出しの文章を抜粋してみます。
「~<てり>は<照り>で、<むくり>は<起くり>です。<照り>は反るということ。<起くり>は起こるという意味ですね。わかりやすくいえば、凸と凹で、それが連続しているんです」

 

その例として、旧・新歌舞伎座の屋根を写真で紹介しています。

 


さらに、「ようするに<てりむくり>は日本独自の発明だというわけです〜仏教建築にひそんでいる<照り>と神祇建築の「起くり」が習合したからです」
と述べ、「〜日本の社会や文化の奥にひそんでいるのはまさにこのような<矛盾と統合>なんです。

<葛藤の出会い>なんです。和と荒、正と負、陰と陽、凸と凹、表と裏、<みやび>と<ひなび>の同居です・・・。

このような矛盾しているものが合わさっていく、アワセになっていく。そうやって自己同一をゆさぶっていくのが日本流なんです」

ちょっと難しいですね。

 

さらに、日本は「負」を消し去るのではなく「正」と合わせ、一緒に扱っていくことが「日本流」だとします。

 

「日本流」とは日本独自の方法です。それは昔からいろんなジャンルで見られる方法論です。
松岡正剛さんの言うとおり、日本独自の方法論だと思います。
そして、これからも「日本流」で考えたコト、つくったモノが、世界に流通していくだろうし、
0か100か、正義か悪か、勝か負けるか、といった二元論的方法論では立ちゆかなくなった高度資本主義の世界を変えていく方法論かもしれないと、ひそかに思っています。