習わしとは習慣、風習、しきたりのこと。

 

習わしとは習慣、風習、しきたりのこと。

2014020702

 



独特の風習や習慣を持つ国は世界中に数多くありますが、長い年月日本人が育んできた文化や習慣の背景に見え隠れするのは心のありかた。

たとえば、たった一杯の茶を友と味わうために、惜しむことなく時をついやし心をつくそうとする穏やかな感性。

そのことで生まれる深遠なるものに気づく豊かさ。

思いのままに花を咲かせ続けようとするよりも、あえて咲いてから散るまでの短いひとときのなかに美しさと喜びを見出す洗練された精神。

浮かび上がってくるのは行事や祭りの特別なハレの日だけでなく、ケ=日常的なふだんの生活のなか衣・食・住・庭などあらゆる身の回りのものにまで花鳥風月を読み味わいながら生きようとする深みのある暮らし。

そこにはすべてのものに神が宿ると考えてきた「八百万の神」の発想がい息づいています。

ハレとケのリズムが繰り返されることによって生まれるもの。
このことにわたしたち日本人が重きをおいてきたのは、それがどれだけ恩恵をもたらしてくれてるものなのかということを昔から知っていたにちがいありません。

季節にひそむとっておきのエッセンスを暮らしのなかにおりこもうとしてきた意思のあらわれ。
それがにほんの風習、習わしです。
単なる決まりごととしてしまえば退屈でつまらないものかもしれませんが、編み上げてられたそのかたちの背景にある意味に気持ちをかたむけてみれば、違和感なく体になじむものとなるでしょう。

さまざまなことが便利になってきた一方で、大切なものをどこかに忘れてきたと感じることがあるならば、わたしたちが無意識のままに途切れさせてしまうかもしれない習慣や習わし、そして行事のことかもしれません。
世界でも珍しく豊かな感性なくして生まれるものではないこのたからものをもう一度味わい、誇りを持つべきときにきているのだと思います。

(おうちで楽しむにほんの習わし:広田千悦子)
(絵:源氏御祝言之図・豊国Ⅲ / 国貞(とよくにⅢ/ くにさだ)