今でも梅干しをつけてますか。

 

 

大阪城の梅林全体の開花状況はいまだ1分咲き。


開花のペースは例年に比べて10日遅いペースだそうです。

 

梅干し2

 


一重野梅、八重野梅、寒紅梅、月の桂といった早咲き種たちの多くが見頃を迎えつつあり十分な花数と香りを楽しめる状況にはなっています。



桜人気が庶民にまでひろがったのは遠い昔のことではなく、以前は梅の方が好まれていたと聞きます。
梅という植物が現代でも暮らしの中に落ち着いているのは、人と過ごしてきた時間が長いためでしょうね。



たとえば梅干し。
おにぎりの定番です。
たとえば梅酒。
若い女性たちには人気のアルコール。
その嗜好にあう、グミやキャンディーなどのお菓子でも、梅の風味が加えられたものが少なくないです。



しかしながら、暮らしの中での梅のおさまりどころは変わってしまいました。



かつて梅干しは台所の棚の下のあたりの壺から出てきました。
梅酒は、仕込まれてから何年ものあいだ、家の隅の暗い場所で保存されていました。



その器のどっしりと重たかったこと。
家の手作り梅酒は、中元歳暮でいただいた味付海苔の大きなガラスの中で熟成されました。
梅の実と氷砂糖がつめられ、焼酎が注がれます。
ひとかけらの氷砂糖ほしさに手伝いをした記憶は、今の若い世代とは共有できないかもしれませんね。



そもそも、味付海苔じたいが瓶で売られていません。
小分けにされたビニール袋に包装されて、透明の樹脂製の容器に入れられています。
かたちばかりは昔ながらのものに似せられていますが、あの重量感はありません。
空になったあとも、梅酒づくりにまわされることはないですね。
古い梅酒のガラス瓶を、落さないように割らないよう、ゆっくり運ぶときの緊張感は消えました。



梅酒も梅干しも、日本の伝統的な暮らしぶりを代表します。
よく残された食文化だと思います。

なのに使い捨て容器におさまっているようでは、その値うちも割り引かれてしまいます。


(文参考:産経新聞・関西街角文化論:永井良和)

 



道端にたたずみ、ほころびはじめた梅の香りを楽しむのは、どう考えても年寄りくさい行動かもしれませんが、古よりつづいた小さい頃の思い出。



梅をめでる心があらわれると、人も老境に入った感があるのかな。