「風呂敷」

 

 

「風呂敷」



一枚の布がさまざまな形に寄り添います。
融通のきく袋物という発想は、布に親しんできた日本人ならではの知恵。



昔は、今のように紙袋がなかったので、買い物には必ず風呂敷を持って出かけました。
お稽古に行くにも風呂敷に荷物をまとめたものです、
一枚の正方形の布が、あらゆる場面に応じて表情を変えるというのが、風呂敷のおもしろさではないでしょうか。


 

 



風呂敷とひとくちにいっても、種類によってTPOがあります。


縮緬(ちりめん)地の高級な絹のものは、お届けものをするときに相手への敬意を表すために用います。
縮緬に家紋を入れた風呂敷が、最も改まったもの。


当代一流の日本画家の絵を下絵にした、美を追求したような京友禅の美しい風呂敷もまた、晴れがましい「よそゆき」といえるでしょう。
さらに、おめでたい模様、季節感のある柄などが続きます。

縮緬の風呂敷は、内包みに使うもの、いわば包装紙の役割を果たすものです。
ですから、進物や手土産は包んだまま結ばずに、先方に渡します。
受け取った方はゆっくり風呂敷を開いて、よく見てから、お懐紙や半紙を「おうつり」として包み、風呂敷を返します。



大判で丈夫な木綿の風呂敷は、重い荷物を包むためのもの。
本を何冊も包んだり、お茶会のお道具を持ち運んだり・・・。
こちらは外包み、今でいう紙袋というわけですが、紙袋よりもよほどしっかりしたいます。



一枚の布を使いこなして、いかなる形、大きさのものも包んでしまうという融通性は、布に親しむ日本人ならではの知恵だと思います。

(文:日本を知りたい 和の美をめぐる50の言葉)