うるし9  うるしの驚くべき耐久性

 

 

うるし9  うるしの驚くべき耐久性


うるしにはさまざまな長所がありますが、そのひとつに、耐久性が挙げられます。

 

 

和の心 20140616 蒔絵

 



世界最古のうるしの出土品は、今から八千年も前のものです。
また、多くの遺跡からは、土器の破片や木器にうるしを塗ったものが発見されています。
土器というものは焼成温度が低いため、水がもれやすいという欠点があります。
そのためにうるしを塗ったのでしょう。

今から五千年くらいの前と推定されるようなものでも、今でもみずみずしく艶やかな肌を保っています。
このようなうるしの驚くべき耐久性は、歴史的に価値のある古い工芸品にも活かされています。

たとえば、法隆寺に残る伝世品である、有名な玉虫厨子。
厨子とは、仏像を安置する入れ物のことです。
国宝として知られるこの玉虫厨子は、うるしを使った工芸品としては最古のものとされています。

それから、豪華な蒔絵をほどこした、正倉院の唐太刀。
これは奈良時代です。
また、日本的な意匠として知られ、美術工芸的には「和風意匠の確立」とまで言われている、片輪車(かたわぐるま)のもようの蒔絵螺鈿手箱(まきえらでんてばこ)。
これは平安時代につくられました。
貴族が乗る牛車の輪を描き、美しい貝をはめ込んでうるしを塗った、螺鈿という技術を用いて完成させています。

平安時代、この時代に、国風文化とも呼ばれる和風様式が確立されていくのですが、この片輪車という意匠は、その代表とされています。
鎌倉時代らしい名品に、時雨螺細の鞍があります。
鞍とは、馬に乗るときに使う台座で、武具と言ってもよいような道具ですが、具を多用して風にたなびく松葉を美しく表現し、工芸品として素晴らしいものに仕上がっています。

それから、桃山時代に流行した、高台寺蒔絵。
これは、うるし工芸技術のひとつで、うるしの接着力で金粉をほどこす、非常に絢爛豪華なものです。
いかにも派手好みな桃山時代らしい技術です。

そして江戸時代には、尾形光琳の作品である、八橋蒔絵螺細硯箱。
「伊勢物語」八橋の段から取材した、燕子花(かきつばた)と板橋のモチーフを使い、蒔絵螺細をほどこした硯箱です。

ざっと代表的なうるしの美術工芸品をあげてみましたが、これらはみな、うるしがつかわれた日本の代表的な世界に誇る優れた文化財として、大切に保管されています。
これはあまり知られていないことなのですが、日本の重要文化財として保存されているものというのは、たいていうるしが使われているのです。
日本の歴史的文化財、つまり博物館・美術館に保存されているようなもののうち、70%以上はうるしを使った作品だと言われているくらいなのです。

japanはうるしを意味すると言いましたが、これは欧米人の勘違いでも何でもありません。
やはり、日本を代表する素材は、うるしなのです。