うるしの器のお手入れは簡単

 

 

うるしの器のお手入れは簡単


うるしの器というと、手入れが大変なのではないか、と思われる方も多いようですが、そんなことはまったくありません。

 

 

和の心 20140704 漆器

 

 



基本的に、うるしの器は、水で洗えば汚れはたいてい落ちます。
人が口に運ぶ食べ物は油ものでも水で落ちるので、洗剤がいりません。
洗剤がいらないということは、川を汚しません。
この点でも、非常に、環境にやさしい器名のです。

また、うるしの器は水切れも大変いい。
水で洗ったら、やわらかい布ですぐ水けをとる。
これがうるしの器との付き合いのポイントです。
ただ、最近のうるしの器は、よく研究されていて、普通の洗いもんと同じように洗剤でスポンジを使って洗っても問題ないといわれています。

器を洗うには、順番というものがあります。
まず一番最初に、うるしの器をきれいに洗って、やわらかい布で水気をとって、棚にしまう。
それから陶器を洗う。
次に、磁器を洗う。
最期に金属器を洗う。

なぜなら、うるしの器のようなやわらかいものと、陶器や磁器のような固いものを一緒に洗うと、うるしの器が場合によっては簡単に傷がついてしまうからです。

こうした器の扱いに順番を設けているのは、物を大切にする日本人の、やさしい気遣いや、やわらかなこころが、暮らしの中でそっと生かされているひとつの例でもあるでしょう。

一流の料理屋さんは、漆器と陶器を一緒のお盆に載せたりはしません。
良いものをもっている料理屋さんほど、こうしたものの扱いの基本的な知識をもっています。
これは、物を扱う作法でもあります。

ただ、うるしの器についてあまり好ましくないとされている点が一つあります。
それは、付着したものがなかなか落ちない、ということです。
しかしこれは、現代の私たちがそうとう短期になっていることの証拠でしょう。
どんなものが付着していても、器を水の中に、五分から三十分くらいつけておけば、必ずはがれます。
この時間が待てなくなっている今の時代、私たちはもう一度、くらしについて考え直す必要がありそうですね。

絶対にやってはいけないのは、食器洗い機や食器乾燥機に入れたり、電子レンジにかけること。
うるしの器は、温度変化に対応できません。
乾燥しすぎてヒビが入ってしまったり、なかの木が歪んでしまうと、補修することが場合によっては不可能となります。

せっかくの器が大変みじめなことになってしまいます。

それから、うるしの器の保管方法で特に大切な点は、直射日光を避けることです。
長時間直射日光にあてると、変色してしまうのです。
しばらく使う予定のない漆器は、やわらかい紙や布につつんで箱に入れ、冷房や直射日光があたらないところに保管することが大切なことだと言われています。

このように、うるしの器は、人が許せる範囲のことでしたらたいていは大丈夫です。
そうした性質をもった、ある意味で人間的で寛容性にあふれた器だということになります。
そんなうるしの器は、日本的なスローライフを再び呼びもどす手がかりになることうけあいです。

(文:禅のこころ 和のこころ・篠田暢之)