漆器ができるまで。

 

 

漆器ができるまで。


うるしの器ができあがるまで、どれほどの工程があるかご存知ですか。

 

和の心 20140712 うるし

 


まずは、「生地調整」です。
木をろくろにかけて器のかたちにしたものに、傷が入ってしまったところや、補強したい部分などに、木屎(こくそ)と呼ばれるパテのようなものを埋めます。
そして、表面がなめらかになるように、砥石で研ぎます。

次に、「木地固め」と言い、砥石で砥いでつるつるになった器に、うるしを塗ります。
つまり、下地塗りです。
次に、「布着せ」。
うるしの器の強度を高めるために、麻布をかけて、その上からうるしを塗ります。

実は、うるしの器の良いものには、必ず麻布がかかっているのです。
安いうるしの器には、和紙がかかっています。
だから軽く手でたたくと、すぐわかります。
おおむね、和紙を使っているものは木の音がしますが、麻布がかかっているものは木の音がしません。

そして、「地つけ」と呼ばれる、本格的な下地塗りに入ります。
「切粉地つけ」と言いまして、生のうるしを塗ります。
これは最低でも三回、多いと八回ほど、何度も塗ります。
その後、「錆つけ」と呼ばれる、錆うるしを塗る作業を行います。

ここまでが、「下地づけ」と呼ばれる、器の木地を丈夫にする作業です。
これだけでも相当に根気のいる作業です。
工程を合理化する現代の経済学からは、こうした文化的な労働成果は理解できないところであり、それだけに慎重です。

上からうるしを塗ってしまえばまったく見えなくなる部分に、非常に大きな労力と神経を使っています。

しかし、よくできた文化には共通したところですが、この見えない部分の作業や工夫が大切で、うるしの器が長持ちするかどうか、使いやすいかどうか、というのはこの下地づけにかかっているといっても過言ではないのです。

その後に、本格的に塗りの作業に入ります。
まずは「下塗り」で、うるしを薄く塗ります。
その後、静岡炭といううるし専用につくられている炭で、表面がなめらかになるように研ぎます。

すると、徐々につやが出てきます。
そして、ようやく「中塗り」です。
ここで使ううるしは、最後の表面に使われるうるしと、同じ色のものを使います。
そして、もう一度、静岡炭で表面がなめらかになるように研ぎます。

最後に「上塗り」です。
ここでようやく、最高品質のうるしを使います。
そして乾燥させて、できあがりです。

こうしたプロセスを経て、うるしの器というものはつくられていきます。
とにかく、想像以上の手間暇がかかっています。
けれど、こうしてできあがったものは、本当に見ても美しく、手に触れても気持ちがよく、さまざまな料理を入れても温かく美味しくいただけ、しかも日常、手のくらしの使用にも耐えて長持ちするのです。

物のよさは見えない所にどれだけ手間暇をかけているか。
現代でなくなってしまった、価値ですね。