漆器の装飾 螺鈿をご存知ですか。

 

 

漆器の装飾 螺鈿(らでん)をご存知ですか。

 

 

とっても興味のある「螺鈿」。

漆器や帯などの伝統工芸に用いられる装飾技法のひとつ。

螺鈿について人間国宝「松田権六さん書、「うるしの話」より学ばしていただきました。

 

 

和の心 20140729 松田権六 螺鈿

蒔絵螺鈿有職文飾箱(昭和35年、第7回日本伝統工芸展)   東京国立近代美術館工芸館蔵

 

 

螺鈿というのは一般に夜光貝、蝶貝、あわび貝、そのほか貝類を嵌め込んだものを意味します。

専門的にいうと、貝ばかりでなく牙角類、鼈甲、金属、水晶、琥珀、そのほか宝石のようなものを、装飾としてちりばめる場合のことをいいます。

しかし、金や銀の板金を模様に切り透かしたものを漆のなかへいっしょに嵌め込む、そういうようなものは螺鈿とはいいません。

これは平文(ひょうもん)または平脱(へいだつ)という名称で昔から扱っています。

 

螺鈿はエジプトの初期王朝以前にそうとう使われ、初期王朝の頃にはたいへん立派なものがあります。

これらの遺品を見ると、やはり貝の美しい部分を切って嵌め込んでいます。

貝の螺鈿に「埋込み式」と「押込み式」と「掘込み式」と、だいたい三種類あります。

 

「埋込み式」というのは、切り透かした文様の貝を所定の位置に漆で接着し、つぎに貝の厚みが埋まるまで、漆下地と漆を何回となく塗り重ねて、貝の表面と同一平面にこれを研ぎ出したものです。

宇治平等院鳳凰堂や中尊寺金色堂などはこの方式のものが大部分です。

 

 

 

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中尊寺金色堂

 

 

「押込み式」は、切り透かされた貝の文様を、まず、紙の上に整然と仮付します。

つぎに螺旋すべき物体の表面に、粘土状に調合した漆下地(この調合法は伝わっていません)を厚塗りに塗っておき(押込みが一回で終わるように貝の厚み以上に厚塗りします)、さきの紙の上に仮付された貝を、厚塗りの面に接触するように押し込みます。

押し込む作業が終わると仮付け用紙を剥ぎ取って乾燥させ、貝の面と漆の面とが同一平面になるように仕上げる技法です。

平等院鳳凰堂本尊の天蓋の螺旋は全部押込み式です。

 

「埋込み式」というのは、あらかじめ切り透かされた貝の文様を、嵌め込むべき物体の面に、その貝文様の厚みだけ文様の形に彫り込み、その中に嵌め込む方式です。

これも貝文様の表面と地とが同一平面になるように作り上げます。

中尊寺金色堂清衡公の中央須弥壇上の勾欄紫檀地螺鈿や春日大社の胡簶や刀剣は全部この技法です。

 

以上の3種類がわが国伝統の螺鈿技法です。

表面はみな貝と地とが平らであることが共通しています。

 

 

和の心 20140729 松田権六

『蓬莱之棚』 松田権六作

 

 

 

 

いいかがですか「螺鈿」。

その美しくひかり輝く装飾に、ついつい足を止めてしまいます。

さあ、この夏休みは是非とも宇治平等院か中尊寺にゆっくりお出かけください。