アラサー男子が語る「伝統芸能」の楽しみ方

あなたは、今までどんな伝統芸能を観ましたか?

 

 

 若い人たちのなかでも、伝統芸能や文化が好きだっていう人が少なくないようです。
 彼らは、何をおもしろがっているのか、とても興味深いので、アラサー男子のヨコヤマくんにお話を聞いていました。

 

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 イマニシ
 ところで、ヨコヤマくん。
 実は、伝統芸能が好き、特に歌舞伎や文楽、落語のファンだってね。

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 ヨコヤマ
 そうなんですよ、意外でしょう(笑)

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 イマニシ
 とっても意外(笑)
 実はバレエを習っているんですって聞くほうが自然かも(笑)

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ヨコヤマ
えっ!知ってたんですか!実は幼稚園のころから・・・ウソですよ。

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イマニシ
ここで笑ったほうがいいのかな(笑)
それはともかく、落語をやっているんだものね。

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ヨコヤマ
そうなんですよ。それまでは聞いているだけでしたが、ある機会をいただいてみなさんの前で落語ができたんです。

それを期にあらためて勉強しています。

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イマニシ
この前、聞かせてもらったね。落語の話は次にするとして、何でヨコヤマくんは歌舞伎や文楽を好きになったの?

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ヨコヤマ
それを話すと長いのですけど、いいですか?

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イマニシ
3分で話して!

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ヨコヤマ
えっ!せめて30分ぐらいは・・・。

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イマニシ
では、質問するから答えてくださいね。
まず、今までどんな伝統芸能を観たの?

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ヨコヤマ
そうですね、歌舞伎は年一回~二回ペース、人形浄瑠璃はこの前「和の素敵」のイベントで観に行ったのが3回目です。
狂言も2回ほど。お能はまだ観てないので、来年は絶対行こうと思ってます。

 

イマニシ
11月に観に行った「仮名手本忠臣蔵」だね。良かったなぁ。
映画やTV と違って、ナマの迫力があったね。人情話もあって、途中でグッきたよ。

 

ヨコヤマ
イマニシさん、泣いてなかった?

 

イマニシ
見てた?(笑) 忠臣蔵で泣かないヤツは日本人じゃないぜ。

 

ヨコヤマ
それはともかく、
観劇の前に、義太夫の芳穂大夫さんのレクチャーで、忠臣蔵の見所とか事前に聞いてたので、すごく理解しやすかったですね。

 

イマニシ
そうだね、いろんなエピソードがあるんだと、はじめてわかったよ。

 

ヨコヤマ
ボクの年代とかは、忠臣蔵そのものを大まかにしか知らないので、
ああいうレクチャーで事前に解説があったから、すごくわかりやすかったです。

 

イマニシ
で、ヨコヤマくんはどこがよかったの?

 

ヨコヤマ
人形遣いさんの所作とかも興味深かったのですが、ボクは義太夫さんの声です。
イマニシさん、覚えてます?芳穂大夫さんのお師匠さんが語っていたとき、鳥肌立ちましたよ。さすが!
人間国宝ですね。

 

イマニシ
ヨコヤマくんもか、私もだよ。
最初、とっても低い声で語り出しただろ。地の底から響いてくるような声。語りの言葉がわからなくても、どんな内容かはあの声の響きで理解できる。凄いなぁ。

 

ヨコヤマ
いっぱつでもっていかれましたね。事前のレクチャーで芳穂大夫さんが演じてくれた「声だけの演技」や喜怒哀楽ごとに何種類にもわけて演じる「笑い」の表現はもちろん凄かったのですが、やっぱり、あの「声」そのものの力に、感情を鷲づかみにされました。

 

イマニシ
うん、もっていかれた。劇場空間が異次元になっちゃったものね。あれが芸の力、声そのものの凄さ、恐ろしいね、伝統って。

 

ヨコヤマ
義太夫さんたちが語っている言葉を舞台の上に字幕で表示されていたでしょう。あれで語りの内容がよくわかりました。

 

イマニシ
私もあれがなかったら、どんなやりとり、ストーリーかわからないところもあったね。表示を見ていると、言葉で遊んでいるところもよくわかったよ。

 

ヨコヤマ
人形の所作と義太夫の語り、三味線、その3つがあって「文楽」とよぶんですね。

 

イマニシ
どれが欠けても成りたたないね。歌舞伎にもそういうところがあるね。

 

ヨコヤマ
それが現代劇と大きく違うところでもあるのですかね。

 

イマニシ
現代劇って、何を指しているのかわからないけど、西洋現代劇とは違うね。
日本でも1960年代にはじまった、いわゆるアングラ芝居は、歌舞伎など伝統芸能の要素をうまく取り入れた作品もあったよ。

 

ヨコヤマ
へぇ~そうなんですか。

 

イマニシ
私が好きでよく観ていたのは「状況劇場」の芝居。唐十郎さんが主宰していた劇団。今も「唐組」と名前は変わったけど、同じコンセプトでやっておられる。

 

ヨコヤマ
観たことないです。ぜひそれも観たいです。

 

イマニシ
何が同じと思うかというと、「劇的」ということだと思う。あの当時のアングラ芝居は、当時の新劇にもの足らなくなって始まったと思うけど、そのもの足りなさが「劇的」ってことだと思うよ。どうすれば芝居が「劇的」になるのか、それで伝統芸能、芝居を再発見したのだと思う。唐十郎さんには能に関する著作もあるくらいだから。
この話は長くなるから、また別の機会に。

 

ヨコヤマ
そういう意味でいうと、ボクが好きで観ている歌舞伎や文楽は、けっして古いだけのものではなく、今の演劇にも求められている「劇的」というものが備わっている「古いけど新しい」演劇かもしれないということなんですね。

 

イマニシ
そう言えるかな。温故知新という言葉があるだろ?

 

ヨコヤマ
知ってます。

 

イマニシ
「ふるき(故)をたずねて(温)あたらしき(新)をしる(知)」だね。ずっと続いているものには、必ず新しいことが宿っていると思うよ。伝統の力ってそういうものだよ。それが凄いところだと、今更ながらに思うね。

 

ヨコヤマ
ボクが伝統芸能に興味を持ったのは、古さの良さがあり、単純に笑えるところ。と、今の時代にも通ずる「粋」さがあるとこをなんとな~~く感じる点なんです。それを踏まえての感性が、次の時代に向けての「新しさ」になるような気がして・・・。あっ!なんか偉そうにすみません!

 

イマニシ
そうだと思うよ。
今回はこのあたりで幕にしようか。
次は、ヨコヤマくんは何がおもしろいと感じたのか、何があたらしいなぁと思ったのか、そのあたりを聞かせてください。