伝統楽器「箏」で奏でる、 懐かしくも新しい音楽  その一

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第1回 「箏」と「琴」はどう違うの?

 

 

 

和の心 中島りん

 

  公益財団法人日本文化藝術財団のコンセプトに「創造する伝統」という言葉があります。
  いい言葉です。
  伝統を昔のままで「保存」するのではなく、日々創造していくことで「伝統」として時代を超えていけるのだと思います。

  伝統を創造していこうとしているアーティストに箏奏者の「中しま りん」がいます。

  5才の時から箏を習い始めた彼女は、上京後、一度箏を離れたけど、30才のときに中国古奏者伍芳さんの演奏に出会い、再び箏の道に戻ってきました。
  現在はソロ演奏だけでなく、ピアノやギターなどの洋楽器とのコラボで和楽・洋楽のワクを超えた
  音楽を創造しています。

  中しま りんの箏や音楽についての想いや活動を綴っていきます。

 

 

 

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1 「箏」と「琴」はどう違うの?

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みなさんは「コト」と聞くと、たぶん「箏」ではなく「琴」という漢字を思い浮かべることでしょう。
この「箏」と「琴」は漢字が違うだけでなく楽器の形態も違うのです。
例えれば、「ギター」と「マンドリン」とか、「アコーデオン」と「バンドネオン」が違うようなものです。

 

 

箏

 

私が演奏しているのは「箏」です。
では、「箏」と「琴」が、楽器としてどう違うかからお話ししていきます。
箏(こと、そう)は、
各絃に柱をたてて調絃し、右手の指で、
または義爪をはめて撥弦する弦楽器。一弦一音です。

 

 

一弦琴

 

 

それにたいして琴(こと)は、
共鳴胴に張られた弦を左手の指、
または左手につけた小型の筒や管などで弦長を決めながら音高を取って弾きます。一弦多音です。

たぶん、みなさんがよく目にする「こと」の多くは「箏」だと想います。

日本の「箏」の歴史は7世紀末、奈良時代にはじまります。中国(唐)より伝来し、雅楽の楽器として用いられていました。管弦合奏の中で、ギターのアルペジオ風に演奏します。

これとは別に平安時代に箏を伴奏とする歌曲があったという記録があるますが、具体的な楽曲はありません。

日本で使われている箏の多くは13弦ですが、13弦になった伝説として、中国の古代楽器(瑟〈しつ〉)は25本の弦を持ち、神がこの瑟を二つに割って、13弦の箏と12弦の箏が作られたと言う説や、秦の宮廷にある25弦の瑟を姉妹で争い、13弦を姉に12弦を妹に分け、竹で出来た瑟を「争」ったため、「筝」の字の原型となったという伝説もありますが、当時の瑟は25弦ではなかったらしいので、あくまでも伝説なのでしょう。

雅楽に使われていた箏は、次第に庶民も楽しめる楽器になっていきました。
鎌倉時代から室町時代の諸芸能のほとんどは、寺社に所属する形でおこなわれていましたが、
法会の舞楽や声明などを通じて、音楽芸能は次第に庶民のものとなっていきました。
その中でも代表的な雅楽である「越天楽(えてんらく)」には箏が用いられ、
「源氏物語」その他から題材を取った文学的な歌詞を当てはめて歌われていました。
福岡県の有名な民謡「黒田節」は「越天楽」のメロディーに歌詞を付けたもだということが、
いかに庶民へ浸透していたかが想像できると思います。

しかし、庶民も演奏するようになった箏ですが、なかなか一般的な楽器にはなれなかったのです。
その理由のひとつに、江戸時代における「箏の当道制度」、盲人音楽家の専売特許であったことがあげられると思います。
つまり一般人が演奏することは認められなかったのです。
このため、同じ弦楽器である三味線音楽が歌舞伎や人形浄瑠璃などの伴奏音楽として発展したのに対し、
箏曲は劇場とは関係のない純音楽として発展していきます。
どちらかといえば三味線が庶民の楽器として普及したのに対し、
箏曲(そうきょく)は王朝文学をテーマとしたものが多い高尚、高雅な音楽としてとらえられていました。
当時、箏は武家の娘のたしなみとしてもてはやされていたのです。

現在、箏はかなり一般化しましたが、まだまだ馴染みの少ない楽器でしょう。

私、中しま りんは、箏という楽器を雅楽や箏曲で奏でるだけでなく、
もっとポピュラーな音楽として演奏することで、
箏が奏でる音の素晴らしさ、旋律のおもしろさを伝えていきたいと思い、
さまざまな楽器の奏者とコラボして、
「箏で奏でる新しい音楽」を創造する活動をおこなっています。

(次回、中しま りんの「箏で奏でる新しい音楽」 についてお話しします。)


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