伝統楽器「箏」で奏でる、懐かしくも新しい音楽  その三

第3回 箏奏者の道に進む大きな大きなきっかけ

 

 

中しまりん

   伍芳さんとの出会いが、私を箏奏者の道に進む大きな大きなきっかけでした。

   初めてのCDを出してから約3年間。 
   私はシンガーソングライターとして活動していたのです。 
   ライブ活動やCD制作を続け、 時にギターを抱えて路上で歌うこともありました。

   その中で、自分の能力や今後について思い悩むこともしばしば。 
   音楽の道をどのように進んでいけばよいか模索していました。

   そんなある日、テレビで偶然に中国古箏奏者の伍芳(ウーファン)さんが,番組で演奏しているのを目しました。

   古箏という楽器もこの時初めて知ったのです。 
   曲が奇麗で、近々ライブをするというので、 箏に似た楽器である古箏の演奏を聴いてみたいと思い、出かけました。 
   (実際は、箏は中国から入ってきたので、似ているもなにもないのですが、これも後で知ることになります) 

ピアノやギターと一緒に、自ら作った曲を古箏で奏でる伍芳さんの姿、演奏スタイル、技術にとても感動しました。 


そのときに気づいたのです、自分も幼い頃、親に与えてもらった箏という楽器、 それを練習してきた時間が大好きだったことを。そしてそれは、今も私の心の中に息づいているとても貴重なものなのだと。 
自分は、近くにある宝物を無駄にしてきた、もう一度、箏という楽器に向き合おうと箏の道に戻ることを決意したのです。

それからの私は、今の私は箏奏者として何をめざしたらいいのか、それを考え続けていました。そして私の出した答えは、 「箏という楽器は、古典や箏ならではの特徴を生かした曲、技術面においても学ぶべきものはまだまだ多いが、ギターやピアノのように、自分の想いを音に、メロディにして自由に奏でる楽器であってもいいのではないか。そういう意味で、箏は日本の伝統を今に伝える楽器であるとともに、今の時代を生きている楽器でもあるはずだ」 
という結論でした。

これが私が“中しま りん”になるきっかけと決意です。

私の演奏を聴いたり観たりして下さった方が、心に何かを感じ、そしてそこから少しでも箏に興味を持ったり、日本の文化を身近に感じていただけたらこんな嬉しいことはありません。