和の心 20150109 福玉1-1

福玉をご存知ですか?  祇園の年末年始の風物詩

 

 

年の瀬が迫った祇園で、半分が白、半分がピンク色の直径20センチほどの大きな球が吊ってあるのを見たことはありませんか。

南座のまねきとともにこれが店頭に飾られると、にわかに華やいだお正月気分になります。

 

この球は「福玉」といって、舞妓さんたちに配られるお正月の縁起物です。

今も福玉を作る「切通し 進々堂」は舞妓さん、芸妓さん御用達の喫茶店。ご主人の藤谷攻さんに福玉についてお聞きしました。

 

「祇園に舞妓さんが60~70人くらいいた昭和30年代から40年代にかけては、福玉を五つも六つも提げた舞妓ちゃんが大勢歩いてはりました」と藤谷さん。

そう、福玉は舞妓さんが年末にお世話になったお茶屋さんに「おことうさんどす(※1)」とご挨拶に行くとお茶屋さんからいただく縁起物です。

 (「おことうさんどす」は「正月準備が多くなって忙しくなってきましたね」の意味)

お茶屋さんが贔屓(ひいき)のお客さんから預かっているものもあり、福玉の数は人気のバロメーターになりました。

 

福玉は除夜の鐘を聞いてから開けます。

中には縁起物が入っていて、ミニチュアの蔵なら「蔵が建つほどお金が儲かる」、三味線なら「芸事が上達する」、タンスなら「衣装が増える」などといって新年を占ったものです。

 

和の心 20150109 福玉2-2

 

福玉は祇園の駄菓子屋さんがもなかの皮の中に駄菓子を入れて売っていたのが始まりだとか。

それがおめでたい紅白の玉になって、縁起物を入れるようになりました。

「福玉は戦後できた習慣です。はじめは祇園甲部だけの習慣でしたが、だんだん宮川町や上七軒にも広がっていきました。最初の駄菓子屋さんは今はもう閉めはりました」。

藤谷さんはこの駄菓子屋さんから「もう作る人がいいひんようになったから、お宅で作ってくれへんか」と頼まれ、16年ほど前から毎年福玉を作っています。

駄菓子屋さんがもなかの皮に入れていたことからもわかるように、福玉の外側は薄く延ばしたお餅でできています。

福玉の皮を作ってくれるところが1軒しかなく、普段はもなかの皮を専門に作って和菓子屋さんに卸していますが、秋の気配が深まると、福玉の皮作りが始まります。

薄く延ばすため「暑い時はできひん」のだそうです。

ついたお餅を半円形の型に入れて抑えながら焼くのですが、焦がさないように焼く加減が難しいとのこと。

手作業でないとできません。

「赤いのは食紅。福玉の中身を出した後は、皮を細かく割って火鉢であぶり、お汁粉に入れて食べたもんです」

 

藤谷さんのところでは11月くらいから福玉作りが始まります。

「中に入れるミニチュアや人形のことを考えると夏頃からですな」と笑いました。

藤谷さんのお店以外でも福玉は売られていますが、藤谷さんは中に「縁起物」を入れることにこだわっています。

「他のお店では自分とこで売ってはる商品とかを入れてはるようですが、私とこは今も縁起物を入れています」。

藤谷さんの悩みは良い縁起物や人形が少なくなったこと。

お金を出せば、良いものはあるけれど、これ以上高価にはしたくないのです。

そこで、手ごろで良いものを求めて、7月頃から人形の展示会などに足しげく通って仕入れています。

「福玉は、何が入ってるかわからへんでしょう。そやから開ける楽しみを大切にしてあげたいのです。たくさん注文してもろても同じもんばかりにならんように人形は毎年40~50種類くらい用意します」。

どれに何を入れたかわかるようにしておくのは大変な作業ですが、細やかな心遣いがお茶屋さんの絶大な信頼を得ています。

 

毎年、お茶屋さんからの予約を含めて600個くらい作るといいます。

「餅製の皮は割れやすいので扱いに苦労します」。

紅白の半円は水に濡らしてくっ付けますが、この水加減も難しい。

水を含ませたタオルに置いて水を付けてから縁起物を入れて蓋をします。

手作りの皮は形が少しいびつなので膝の上で形を整えます。

「ここでちょっと力が入っただけで皮が割れるんです」。

紅白の半円がくっ付いて球形になったら、金の帯紙を貼って封をして完成。

できた福玉は下には置けません。

天井に吊って保存します。

福玉は5,250円の大玉(7寸)と3,670円、2,625円(ともに6寸5分)の3種類。

手間ばかりでなかなか儲かるとまではいかない福玉作りですが、「開けはったとき喜んでもらえるのが一番うれしい。

苦労も吹き飛びます」と藤谷さんは楽しそうでした。

※福玉は売り切れ次第、販売終了となります。

(文:そうだ京都、行こう:http://souda-kyoto.jp/knowledge/culture/fukudama.html)

 

福玉、とっても粋な一つですね。

本当に福がいっぱい詰まってる。

ちゃんといただいた人に、福がいっぱい訪れますようにって、思いを込めて作られているから。

和の心ですね。

現在、福玉を販売しているのは「切通し 進々堂」と「福栄堂」さん「井澤屋さん」、「藤わらさん」の四件かな?

 

写真は京都・宮川町、春冨さんの美恵雛さん。

とっても可愛いくて気が利いて、そして面白い!芸妓さん。

昨年暮れに、大変お世話になりました。

そのときにお渡しした福玉。

こんなにいっぱい入ってるんですね。