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冬至とクリスマスが同じ日?

 

冬至とクリスマスが同じ日?

 

「クリスマスと冬至が同じ」って記事を見たので調べてみました。

そこには自然を大切にしてきた思いが込められていました。

現代は太陽暦という暦で、多くの国が過ごしていますが、古は、自然を崇拝して、そこから暦を作ってきました。

古の人たちが、自然との共生を計っていたことをもっと知っていかなければならないと、つくづく感じました。

 

“暦”とは何かを考えてみましょう。

 

言うまでも無く、暦は人間が行動する時の時間的な物差しですから、普遍の暦がある必要はありません。

イスラム諸国や中国・台湾などは独自の暦で年中行事を行っているのは、ニュースなどで報じられるのでご存知かと思います。

日本にも、日本書紀が伝える西暦紀元前660年神武天皇即位の年を皇紀元年とした暦があります。

 

暦の元年はそれぞれの国の神話に基づくものが多いようですが、ただ、地球上に住んでいる限り、1日、1ヶ月、1年という名称はともかく、その繰り返す周期は太陽と月に決められてしまっています。

 

また、暦には、太陽を基にした“太陽暦”と、月を基にした“太陰暦”がありますが、太陽暦を採るか太陰暦を採るかは、主に宗教と狩猟民族か農耕民族かで決まるようです。

 

一年の始まりはどの日から?

 

私たちが古代人だとして1年の始まりを何処に置くか考えてみましょう。

もちろん、時計や方位磁針(コンパス)はありません。

太陽を直接観測するのは眩しいし、太陽と地平線との成す角度を求めるのは非常に難しいです。

で、思いつくのは太陽が作る陰です。

平らな地面に1本の棒を立て、その棒が作る陰の軌跡を調べれば、真南が判ります。

1年中、陰が最も短い向きが真北ですから、その反対側は真南です。

その真南の位置で最も陰の長い日が“冬至”で、最も陰が短い日が“夏至”です。

冬至は太陽の高度が最も低いので陰が長く、夏至は最も高度が高いので陰は短くなります。

このように、冬至と夏至をどちらかを1年の始めにするのが観測上便利です。

2者択一ですから、どちらを1年の始めにしますか?

当然、冬至になります。

夏至はこれから日が短くなり、草木は枯れるのですから相応しくありませんが、冬至は、これから少しずつですが日が長くなり、しばらくすれば草木も萌えてきます。

という訳で、昔々は、冬至を年始めとしていました。

中国では、前漢以前の年始めが冬至でした。
(中国に由来する占いは、現在では“春分”を年の始めとしています)

 

 

クリスマスの日はいつ?

 

今度は、“クリスマス”を考えてみましょう。

クリスマスは、キリストの生まれた日とされています。

聖書に拠れば、天使ガブリエルがマリアに神の子が宿ったと告げた、いわゆる「受胎告知の日」は、3月25日で、それから9ヶ月後の12月25日に生まれたとされています。

クリスマスにはもう一つの意味があります。

ギリシャ神話にはクロノスという神が居ました。

クロノスは、ゼウスに追われてイタリアに逃げ、サトゥルヌスという神になり、人間に農業を教えました。

それを感謝し、古代ローマでは12月17日から7日間にわたって人々は贈り物を交換し、ローソクに火を灯し、サトゥルヌスを称えお祝いしました。

このお祭りの最終日がクリスマスで、太陽神ミトラが復活する冬至の日に合うように計画されました。

後に、ミトラはキリスト教徒によって葬り去られました。

しかし・・・・・

キリスト教徒にとっても、この世の太陽であるキリストが復活する日は、実際の太陽も復活する冬至である必然性があったのです。

冬至は「不滅の太陽の誕生日」とされています。

この日の翌日から、再び火が長くなっていきます。

ですから、冬至は、力が衰えていた太陽が再生する日、つまり太陽の誕生日とされました。

これが「キリストの誕生日」に置き換えられて、今日のクリスマスとなりました。

現在、クリスマスと冬至の日付が合わないの計算上の狂いだそうです。

 

新嘗祭も冬至の日に?

 

また、「新嘗祭(にいなめさい)も冬至の日に行われていたのですよ。

毎年11月23日に、その年の新穀を神前にお供える感謝のお祭りです。

新嘗祭を司るのが天皇陛下。

新しい天皇陛下が即位後初めて行う新嘗祭を「大嘗祭」といいます。

2019年に行われる予定ですね。

天皇陛下は大嘗祭を行うことによって、初めて正式に天皇になれるという、とても大切なお祭りです。

この新嘗祭、いまの新暦で11月23日と定められていますが、制定以前は旧暦の11月の二番目の卯の日でした。

つまり、今の12月のクリスマスの頃でした。

そして、冬至の頃。

この日は自然界の生命力が最も衰える日であると考えられ、この日を境に再び力が甦ってくるくることから、陰が極まり再び陽にかえる日という意味の「一陽来復」といって、冬至を境に運が向いてくるといわれています。

だから、祭が行われたのですね。

 

 

ありがとうございます。

 

太陽もお月さまも、私たちにとってとても大切な贈りもの。

どちらか一つがなくなったら・・・なんて考えられないです。

古より、人々は太陽とお月さまと共に暮らしていました。

そして生活の道しるべとして、昼も夜も導いていただいてました。

だから冬至の日、太陽の力が一番弱くなる日、言い換えれば、明日から少しづつ太陽の力が蘇ってくる境目の日。

この日を、始まりの日としてお祭りしたのはよくわかりますね。

 

現代において、このように自然を見る目、感じる心、共に生きる思いはあるのでしょうか。

忘れてきている、置いてきてしまっている、何よりも大切な自然との共生を改めてこの日に感じたいと思います。

冬至の今日は「運盛り」といって「ん」のつくものを食べて「運」を呼び込む日でもありますね。

人参、大根、蓮根、ぎんなん、きんかん、うどん・・・・。

寒い毎日、「運」だけでなく栄養もつけてくださいね。

 

さぁ、柚子湯に入ろっと!

 

今日も最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。

自然を大切にしてきた、この星の人びと。

新年を迎えるにあたって、来年の抱負の一つに、今まで気づかなかった「自然への畏敬の念」を持つのはいかがですか。

(文:2012.12.25 再編成)

 

 

 

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