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正座は、昔から正しい座り方なの?


(宮川 春汀 当世風俗通 茶乃湯)

 

お彼岸、仏壇の前では正座

 

こんにちは。

春分の日の先日は、お彼岸。

彼岸は、節分や八十八夜と同じく雑節の一つ。

雑節は五節句や二十四節季といった季節の基準点のすき間を補う暦日です。

仏壇を掃除して(仏壇ありますか)お供えをし、お墓参りをしてご先祖さまを供養するならわしがあります。

 

仏壇の前に座るとき、正座します。

正座だけでなく、いろいろな「今のあたりまえ」、いつも「いつから、あたりまえなの?」って思う私。

さあ、今日はその正座について、昔からあたりまえなの?

 

正座は、昔から正しい座り方なの?

日本人なら畳に正座——が正式な伝統、という認識が普通ではないでしょうか。

畳といえば、最近一般家庭ではどんどん減ってきています。

マンションだと和室がない場合も多いですね。

が、たとえば冠婚葬祭などで改まった席に出た場合、そこが和室なら正座をするのが正しい儀礼だと思います。

でも、正座は痺れがきれて辛いけど、正式なんだからしょうがない、と思いませんか。

しかし、どうやらそうでもないようですよ。

 

 

昔は胡坐か立膝

 

昔の絵を見ると、公家、武将、お姫様にせよ、座っている姿は下半身の着物がふわっとしていて、その下の足がよく見えないです。

あれは胡坐か立膝なのだといいます。

行儀が悪いわけではなく、それが普通だったのですね。

逆にいえば、胡坐や立膝、横座りが一般的だから、和服は裾がふわっと広がる袴をつけていたこということかもしれません。

礼儀作法にうるさそうな茶人・千利休の絵だって、よく見れば胡坐です。

もちろん、そういった座り方の一つとして、正座もありました。

利休の頃は、まだ「正座」という名前はなく「かしこまる」とか「つくばう」と呼ばれていました。

神仏を拝む時や偉い人にひれ伏す時に使われる、特別な座り方だったのです。

だいいち、昔は板の間が普通だったから、長時間正座をしたら、痛くてたまらないですよね。

 

どうして正座をするようになったの?

 

でも、戦国時代末期には、下級武士にも広まっていったようです。

江戸時代に入って、武家の作法に小笠原流が取り入れられました。

すると、参勤交代の時、全国から集まった大名が江戸で将軍に向かう時、正座をすることが決められました。

諸大名は、領国に帰ってそれを伝えることで正座の作法が全国に広がりました。

そのおかげで、江戸中期になると、一般庶民の中でも、あらたまった席では正座をするようになったのです。

だんだん畳が普及してきたおかげもあるようです。

 

いつ「正座」と言われるようになったの?

 

正座が一般的な座り方になるのは、ようやく江戸時代中期~元禄~享保(1688~1736年)の頃だと推測されています。

この頃には、座布団も現在の形になって、庶民の間にも普及してきました。

でも、江戸時代以前の文献に「正座」という名前はありません。

明治になって、ようやくこう呼ばれました。

明治15年(1882)、『小学女子容儀詳説』という本があります。

小学生用というわけではなく、イラストも入った、娘向けのマナー集みたいな本です。

そこに、「凡そ正座は、家居(いえい)の時より学ひ置くべし」とあります。

そうしておかないと、他の家にいった時に痺れがきれて苦しむぞ、と書いてあります。

これが「正座」という言葉の初出のようです。

正座は、膝と足首に負担がかかるし、しびれて血行が悪くなるしで、あまり体に良い座り方ではない(実際、年をとったら正座はよくないらしい)らしいです。

「なんといっても正座というぐらいだから、日本の伝統的で正式な座り方なんだし」と思っていましたが、歴史を見ると、別にそんなことでもないようですね。

無理をすることはないのかな。

参考:日本の伝統の正体 著:藤井青銅さん

 

ありがとうございました。

 

そうなんですね。

平安時代の昔から、雅の人たちは正座していたと思ってませんでした?

でも、考えたら、その時代、高価な畳などなく板の間です。

正座は痛くてしてられないですよね。

畳や座布団の普及によって正座が、儀礼として広がり一般化したのですね。

私的には、利休も最初、お茶室では胡坐でしたが、小間の茶室を作ることにより、胡坐で座ると一畳に三人座れないので正座にしたのではと思っています。

 

今のあたりまえ(どうして「当たり前」と書くのでしょうね?調べなければ)。

昔を探っていくと楽しいですね。

そういえば、中学・高校時代、クラブでいつもさせられたのが「ウサギ飛び」。

今は、膝に悪いからと決してさせませんね。

その時代の常識、今の非常識、たくさんあるのでしょうね。

 

でも、いつまでも変わらないのが、「ありがとうございます」という、和の心。

いつまでも大切にしましょうね。

今日も最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

 

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