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「文化と文明をめぐって」 叔父の教え5 

和の心 20140902 手水

 

「文化と文明をめぐって」

 春 潮「しゅんちょう}

 

春の海のゆったりとした潮の動き、暖かそうな水の様子。

草花や木々の成長が春を教えるように、海の近くで暮らす人たちは、潮の色が淡い藍色になることで、春の訪れを感じるそうです。

与謝野蕪村の有名な句に「春の海 終日のたり のたりかな」とあるように、春彼岸の頃は一年で最も潮の満ち引きが大きくなり、その大らかな潮の様子が、のどかな春の景色をつくり出します。

文明に追われるのではなく、このように、自然の中で「終日のたり」とのんびりしたい春の日ですね。

 

さて、文化と文明の事、叔父は何と言っているかと思い、改めて本をめくってみました。

やっぱり、ありましたので、本文をご紹介。

 

日本人の生き方

 

日本人の医学と外国人の医学と、どこが違うのか。

それを簡単に申しますと、外国人はすべて対立的なものの考えで、強いて言うならば、人間の力で世の中を変えようという考え方です。

医学も、医者の力で患者を健康にするという考え方で、みんなこれを当たり前のように思っています。

しかし日本人はそうではなく、神さまや祖先のおかげでさせていただくというのが、日本人のもともとの考え方です。

そういいうことを考えないで、ただアメリカの医学をそのまま日本に持ってくるから、日本の医療がおかしくなったのだと思います。

だから、日本人は日本人の生き方というのを昔からやってきたのだから、堂々とそれを行って、世界にアピールすべきだと思います。

またそれが当たり前のことだと思います。

 

 

和の心 20140902 お茶

 

文化というのはその民族の歴史

 

宮司はずっと以前から、文化と文明とはまったく違うものだとおっしゃっていますね。

ええ。

大切なことなので改めて申しますが、文化というのはその民族の歴史の中から生まれてきた、その民族の知恵ですね。

これが文化です。

文明というのは、人間が得た知識によって、人間が、どのようなことができるかということを示すものです。

それが文明です。

だから、以前は文明を発達させることが人類の進歩につながるということで、夢を持ちながらいろいろなものをつくってきましたね。

でもそれも限度があって、これ以上はやってはいけないというところまできてしまったでしょう。

これ以上やっては自然が破壊され、生物が破壊される。

これ以上やってはいけないということを言うのが文化だと思うのです。

文化と文明というのは、そういうふうに違います。

いまのハイテクの技術というのは、とどまることを知らない。

医学においてもいわゆる神の領域というところまで入り込んでいます。

 

文明を止めるのが文化

 

そうした状況に対して、もうこれ以上はやってはいけないとストップをかけるのが文化の役目です。

ところが、日本人はその文化を捨ててしまったから、とどまるところを知らず、とんでもないところまで文明が発達してしまった。

これは破壊につながります。

人類の生活の幸せのために発達したはずの文明なのだけれども、限度を超えたときには、今度は破壊の道をたどっていく。

だから、必要以上に文明を発達させてはいけないものがあります。

これを文化が示さなくてはいけない。

ところが、文化というのは歴史から伝わります。

日本ではこの歴史を否定してしまった。

だから文化が滅んでしまったのです。

そのために文明だけの国になってしまった。

それで現在の日本の破壊が現れてきたと思うんですね。

いまでは、文化というと何か非科学的なものと思っている人が多いでしょ。

—中略—

 

いまこそ文化をよみがえらせて

 

ソビエトも、あれだけの大国が瞬時にして消えたでしょ。

ソ連というのは、ロシアの文化、宗教を全部否定して、その上に国をつくりました。

文化を捨てると、あれだけの強大な一国でも瞬時にして崩壊する。

これは、歴史からくる知恵、祖先から伝わった知恵ではないでしょか。

これを目の前に見ながら、それに気が付かなくて、まだ文明に走っている日本というのは、非常におろかだと思います。

いまこそ文化をよみがえらせて、生命、いのちを現わさなくてはいけないのです。

当たり前のことだと思います。

(書:神道<徳>に目覚める:葉室頼昭)

 

 

和の心 20140902 お茶室

 

ありがとうございます。

 

いかがですか?

この叔父の本は、2001年10月15日に発行されています。

それから、早、17年。

何かが変わったでしょうか?

何も変わってないですね。

このままだと私たちが困るのではなく、子供や孫たちに迷惑をかけてしまうのでは。

今だからこそ、当たり前のことを、一人一人が行っていきませんか。

文化という、歴史から、祖先から伝わってきている知恵をよみがえらせませんか。

出来ることから。

 

日本は本当に素敵な国です。

素敵なことをいっぱい学んで、子供たちにつなげていきたいですね。

今日も最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

叔父の絵本(著:前春日大社宮司 葉室頼昭氏) 「にほんよいくに」

 

参考:「温故知新」 叔父の教え④

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