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諸悪莫作、衆善奉行(しょあくまくさ、しゅぜんぶぎょう)

 

 当たり前のことほど、難しい

 

こんにちは。

知っているけれどもできない。知っているとできるは別。

何かを学び、何かを極めていく際に、できない人が発する言葉があります。

「そんなことは知っています。」です。

 

諸悪莫作、衆善奉行(しょあくまくさ、しゅぜんぶぎょう)

 

諸悪莫作、衆善奉行(しょあくまくさ、しゅぜんぶぎょう)。

千利休が弟子の一人と話しをしていた時に、笑嶺和尚(しょうれいおしょう)が引用した言葉です。

弟子が訪ねました。

「茶の湯で心得ておく最も大切なことはなにか?」と。

利休曰く。

「茶は服のように点て、炭は湯の沸くように置き、花は野にあるように、夏は涼しく冬は暖かに、刻限は早めに、降らずとも雨の用意、相客に心せよ」と。

利休七則が語られてきた南方録にある有名な問答です。

弟子は、そのくらいのことなら誰でも知っていると不服そうにします。

すると利休が、「では、今言った通り、一つの間違いもなく茶事をやって見よ」と。

そこで、笑嶺和尚が諸悪莫作、衆善奉行の話をしたのです。

全ての悪は行わず、全ての善は行うべし。

このことは誰でも知っているのに、実際は非常に難しい。

頭の中でわかっていても、実際に行動に移すことは難しい。

物事も表面的な理解では役に立ちません。

経営に活用されている理屈や理論は難しくありません。

しかし、試行錯誤しながら実際に行い成功と失敗を繰り替えす中で身についていくのでしょうね。

 

仏の教えは難しそうに思ってしまいますが、結局は「生きているだけで尊いことだ」「生きていることはありがたいことだ」と言ってるのではないでしょうか。

この生きている自分が、一番よく生きるために必要なのが「諸悪莫作・衆善奉行」。

簡単な小学生でもわかることが一番難しいことが生きていることかもしれませんね。

 

白楽天と道林和尚の話にも

 

唐の代表的詩人、白楽天(本名は白居易(はくきょい)と杭州の秦望山の名物禅僧、鳥彙道林(ちょうかどうりん)の会話です。

木の上で座禅をしている鳥彙道林に白楽天が「禅師の住処、甚だ危険なり!」と叫びました。

すると鳥彙道林は、「太守、あなたのほうが、もっと危険ですぞ!」と応じたそうです。

木の上にいる私を危険だというあなたは、自分自身の危険を忘れているのではないですけ。あなたのいる世界は危険がいっぱいありますよ。あなたの方がもっともっと危ないですよ」と、いうことです。

そこで、

さらに問答を重ねます。

「仏法の大意とはつまるところ何ですか?」

道行和尚は、「諸悪莫作・衆善奉行」と答えました。

悪いことはするな、良いことをしなさい、と。

 

三歳の子すら知っていても、八十の老人すらこれを実行することはむずかしいぞ!」と。

 

ありがとうございます。

 

分かっていることと、行うことは全く別ですね。

仏教の善悪の教えとは、「正しいこと」は自他を活かし、共に喜ぶこと。

「悪いこと」は、自他を殺し、悲しませること。

法句経に「悪の報いは自分にはこないと、小さい悪事を軽くみてはいけない。水のしたたり落ちる一滴一滴の水が、やがて水瓶をいっぱいにするように、愚かなる人は、ついに悪を満たすなり」とあります。

善きことを思い、善きことをなせば、幸福は必ず実現するという考え。

反対に、一時はずる賢く要領のいい人間がはびころうと、因果の法則はくらますことはできないという教えです。

この教え、人生の鉄則といってもいいでしょね。

 

先ずは自分から。

とっても簡単そうで、とっても難しいこと。

でも当たり前のことを。

 

今日も最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

この星が笑顔あふれる素敵な毎日になりますように。

先ずは、自分から。

 

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