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親を切ると書いてなぜ「親切」というのでしょうね?

 

「親切」 親を切って、なぜ親切なのか?

言葉の語源と由来を探ってみませんか

 

こんにちは。

私たちは普段、たくさんの言葉を使って会話をしたり、本や新聞を読みながら、たくさんの言葉と出会ってます。

その言葉のそれぞれについて、「なぜそう書くの?」って思うことないですか。

???といった疑問をもたせる不思議な言葉が結構ありますね。

そんな言葉の語源を探ってみるのも楽しいかも。

今日は、そんな言葉の中から「親切」を。

「親」を「切」のにどうして「親切」のなるのでしょうね。

 

「立」「木」「見」からなる「親」という字

 

「親」という字は「立」「木」「見」に分解できます。

「親」は、「木」の上に「立」ち、いつも子供を「見」守っていることを表しています。

年配者のなかには、この字をそのようにして覚えた人もいるでしょう。

「親」という字には、「したしい」という意味があり、思いやりが深いことを「親切」といいます。

 

「切」の本当の意味は

 

「親切」は「親を切る」とも読めますが、親を切るのがどうして思いやりが深いのか。

じつは親切の「切」は、切るという意味ではありません。

「切に望む」とった言い方をします。

その「切に」は、どうしてもと強く思う様子を表した副詞で、心から、心底からという意味です。

親切の「切」もそれと同じような意味であり、親しさ、思いやりの程度が激しいことを表しているのです。

「大切」という言葉があります。

この「切」も切るという意味ではありません。

この「切」はせまる(迫る)という意味であり、「大切」は本来は大いに迫ることをいいます。

参考:親を切ると書いてなぜ「親切」

 

 

日本の漢文学者・東洋学者の白川静さんの見解は?

 

確かに「親」は「木」「立」「見」でできています。

白川さんも「いちおう理屈(りくつ)におうとる」と笑っていましたが、この説明では「親」とよく似た「新」や「薪(たきぎ)」などが説明できないのです。

では白川静文字学の「親」の説明はどうでしょうか?

それをまず「新」の文字の説明から始めたいと思います。

「新」は「立」「木」に「斤(おの)」を加えた文字。この「立」の部分、これは「辛(しん)」という字の省略形です。

「辛」は取っ手のある針の形です。

古代中国人は、この「辛」を入れ墨(ずみ)のための針や投げ針として使いました。

「はり」の意味のほかに「つらい」「からい」などとも読みますが、これは入れ墨をするときの痛みからできた意味です。

親が亡くなり、新しく位牌(いはい)を作るときにも「辛」を投げて木を選びます。

そして「辛」が当たった木を「斤」で切ります。

このような儀式(ぎしき)を表しているのが「新」です。

新しい位牌を選ぶので「あたらしい」の意味になりました。

「辛」が当たり、位牌のための神木として選ばれた木が「薪」です。

その木は祭の際に燃やす木にも使うので、「まき」の意味となったのです。

そして最後に「親」です。

これは「辛」と「木」に「見」を加えた字。

新しくできた位牌をじっと拝んでいる姿を表す文字なのです。

その位牌は父母の場合が多いので、そこから「おや」の意味になりました。

参考:「親」 位牌を拝んでいる姿

 

 

ありがとうございます。

 

言葉って面白いですね。

時代とともに新しく生まれ、また失われていく運命なのかもしれません。

日本人が長年にわたって育んできた言葉の中には、このまま消滅させてしまうにはあまりにも惜しい言葉が多数あるかも。

日本語が大きく変わろうとしているこの時代にあって、改めて再認識することが必要かもしれませんね。

 

今日も最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

素敵な日本の文化をいつまでも大切にしていきたいです。

 

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