「母の絞りを見よう見真似で」始めたのは12歳のとき。その2年後に母親と死別。
今では数少ない疋田絞りの職人、川本和代さんの絞りには、母親から受継いだ技と母への想いが込もっている。
こんもりとした丸い指が、生地に刷り込まれた小さな水玉の粒をひとつひとつを摘み括っていく。
あま撚りの絹糸は右手指に複雑に掛けられていて、括り拍子を取る。
結び目を作っているわけでもないのに、括られた山は硬く均一に隆起して正絹の柔らかな生地からは想像できない程堅い。
「疋田絞り」いわゆる総絞りは、仕上げるのに1年はかかる大物だ。
慣れるまでは指先から血が滲む程の手仕事。

川本和代さん HP 川本和代さん FB
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