明王の役割・由来・見られる寺院・主な尊像

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明王は、非常に強い力を持ち、悪を打ち砕いて、仏法を守る仏様です。明王と聞いて思い浮かぶのは、髪を逆立てた恐い顔をしている仏像ではないでしょうか。

ここでは明王がどのような仏様で、どのようなご利益を賜われるのか、お話したいと思います。

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明王の由来・役割

「明王」は、仏教の中でも密教から生まれた仏様と広く信じられています。

密教は7、8世紀ごろインドで起こり、唐代に中国に伝わりました。そして日本には平安初期に空海・最澄によって伝えられ、広く信仰された大日如来を本尊とする深遠秘密の教えだと言われています。

そのため、密教における最高仏尊「大日如来」の命を受け、仏教に未だ帰依しない民衆を帰依させようとする役割を担った仏尊が明王になりました。

インドの古典言語、サンスクリット語では「ヴィディヤ・ラージャ」、これを訳して明王と言われており、「ヴィディヤ」は「知識」や「学問」を意味しています。

ヒンドゥー教のヴェーダが神話だけでなく呪文と祭式を記した文献であるのと同様、 明王たちが司るヴィディヤもまた「呪」としての一面を持ち、明王たちは 密教の様々な儀式で重要な役割を担っています。そして、如来や菩薩の「静」に対して、明王は「動」だと言われています。

明王はもともと古代インド神話においても「天」より高い見地に所在していた存在だと考えられています。

仏教に包括された後、「天」は仏の世界を支える須弥山という山の守護を主役割とし、明王は民衆の教令を主とするなど、その役割に違いが現れていると言われてきました。

明王は、道を誤った者を説き伏せ、なかなか従わない者たちを厳しく取り締まるため、忿怒(ふんぬ)の姿をしていると言われています。髪を逆立てて怒っている顔や、武器を手にしているものが多いのは、単なる怒りを表現したものではなく、煩悩や邪悪に対する厳格な態度を表したものです。

明王の御神徳・ご利益

明王にもいくつか種類がありますが、明王の中心的な尊像である不動明王は、「厄難除災の仏様」と言われています。

災難を砕いて魔を取り除き、苦悩に立ち向かう勇気や迷いを断ち切る力を与えてくれると言われ、出世や勝負事、商売繁盛の成就や厄払いのご利益があると伝えられています。また、不動明王は「酉年生まれの守り本尊」とも言われています。

その他にも、ご尊像によって御利益は異なりますが、「除災」、「病患」、「渇水」、「祈雨」、「天変地異」、「解毒」など様々なご利益があります。

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主な明王の尊像と見られる有名寺院

明王にもいくつかの種類がありますが、中でも中心的な役割を担う明王は6名おり、五大明王と呼ばれています。

尊像のほとんどが上半身は裸で、条帛を肩からかけ、下半身は裳(裙)をつけ体には瓔珞(ようらく)、臂釧(ひせん)、腕釧(わんせん)などを身につけています。

様々な武器を手にしているのも特徴で、この持物により仏像を見分けることも可能です。
ここでは、代表的な五代明王についてご紹介したいと思います。

不動明王

その中でも最も強い力を持っていると言われているのが不動明王。
不動明王は、ヒンドゥー教の最高神 シヴァ神に起源があると言われています。

インド名では「アチャラナータ」と言い、アチャラは「動かない」、ナータは「守護者」を意味すると言われ、「動かない守護者」という意味をもつため、「不動」を冠して呼ばれるようになりました。

この、不動明王は火生三昧という、言わば炎の世界に住んでいると言われ、人間界の様々な煩悩が仏の世界に波及しないように、聖なる炎で焼き尽くす役割を担っていると伝えられています。
このため、護摩法要を行っているお寺には、炎を司る不動明王が祀られていることが多いです。

◎見られる寺院
東京都 金剛寺(高幡不動)
京都府 東寺御影堂
兵庫県 神呪寺
香川県 成田山聖代寺

降三世明王(ごうざんぜみょうおう)

阿閃如来の命を受ける、不動明王に次いで格の高い明王です。
過去・現在・未来の三世と、貪(とん=欲望)・瞋(じん=怒り)・痴(ち=無知)の三毒(煩悩)を降伏させるので、降三世と名がついていると伝えられており、金剛薩埵菩薩の化身だと言われています。

一般的な像容としては、4つの顔と8本の手があり、背には炎の形をした光背を持ち、手には様々な武器を持っています。

大日如来が説法をしていたとき、大自在天(ヒンドゥー教のシヴァ神)とその妃・鳥摩(ウマー)が仏教の教えに従わず欲望に捕らわれていたため、降三世明王が降臨して倒したと言われています。
そのため、降三世明王像の足下には大自在天と鳥摩が踏みつけられています。

◎見られる寺院
福井県 明通寺

軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)

宝生如来の教令輪身とされる尊格であると言われています。

もともと「軍荼利」はサンスクリットの音写語でKuṇḍali(グンダリー)と言い、グンダリーには水瓶を持つ者、甘露(神々の飲料で不死の薬)の入れ物という意味もあると伝えられています。その為、甘露(かんろ)軍荼利明王または吉利吉利(きりきり)明王と呼ばれることもあります。

一般的な像容としては、3つの眼に8本の手があります。胸の前で交差している印が特徴です。この2手は軍荼利明王の根本印。そのほか右の2手は金剛杵、金剛鈎、印、左の3手は三叉戟、輪、羂索です。また手足には蛇が巻き付いており、蛇のベルトをしています。

蛇は煩悩の象徴であり執念深さを表すとされ、軍荼利明王が煩悩をこれ以上ないというほど打ち砕くという意味をもっていると伝えられています。

◎見られる寺院
埼玉県 常楽院(通称:高山不動)
滋賀県 金勝寺
大阪府 東光院 萩の寺

大威徳明王(だいいとくみょうおう)

大威徳明王 は阿弥陀如来の教令輪身として、明王の中でも特に重要な役割を与えられた一尊です。
梵名で「ヤマーンタカ」と呼ばれ、これは「ヤマをも倒す」という意味だと言われています。
この「ヤマ」とは、ヒンドゥー教の死の神です。

5~6世紀頃のインドは、ヒンドゥー教への信仰が高まっていた時代だったため、ヒンドゥー教の神々よりも仏教の仏たちのほうが優れていることを示す必要があったのだと伝えられています。

そして、7~8世紀頃に生まれた大威徳明王はヤマの名を取り入れることによって、死の神をも支配する存在だと示されたと考えられています。

大威徳明王はこのヤマも支配するとされる事から、“閻曼徳迦(えんまんとくか)”や“降閻魔尊(ごうえんまそん)”とも呼ばれ、一般的な像容としては6つの顔と手と足があります。2手は大威徳明王の根本印。そのほか右の2手は剣と棒、左の2手は三叉戟、輪を持っています。

そして、一番の特徴は水牛に乗っている点です。

◎見られる寺院
大分県 真木大堂
奈良県 唐招提寺
滋賀県 石馬寺

金剛夜叉明王(こんごうやしゃみょうおう)

金剛夜叉明王は古代インド神話に登場する「ヴァジュラヤクシャ神」が仏教に包括された仏であると考えられています。この‟ヴァジュラ“とは金剛杵という武器を意味しています。

ヴァジュラはインドにおける雷を放つ神の武器であり、金剛夜叉明王は「雷=どのような障害をも貫く聖なる力を持つ神」という意味があると伝えられています。

金剛夜叉明王は古代インド神話においては、人を襲う恐るべき魔神(夜叉)であり、人々の畏怖の対象でしたが、後に大日如来の威徳によって善に目覚め、仏教の守護神五大明王の一角を占める仏となりました。仏教に帰依した金剛夜叉明王は、悪人だけを喰らうようになった、と言われています。

こうした説から「敵や悪を喰らい尽くして善を護る、聖なる力の神」という解釈が一般的となり、故に日本においても古くから敵を打ち破る「戦勝祈願の仏」として広く武人たちに信仰されています。

一般的な像容としては金三面六臂の姿で、正面の顔は眼が5つもあり特徴的です。
6本の手には名前の由来である金剛杵や弓矢や長剣、金剛鈴等を把持して構えています。

◎見られる寺院
金剛夜叉明王は単独で祀られている寺はほとんどなく、五大明王の一尊で北方に祀られています。

◎五大明王を祀っている主な寺院
茨城県 常福寺
宮城県 瑞巌寺
京都府 醍醐寺
京都府 教王護国寺(東寺)
奈良県 不退寺
奈良県 宝山寺

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明王のレプリカ像を手元に置いておくことは出来るのか

出世や勝負事、商売繁盛の成就や厄払いのご利益をもたらしてくれる明王像。ご自宅に祀っておきたいと思われる方も多いのではないでしょうか。

今は、通信販売などでずいぶん手軽に購入することができるようになりました。大きさや材質などにもよりますが、比較的安価なものもありますので、きっとお気に入りの明王様が見つかるはずです。

大手通販サイトの楽天で「不動明王像」を検索してみたところ、151件ヒットしました。
中でも、東京浅草 滝田商店で販売されている「不動明王 合金製金メッキ 7.5cm【渡辺景秋作】」は価格が税込3,931円 (送料別)と、お手頃に購入することができます。

 

 

 

同じく、Amazonでも233点の不動明王像が販売されています。

トモエの木彫仏像で販売さている「木彫仏像/不動明王座像火炎光背四角台2.5寸桧木」は、約19cmの高さのレプリカで、お値段が税込み8,796円(関東への送料無料)となっています。

明王像は「イスムショップ」という仏像の通販サイトで精巧なものが販売されています。
仏教の専門家が監修したものですので、緻密さはお墨付きといったところではないでしょうか。

また、仏像ワールドでも様々な明王像を取り扱っています。

>>イスムのウェブサイトを見てみる

まとめ

仏様は宗教的な意味でお祀りして、信仰心を養う、何かを祈願することが一般的と考えられていますが、芸術的な観点から鑑賞することもできます。

装飾が好き、お顔立ちが好き、など入り口は様々ありますが、そこから由来や役割など、きちんとした意味を知るとより親しみやすくなるのではないでしょうか。



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