匂い(ニオイ)と香り(カオリ)はもとは嗅覚に関する語ではなかった

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(写真は香時計)

 

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お香で心身を清めましょう

こんにちは。

先日12日に浄住寺のご本尊が蘇ってお戻りになられました。
多くの方にお集まりいただきお焼香をいただき、清涼なる中御霊もお戻りになられました。
みなさま本当にありがとうございました。

さて、お焼香、お香の会を12月16日に「ひととせを京都御所のお香の会で締める」の名にて催しますので、お時間のある方は是非ともお遊びにお越しください。

さて、先日もお香を焚きましたが、お香を焚くというのはそもそも仏教の作法の一つ。
香りを仏さまやご先祖さまに楽しんでいただく「お供え」の意味があります。
他に、蝋燭・お花・ご飯・お水と合わせて五供といいます。
そして、拝む人自らを清めるためのものでもあります。
現代を生きる私たちは日々の生活の中で様々な邪気を身につけてしまっているので、仏さまやご先祖さまの前でお祈りする前にお香の香りで心身を清浄するのですね。

さて、お香の匂いと香りのことで堀井令似知さんのご本「ことばの由来」に「そうなんだ」というお話がありましたのでみなさんと楽しみたいと思います。

 

匂いの「ニ」は赤い色のことだった

日本語のニオイもカオリも、もとは嗅覚に関する語ではなかった。
「匂う」は、元来、色が美しく映えるという意味である。
ニホフのニは「丹(ニ)」(赤土・赤色)であるとの意識が、古代人にはあった。
したがってニは赤い色のことである。
ホは、「秀」、際立つことであった。
赤色に、輝くように色付くことが「匂う」だったのである。
「万葉集」に「見渡せば、春日の野辺に、霞立ち、咲きにほへるは、桜花かも」(巻十、一八七二)とあるニホウは、桜の花が美しい色に咲き、色付くという意味で用いている。
「咲く花のにほふがごとく」といえば、美しい色に輝くことをあらわすのである。

それが転じて、芳香について香りが際立つという意味になった。
このときのニホウは、カヲルと同じように、好ましい匂いに限られていた。
それが、のちには好ましくない臭いにもいうようになった。
現代ではニオウが、よい感じであれば「匂う」と書き、悪いニオウは「臭う」と書いて弁別する。

またニオウは、美しさがあふれ出すような、恩恵が及ぶの意味にも用い、染色の色目を薄くぼかした状態のものや、刀剣の刃のほんのりと見える文様にもいう。
「不正がにおう」のように、その雰囲気が感じられるさまにも使うが、これなどは、今では嗅覚の方に引き付けた「(不正の)悪臭がする」という比喩としての意味が強いだろう。

 

香るは煙や霧が立ちこめることだった

カオルの方は、もとは煙や霧が立ちこめ、漂うことであった。
物の気が漂うことから、香気を感じることをいうようになったのである。
古語カヲルのカを、「香」と結び付けて、香気を放つの意が原義であると見ることもできようが、煙や霧が立ちこめる意味の方が古いようである。
「万葉集」(巻二、一六二)に、「沖つ藻も なみたる波に 潮気のみ 香れる国に」とある。
この場合のカヲルは、潮気が立ちこめることを意味している。

また平安時代には、目元など顔立ちのつやつやして美しい形容にカヲルを用いた。

このように、もともとはニオイが色についての語であり、カオリが物の気が漂うという意味の語であったとすれば、古代人は匂いをあらわすためにどのような語を持っていたのであろうか。
それは、カ(香)という一音節の語であった。
カは、主に植物の香りについていった。
上代では、梅や橘の香りは称賛された。
「梅が香」「花橘の香」は物語や歌に登場する。
香りが良い意味のカグワシは、「香(か)・妙(くわ)し」である。

ところが近世になって、カという一音語では不安定と感じられるようになると、カザという語が造られた。
京ことばでは、「この花のカザかいでオミヤス」(この花の香りをかいでごらんなさい)という。
また上方では、匂いをカグことをカザムといっている。

 

「コウ」といえば邪気を払うもの

日本語のカ・カザに対して、中国から入ってきたコウ(香)という語は、香り、良い匂いの意味で平安時代の文学作品にも使われている。
また、コウといえば、香木や香料の意味で用い、邪気を払うものであった。
中古からは、芳香をくゆらせ、衣類に炊きしめたりするようになった。
香を焚いて、その匂いをかぐ香道、香合わせも行われた。
香のかおりをかぐことは「香を聞く」と表現する。

ところで、においには良い匂いと悪い匂いがあると先に述べたが、厭な臭いについてはクサイという語も使う。
もとは、クサイは「朽つ」と語源を同じくする。
クツもクサイも、もとはともに、汚(けが)れを憎む呪いのことばであった。
人をクサスというクサも、腐る意味のクタスに由来する。
腐らせることから、人を悪くいう意味になったのであろう。

 

ありがとうございます。

お香の効果はあの一休さんが「香の十徳」という香が及ぼす精神的・肉体的な効用をまとまています。

感格鬼神:【読み】感は鬼神に格(いた)る。        【意味】感覚が鬼や神のように研ぎ澄まされる。
清淨心身:【読み】心身を清浄にす。             【意味】心身を清く浄化する。
能除汚穢:【読み】よく汚穢(おわい)を除く。       【意味】穢(けが)れをとりのぞく。
能覺睡眠:【読み】よく睡眠を覚ます。            【意味】眠気を覚ます。
静中成友:【読み】静中に友と成る。            【意味】孤独感を拭う。
塵裏偸閑:【読み】塵裏に閑(ひま) をぬすむ。   【意味】忙しいときも和ませる。
多而不厭:【読み】多くして厭(いと)わず。   【意味】多くあっても邪魔にならない。
寡而為足:【読み】少なくて足れりと為す。    【意味】少なくても十分香りを放つ。
久蔵不朽:【読み】久しく蔵(たくわ)えて朽ちず。【意味】長い間保存しても朽ちない。
常用無障:【読み】常に用いて障(さわり)無し。   【意味】常用しても無害。
(参考:「ぶつえいどう」さんのHPよ

香を楽しむにはこれからの季節がいいと思いませんか。
私的には暑い夏より、これから寒くなり空気が張り詰めた時の方が香の煙が人の持つ邪気を払てくれるような気がします。
宜しければ12月16日のお香の催しお越しくださいね。

今日も最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。
香を焚くことによって日々清めていきたいと思います。

 

 

本「ことばの由来」著:堀井令似知さん



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