私が絵の前で立ちすくんでしまった作品  成願義夫さんのお話し

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『焔(ほむら)』 上村松園

190.9cm×91.8cm

 

光源氏の正妻である葵上に嫉妬し、生き霊となって呪い殺そうとする六条御息所を描いたこの作品。
初めてこの絵の実物を見たとき身震いしたのを覚えている。
自らの髪の束を噛みしめている表情のなんとも恐ろしくも美しいことか。

この美しさは光源氏を思う女の一途な恋情、故。
生霊を描いた上村松園の凄まじいまでの画家として、女としての情念を感じる作品。

(注)
この作品の蜘蛛の巣は銀で描かれていたらしい。
当初は銀色に輝いていた、それが変質して今では黒く見えている。

 

『花筐(はながたみ)』 上村松園の大作

208cm×127cm

 

継体天皇の皇子時代に寵愛を受けた『照日の前(てるひのまえ)』が、天皇への恋情が募るあまり、狂女となって故郷を飛び出し、形見の花筐を手に都に上り、帝が紅葉狩りに行くと知って、道の辺に帝を待った。
見るからに狂人のようなその姿が照日の前と気づいた帝は、「舞を見せよ」と宣旨あそばされた・・・・

上村松園は、この絵の為に実際に狂人を観察して何枚もスケッチしたというから驚きだ。
能面のように無表情でありながら瞳の奥に深い悲しみがある。
この絵を前にして、なんとも言いようのない切なさに襲われた。

上村松園の言葉
「私は、この照日前の舞姿、狂人の狂う姿を描こうと思い立ったのであるが、ここに困ったことには、わたくしに狂人に関する知識のないことであった。私は祇園の雛妓に髪を乱させて、いろいろの姿態をとったり甲部の妓に狂乱を舞って貰って、その姿を写生し参考としたが、やはり真の狂人の立居振舞を数日眺めて来たことが根底の参考となったことを思うと、何事も見極わめること、実地に見極わめることが、もっとも大切なのではなかろうかと思う。」

 

京都デザインファクトリー代表 伝統文様研究家 成願義夫さん
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