460年の伝統を受け継ぐ茶筅師、谷村丹後さん

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茶筅ドアップ

 

なぜ、各流派の家元や先生、茶人に愛用されているのか、その理由がわかりました。

 

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◆国内シェア90%以上の茶筅の里

 

 

高山の茶筅づくりの歴史は室町時代にまで遡ります。
室町中期の茶人、村田珠光が創始者といわれている「わび茶」が千利休へと続き、茶道が隆盛を極めます。
茶道の隆盛とともに茶筅づくりも活発になり、その時代から現在まで大和高山では職人さんが一つひとつ手作業でつくっています。
今なお生駒の大和高山は、茶筅の全国シェア90%以上を占め、茶筅の里として知られています。
大和高山の茶筅づくりの技は、一子相伝の技として受け継がれてきました。
技を盗まれてはいけないと、茶筅づくりは深夜におこなうという理由がこれです。
お話をお聞きした谷村丹後さんも深夜に仕事をされるとおっしゃっていました。
余談ですが、何年か前にTV番組「和風総本家」で谷村丹後さんを取材したプログラムを観たことがあります。
そのときもお一人で深夜に仕事をされていました。

 

一子相伝の技がつくる作品

 

茶筅仕上がり品1

茶筅仕事作業風景1

茶筅作業風景5

茶筅の仕上げ工程サンプル

 

一子相伝と聞いていたので、作業する手元の写真撮影は遠慮していたのですが、何と谷村さんは「ここは撮ってもいいですよ」とおっしゃいます。
「TVに何度か取材を受けているので、作業風景はけっこう映像に残っていますよ」
ただ、ある作業の撮影は遠慮してくださいと言われました。
「そういう映像が出回ったので、たとえば中国や韓国でも茶筅を作れるようにはなっています、ただ、仕上がりは雲泥の差があります」

 

 

茶筅づくりは、私たちが見せていただいた作業の前作業にも重要な仕事があるのです。
茶筅の材料は竹ですが、茶筅作りで使う竹は淡竹、燻竹、黒竹、青竹の4種類だけ。
それを大きさ、節から節の長さなどから厳選し、いい仕事ができる竹にするためひと冬かけて仕込み、谷村丹後さんが作る茶筅にふさわしい竹に仕上げていく。
それは中国や韓国にはできない仕事です。

 

 

「それは流れ作業で大量に作っていくか、一つひとつ職人がお茶を点てる人を想いながら丹念に手作業で作っていくかの違いです」
長さ12から13cmの竹を均等に何度も裂き、細い先端を紙よりも薄く削いでいく。
その仕事は谷村丹後さんの手が覚えています。
私たちの目の前に、みるみるうちに美しい茶筅が現れてきました。
茶筅はその用途から消耗品と扱われがちですが、この丁寧な仕事と出来上がった茶筅の美しさは、まさに一つの作品と呼べるものでしょう。

 

 

◆茶筅を使う人を想いながら作る職人の心意気

 

 

各流派ごとに茶筅の先端の形や竹の種類が決まっています。
谷村丹後さんの仕事場には数え切れないほどの流派の茶筅が置かれていました。
その一つひとつは、使う人に要望や意見を聞いて作られたものです。
「家元様をはじめ、様々な先生方や茶人と呼ばれる方から、気に入って使っていますよ、とか、今回の茶筅は堅さちょうど良かったね、とかおっしゃっていただけるのが、私の制作意欲を高めます」

 

◆旺盛な制作意欲がオリジナルな茶筅を作らせた

 

 

絶大なる信頼を得ている谷村丹後さんですが、実はオリジナル茶筅も制作しています。
そのひとつが淡竹の変種である「雲紋竹」を使った茶筅です。
雲紋竹は文字通り、手で持つ部分が雲のような模様が不規則に入ったおもしろいビジュアルの竹です。
この雲紋竹を使った茶筅は、たぶん日本に存在しないでしょうね。
茶筅で使う竹は、淡竹、燻竹、黒竹、青竹(もしくは淡竹、真竹)の4種類だけとなっていますから」
これは流派や流儀によって昔から決まっていることなので、それ以外の材料を使って作るということは、作った茶筅には商品価値がないということになります。

 

ではなぜ雲紋竹を使おうと思ったのか。
「それは、オリジナリティーの出しにくい茶筅制作の場で、何かしら個性的なものを作れないかと考えたからです。 雲紋竹の雲のような模様は二つと同じものがなく、しかも淡竹の一種なので茶筅の材料としてもピッタリな竹なのです」
さらに谷村丹後さんは今までにない茶筅も作っています。
「今、茶筅を縛る紐に色紐を使ったオリジナルな茶筅を作っています。正式なお茶会では使えない茶筅ですが、気軽にお茶を愉しむというコンセプトで作りました」
伝統を継承し、その技を極めた谷村丹後さんの制作意欲は尽きるところがないようです。

 

 



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