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「カブキ者」  歌舞伎の横道歩き♪第14回

「カブキ者」  歌舞伎の横道歩き 第14回

 

まだまだ、不安な日々。

ざわざわと落ち着きませんが

世の中は、模索しながら動いていますね。

歌舞伎も、8月から生の舞台が再開することが発表されました!

どんな形でも、うれしい!!

 

◆歌舞伎の創始者は「カブキ者

 

「カブキ者」って、ご存知の通り

室町後期に現れた

奇抜な装いで、町を闊歩していたちょっと?元気な若者たち。

大人たちからみたら、世の中からはみ出し傾いた(かぶいた)者。

で、傾き(カブキ)者。

 

安土桃山~江戸の始め、一風変わった芸能が巷を賑わします。

茶屋で客と女郎のやり取りの場面を見世物としたもの。

客を演じるのは、男装をした女性。

女郎を演じるのは、女装をした男性。

(ただ、女性の着物を羽織っただけでお化粧もせず、髭もそのまま!)

踊りあり、台詞あり、男女の際どい場面もあり。

「かぶき躍」と呼ばれ、大層な見物だったようです。

「当代記」という書物にその記録が残っていて

これが、1603年4月。

そして、男装をしていたのは「国」という女性でした。

この記録から、歌舞伎は1603年阿国によって始まったことになっているんですね。

阿国さんも、ずいぶんカブキ者だわ~。

 

◆立ちはだかる「武家諸法度」、「五箇条の御誓文」

 

今、歌舞伎は非常事態。(歌舞伎に限らずですが…)

歌舞伎の歴史始まって以来の危機? ではないんです。

 

爆発的人気を得た「かぶき躍」は、

阿国以外の人達も演じ始めます。

若い女性のグループ(女郎歌舞伎)、若い男性のグループ(若衆歌舞伎)。

新しい舶来楽器の三味線(高級品!)も用いられ、華やかな舞台だったようです。

(阿国は、三味線を使っていません)

熱狂のあまり、贔屓役者の取り合いや、心中、刃傷事件などトラブルが多発。

1608年ごろから、何度も禁止令が出ました。

1615年の「武家諸法度」もそのひとつ。

武家諸法度って、歴史の時間に習ったけど歌舞伎にも影響していたのか!!!

武士のみなさんも、どっぷりはまっていたようです…

結局1651年、人気役者が奉行所に呼び出され

前髪を剃り落されて、カブキは完全に消滅してしまいました。

 

その2年後カブキは、形を変えて復活!

復活の条件は

・舞踊ではなく、劇(狂言づくし)

・女性の役も成人男性が演じる(女形)

ここで、女形という新しいカブキ者が出現することになりました!

 

その後も危機は数々ありますが

大きな非常事態は、明治維新。

1868年に公布された「五箇条の御誓文」に

「舊來ノ陋習ヲ破リ天地ノ公道ニ基クべシ

(これまでの悪しき慣習を改め、世界に通じる方法で行う)」

と、明治時代の方向性が発表されます。

歌舞伎に直接的な命令が出るのは、4年後の「狂言綺語の廃止」。

これまでの庶民の娯楽だったものが、「悪しき慣習」?

・海外の人が見てもわかりやすく、恥ずかしくない教養の高いものを作れ!

・事実に反する作り話の禁止(織田信長を小田春永と変えてはいけない)

とのこと。

これに対して真っ向取り組んだのが、九代目市川團十郎。

史実に忠実に、役になりきる「腹芸」と言われる新しいお芝居を作り出しました。

隈取り無し、台詞は少なめ。役の心理を表情で表現。

見た目は地味ですが、その熱い魂は「カブキ者」そのものですね。

 

その次は、第二次世界大戦。

戦時中は、興行中止。

戦場で亡くなってしまった役者さんもいらっしゃいます。

そして、敗戦。

GHQが、「皇国・忠孝思想を煽る危険性がある」狂言の上演を禁止しました。

・仇討

・史実と異なるもの

・封建的忠義を連想させるもの

・自殺を肯定するもの

・天皇を賛美するもの、などなど

狂言の台詞を変えるなどして

上演許可のお伺いを立てていたようです。

忠臣蔵の上演OKが出たのは、敗戦から2年後だそうです。

ここでは、さすがに傾けなかったようで…

 

◆令和のカブキ者!

 

2月後半の舞台中止から5か月。

その間、いろいろな方が、それぞれにチャレンジをされ

いくつか観ることができました。

 

動画配信が圧倒的に多かったですが、

その内容は、さまざま。

中でも、松本幸四郎さんの「図夢歌舞伎(ズーム歌舞伎)忠臣蔵」と

中村壱太郎さんの「ART歌舞伎」は、なかなかの傾き具合でした!

 

 

図夢歌舞伎忠臣蔵は、

「仮名手本忠臣蔵」をベースに全11段を5回に分け

最少人数、大胆脚本、大胆演出で上演されました。

一番のこだわりは、「生配信」。

劇場ではないですが、「今」という時間を共有するということは、

演じる側、観る側にとってとても貴重なこと。

ハプニングなどリスクは高まりますが、それも共有できる楽しみでもあります。

録画でもよいのに、あえて2役早替わりをされたようで、

もちろん舞台裏は見えませんが、

アップで映し出されるお顔の汗からも、「生」を感じることができました。

リモートで他の役者さんとの生共演も、興味深かったです。

 

もちろん、録画の部分もありました。

ご自身との録画と生の共演。

他の役者さんとの録画と生の共演。

そう! 初代白鸚さんとの共演もありました。

思っていたより違和感はなく、

映像が残っているのなら、先人との共演がありうる!

と、テンションの上がった演出でした。

 

 

ART歌舞伎は、舞踊4本を90分にまとめたもの。

こちらは、先撮りして編集された映像でした。

綿密に作り込まれた映像。

衣装もメイクも、照明も映像も。もちろん音楽も、舞も。

すべてがアートでした。

 

ART歌舞伎のこだわりは、異種業とのコラボ。

歌舞伎役者は、壱太郎さんと尾上右近さんのみ。

音楽は、二十五紘箏、津軽三味線、琵琶など通常の歌舞伎の舞台では演奏されない楽器。

メイクは、モード界トップのメイクアップアーティストがされました。

歌舞伎とは無縁だった方々。

けど、それぞれの業界で活躍されている方々。

そんな方々が、「ART歌舞伎」という1点の目標に作り上げられた作品。

歌舞伎とは違うけど、やっぱり歌舞伎。

すばらしい作品でした。

そして、希望が見えた、とてもうれしい作品でした。

それは、令和にも「カブキ者」がいたことがわかったから!

 

400年余り、困難に立ち向かいその時代に合わせて生き続けてきたカブキ者。

令和にもしっかりDNAが受け継がれていました。

これで当分、大丈夫☆

 

2020(令和二)年 文月 安積美香

ありがとうを世界中に
Arigato all over the World

 

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