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「勘亭流」という文字をご存知ですか?

 

今日は勘亭流のお話し。

夏土用入り

 

こんにちは。

まだまだ梅雨明けをしない京都です。
日照時間も例年より短くお野菜が高騰しているとか。
自然に左右される人間の生活。
だからこそ、日本人は古より自然を神として崇め畏れていたのでしょうね。

さて、19日は「夏土用入り」、雑節の一つですね。
酷暑の時期のことで、「土用丑の日」とはこの夏の土用期間中の「丑の日」のこと。

売れない鰻屋さんのために、「土用に鰻を食べましょう」と、はじめに言ったのは、平賀源内という説。
もうひとつは、神田の老舗鰻屋伝来の夏の蒲焼きの保存法。
「丑の日に焼いた鰻が色も香りもよかったから」ということからはじまったという説。

丑の日に焼いたものが悪くならなかったから、という説。があります。

 

勘亭流 川端耕司さん

さて、前説が長くなりましたが、みなさんは「勘亭流」をご存知ですか。

先日、「すてきサロン」で勘亭流戯筆の川端さんをお招きして学びました。

歌舞伎ファンのかたならよく知っている、京都南座の12月の顔見世で入り口にかかっている「まねき」の文字が勘亭流なのです。

そもそも勘亭流は、安永八年(1779)江戸堺町の書道指南・岡崎屋勘六が、同町中村座の座主、九代目中村勘三郎の依頼を受け初春狂言「御贔屓年々曽我(ごひいきねんねんそが)」の命題看板を揮毫(きごう)し、不入り続きであった中村座の興行が大入りに転じたことがきっかけとなり勘六の書が評判を呼ぶことになりました。

勘亭流の名称の由来は勘六の号<勘亭>、つまり勘六の書風を意味しています。

 

勘亭流は縁起文字

この勘亭流の書体には縁起文字としての三つの大きな特徴があります。

1. 角を尖らせず丸みを帯びることによって、興業に関わる全ての無事円満を願う。

2. 客席が埋まるようにと墨黒々と隙間なくたっぷりと書き、大入満員を願う。

3. お客を招き入れるように、撥ねは外にではなく内へ撥ねて興行の大当たりを願う。

宣伝手段の乏しかった時代より現代まで脈々と受け継がれ、芝居(歌舞伎)の世界を表現する文字としてはもちろんのこと、今でも猶、縁起文字としてあらゆる場面で活躍しています。

 

江戸文字(図案文字)

江戸時代には勘亭流の文字のほかにもいろいろな文字が考案され、それらを総称して「図案文字」とも言われていました。

それぞれの書体は別々の名称を持ち、使用される用途も違っていましたが、紺屋(江戸時代の染物屋のこと)の2代目・絵場屋である相澤兼吉が、それぞれの図案文字をまとめて江戸文字と言うようにしたのが始まりと言われています。

他にどのような江戸文字があるかといいますと

1. 芝居文字
勘亭流のことで芝居小屋の表看板はもちろん、街頭の宣伝物である番付(ポスター)などにも書かれており、文字の大きさはもちろん用途に応じて変わってました。

2. 寄席文字
通称、橘流(たちばなりゅう)。今でも湯島天神の横にお店があります。
客を寄せるための書体で、客が集まるように縁起をかついで、字が詰まり加減になっているのが特徴です。
勘亭流と提灯文字を元に始まりました。
落語の看板やめくり、番付、ビラや千社札に使用されています。

3. 相撲字

江戸の相撲会所(現在の相撲協会)の番付版元であった三河屋根岸治右衛門兼吉が創始したと伝えられており、「根岸流」とも言われます。
また、力文字とも呼ばれ、力士が互いに力を出し合う様を表しているといわれています。
現代でも、行事の修行としてこの相撲字の習得は土俵上での捌きとともに、必須とされています。

他にも「籠文字」「髭文字」「提灯文字」「角字」などがあります。

 

ありがとうございます。

勘亭流を含む図案文字、面白いですね。

そしていっぱいあるのですね。

それぞれが縁起をかつぎ、商売繁盛を願い考えてつくられた文字。

今のようにパソコンのフォントを選んでキーボードをたたけばそのフォントになるのと違い、図案は決まってますが書き人が文字ごとに考えて一文字づつ祈りを込めて丁寧に書いているさまが素敵です。

川端さんの講義の中で、習字と違って一筆で書くのではなく、文字が形になるように何度もなぞり形を整えていく。

時には、書き順など関係なく上から書き、下からも書いて文字をつなげたりもしました。

お習字とは全く違う文字を書く世界を知り楽しみました。

 

歌舞伎に文楽、相撲に提灯。

これからはそれぞれの文字の見方が変わりますね。

川端さん、ありがとうございました。

でも、川端さんを含め上方の勘亭流の書き手さんは3人とか。

若い人がどんどん入門していくといいですね。

 

今日も最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

たかが文字、されど文字、書道としての文字も素敵、縁起をかつぐ図案文字も素敵ですね。

 

参考
wikipedia「江戸文字」
wikipedia「根岸流」

 
「まねき」ご存知ですか。 昨日、京都南座に掲げられました。
「四代目雁治郎への軌跡」 いよ!成駒家
和の素敵な人たち 小嶋商店さん「京・地張り提灯」

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