今一度知りたい、日本人とお茶の歴史01『葉室茶と叡尊』
葉室山淨住寺境内に育つ茶木と、茶の花
寺院には、「○○山」という山号が冠されています。
これは元来、寺院は仏道修行に励むため、山中に営むことからきています。
葉室山淨住寺の場合は、「葉室山」が山号にあたります。
寺伝では、淨住寺は平安時代に仏舎利の安置するところとして天台寺院で始まり、鎌倉時代に山号が冠されました。
一帯の「葉室」と呼ばれる土地を藤原氏の一門が拝領し、家名が「葉室家」となったことに由来しています。
つまり、鎌倉時代に淨住寺は藤原氏葉室家の菩提寺として整備されたのです。
このとき、仏教者として招かれたのが興正菩薩思円房叡尊。
醍醐寺や長岳寺等で修行した後、南都西大寺を再興させ、真言密教に律宗(唐招提寺)の教えを取り入れた「真言律宗」の宗祖にあたります。
幕府を苦しませた元寇の際には伊勢神宮で祈祷を勤め、戦死者を極力減らすために神風を起こしたとのエピソードを遺しております。
また、宇治茶の歴史は叡尊による功績から始まっており、宇治川の十三重石塔は彼によって建てられました。
そんな叡尊が京都へ進出し、最初の拠点としたのが、葉室山淨住寺でした。
叡尊は、淨住寺でも茶を振興させたようで、葉室の葉は茶葉の葉と言わんばかりの茶所として中世から著名だったそうです。
お茶と言えば栄西禅師の臨済宗というのが一般的イメージですが、その他にも仏教者や寺社とお茶の歴史は深く結びついています。
本シリーズでは、葉室山淨住寺を中心に、日本における寺社と茶の歴史をまとめて参ります。
(続く)
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