和歌の家元 冷泉家

冷泉家は、あの藤原道長の子、長家を遠祖とし「御子左家(みこひだりけ)」と呼ばれる家系です。
俊成、定家という天才を経て定家の孫・為相が冷泉家の家祖となりました。
一言でいうと、「和歌の家元」で、和歌の伝統を守り伝え、教える相手が将軍や皇族ということもありました。
その蔵に保存されてきたのは国宝5件、重文は50件近く、何らかの指定を受けた文化財は1千以上・・・という奇跡のような家なのです。
小倉百人一首にも登場するのでなじみがあるかもしれないが、日本の文学史上、特に和歌において、この2人の天才は燦然と輝くスターでした。
その俊成の生誕900年を記念した展示が来月1日~13日、京都市中京区の京都文化博物館で開かれます。
展示資料6件のうち国宝1件、重文4件という豪華な内容で、目玉は同家所蔵の中でも最も大切な国宝、俊成自筆の「古来風躰抄(こらいふうていしょう)」です。
今展示のみどころはすべてが俊成の自筆であるということです。
特に「古来風躰抄」は万葉集をはじめとする歌集から優れた歌を解説した「歌論書」で、日本文化を代表する逸品といっていいです。
その後、連綿と続いてきた和歌の世界のバイブルなのです。
もう一つ、冷泉家には重要な文化財があります。
公家の年中行事という無形の文化財です。
年初の「歌会始」に始まり、6月末に半年の厄を払う「夏越しの祓い」、七夕の「乞巧奠(きっこうてん)」・・・と数々の行事があります。
多くは宮中行事に由来するもので、公家という階級がなくなるとともに消え去ったものが、冷泉家は現代にその行事を伝えてきました。
(文・写真:産経新聞2015,11,16・誘惑する京都・冷泉家・山上直子著)
京都御所の北、同志社大学の入り口に冷泉家住宅があります。
一度見に行きませんか。
ここを拝見するだけでも、タイムスリップして楽しめますよ。
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