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第一回  中村翫雀さんに聞く歌舞伎の楽しみ方

第一回  中村翫雀さんに聞く歌舞伎の楽しみ方

歌舞伎はダイナミックでエンターテイメント豊かな娯楽である

歌舞伎は伝統芸能という“別枠”で語られることが多いので、どうもなじみにくい。
劇場に足を運ぶには、ちょっと敷居が高いような気がするし、そもそも上演されている演目のストーリーがわからない。
そう感じている人が多い歌舞伎ですが、元々はいろんな人が気軽に楽しめる“娯楽”だったのです。

ありがとうを世界中に
Arigato all over the World

 

江戸時代に今のような形ができた歌舞伎は、歌や踊りもあるエンターテインメント性豊かなお芝居なのです。
現代の演劇に通じるストーリー性や演技のダイナミズムも楽しめます。
歌舞伎はとても素敵なお芝居です。
そんな歌舞伎をもっと気軽に楽しむためのアレコレを、歌舞伎役者の中村翫雀さんにお聞きします。

歌舞伎は民衆の娯楽である

今西  翫雀さんは「歌舞伎は民衆の娯楽である」とおっしゃっていますが、その「娯楽」というのはどういうところなのですか?

翫雀さん 歌舞伎のはじまりが、そもそも「娯楽」なんです。江戸時代に形ができた歌舞伎には、当時の絵巻などを見ても武士や上流社会の人に混じって、大勢の一般の庶民や商人なども描かれています。それを見ると、歌舞伎は気軽に楽しめる娯楽だったんだと言うことがわかります。

歌舞伎は阿国から

今西  なるほど。そもそも歌舞伎が娯楽としてはじまったのは、「阿国」からなんでしょう?


(京都国立博物館の『阿国歌舞伎屏風図』

翫雀さん  阿国はその時代の行歌に合わせて、踊りを披露し、また、男装して当時のかぶき者の振る舞いを取り入れて、当時最先端の演芸を生み出しました。
かなり斬新でおもしろかったのでしょうね。
阿国が評判になると多くの模倣者が現れ、遊女が演じる遊女歌舞伎(女歌舞伎)や、前髪を剃り落としていない少年の役者が演じる若衆歌舞伎もおこなわれるようになってきました。
今で言うと、AKB が大人気になるとSKE ややNMB がつくられるような感じかな。
しかし、遊女や少年が演じると言うことで風紀を乱すとの理由から次々と禁止されて、現代に連なる大人の男だけで演じる「野郎歌舞伎」になっていきました。

今西 なるほど、それで歌舞伎では男性役も女性役もすべて男優が演じる演劇になったのですね。

翫雀 そうそう、男だけのお芝居というのは、こういった歴史的背景と理由があったのです。
時代が下っていくと、江戸時代の文化の爛熟の中で洗練されて完成し、歌舞伎独特の美の世界をつくっていったのです。

今西 独自の美というのはどういうものなんですか?

舞台の変化が独自の美

翫雀さん たとえば舞台の構造の変化がそうですね。
歌舞伎の舞台は本来能舞台をもとにした構造だったのですが、時代が下ると客席を貫いて歌舞伎役者が登場・退場する花道が付き、舞台の幅を広げ、観客の座る場にも屋根を設けて舞台とひとまとまりの建物になり、能舞台からは離れた形に発展していったのです。

今西 やっぱり能が元になっていたのですか?

 翫雀さん 元々はそうですね。でも、さっき話した「花道」は歌舞伎独自の発明ですね。
場面と場面の展開に「引き幕」を使うのも歌舞伎独自です。
能では用いられない「引き幕」によって場面を区切るという演出は、話の筋に時の流れを自然に導入して複雑な劇の展開を可能にし、「花道」によって観客を劇中に取り込み、劇場全体を演劇空間にすることができました。
「迫り(せり)」という装置も歌舞伎の発明です。「迫り(せり)」とは、舞台の床の一部をくりぬき、そこに昇降装置を施した舞台装置です。 役者や大道具を奈落(舞台の床下)から舞台上に押し上げたり(迫り上げ)、逆に奈落に引き下ろしたり (迫り下げ)することにより、意表をついた演出や素早い舞台転換ができるようになりました。
廻り舞台もそうですね。演じられている舞台そのものを廻しことで場面転換をする装置です。
「花道」「引き幕」「迫り」「廻り舞台」という装置で、今までにないストーリー展開をダイナミックにおこなえる芝居になっていったのです。

今西 その装置を使って演出するってエンターテインメントそのものですね。観客はダイナミックな演出にかなり興奮したのでしょうね。

翫雀さん そう思います。たぶん、今の人がサーカスを観るような感覚を与える劇場空間だったのでしょう。
それによって歌舞伎役者の演技も変化してきたと思います。

今西 歌舞伎って、元々の型があって、それをずっと継承してきて何も変わってない、変えてない演劇というイメージがあったのですが、そうではないのですね。

翫雀さん 歌舞伎にそういうイメージはあるでしょうね。
でも、さっきの話のように歴史的にも観客を楽しませるための工夫、変化はけっこうしていますね。
今も変化はあります。
演出もそうですし、演目もそうです。

第二回中村翫雀さんに聞く、歌舞伎の楽しみ方
第三回中村翫雀さんに聞く、歌舞伎の楽しみ
中村翫雀さん 歌舞伎役者(懐かしい最初の記事です)
「中村翫雀」の名前で大阪公演はこれが最後です。
大阪の夢を担う顔 中村鴈治郎
ときめき☆平成歌舞伎 第9回 襲名披露興行は、特別がいっぱい!!

 

この星が笑顔あふれる毎日となりますように。
Hope there will be a smile everywhere, every day.
これからの子供たちに幸せな世の中となりますように
Wish the world will be full of happiness with children.

#ありがとうを世界中に
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