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「オグリ」 歌舞伎のよこ道あるき♪ 第10回

「オグリ」 歌舞伎のよこ道あるき♪ 第10回

 

今月は、鬱々とした日々を過ごされている方が多いのではないでしょうか?

日々の生活も一変。

楽しみにしていた南座での「スーパー歌舞伎セカンド 新版オグリ」も

延期に延期が重なって、とうとう全日程中止。

へこんだ気持ちを上げるためにも、

再演を強く願って、オグリについて書くことにしました。

 

◆オグリと小栗判官

三代目猿之助さんの「スーパー歌舞伎 オグリ」も

「當世流小栗判官」も観たことがなかったので

ストーリーも知りませんでした。

 

今回のスーパー歌舞伎セカンド 新版オグリのポスター。

猿之助さん、隼人さんのダブルキャストです!

カッコイイ~☆

 

あらすじ(歌舞伎人webサイトから)

武芸学問に通じた美貌の若者、藤原正清後に小栗判官=オグリ(市川猿之助・中村隼人)は、縛られることを嫌って心のままに生き、集まった若者たちとともに自らを小栗党と称していた。

ある日小栗党は、横山修理の娘、照手姫を輿入れ行列から奪い去る。

照手姫とオグリは強く惹かれ夫婦となることを誓うが、修理は二人の仲を許さず、オグリたちは殺され、照手姫は川に流されてしまう。

閻魔大王の前にやってきたオグリたちは地獄で大立廻りを繰り広げるが、ついには捕えられ、オグリは顔も手足も重い病に侵された姿で娑婆に送り返される。

生き返ったオグリは、遊行上人(市川猿之助・中村隼人)の導きで善意の人が曳く土車に乗り、熊野を目指すこととなる。

その道中、照手姫と再会するが、姫はオグリに気づかず再び別れていくのであった。

果たして二人は再び会うことができるのか、オグリの旅の行く先は—

 

公演中止が決まって、

自分の心と頭をごまかすが如く、

「當世流小栗判官」のDVDを購入!

ほんの少し、オグリの世界を楽しむことができました。

猿翁さん。やっぱスゴイ!

 

「新版オグリ(新橋演舞場)」と

「當世流小栗判官」の場面を比べてみましょう。

 

【新版オグリ】

常陸国~同小栗党の隠れ家~相模国横山の館~同~常陸国オグリの別邸~相模国横山の館~相模川~上総国もろこしが浦~美濃国青墓の宿・近江屋~地獄閻魔堂~同血の池地獄~荒れ地~美濃国青墓の宿・近江屋~同関ケ原~近江国大津~紀伊国道成寺~同熊野湯の峰~美濃国青墓の宿・近江屋

 

【當世流小栗判官】

鶴ヶ岡八幡宮社前〜横山大膳館〜近江国堅田浦漁師浪七住家〜幕外〜堅田浦浜辺〜美濃国青墓宿宝光院門前〜同万福長者内風呂〜同奥座敷〜熊野国湯の峯(「道行情靡魂緒綱」竹本連中)〜常陸国華厳の大滝

 

同じような場面もありますが、だいぶ違いますね。

「當世流小栗判官」は、近松門左衛門作の「当世小栗判官」をベースに

三代目猿之助さんが昭和49年に上演し、その後繰り返し上演されているもの。

「スーパー歌舞伎セカンド 新版オグリ」は、「スーパー歌舞伎 オグリ」を

ベースにしていますが、

「地獄閻魔堂、同血の池地獄の場」は、セカンドで初めて登場します。

これは、「説経 をぐり」にかなり近い?

(すみません。観ていないので勝手なことを書いています)

 

◆説経?

小栗判官は、中世に始まったとされる

「説経(節)」という芸能に登場して

認知、人気がどんどん上がっていったんです。

日本各地に小栗判官縁の地があるので、実在の人物かと思っていたら、

架空の人物なんですね!

どおりで、歴史の教科書にも出てこないハズだ(笑)

 

説経って、わたしは知りませんでした。

「信徳丸(俊徳丸)」や「安寿と厨子王(さんせう太夫)」も

説経のひとつだそうです。

どのお話もけっこう残酷ですよね…。

説経での「をぐり」も、なかなか人間を超越した物語でした!

特に照手姫は、親に殺されかけて、売られて、耐えて、

死んだ小栗判官をひたすら思い続ける。

この精神力の強さは、神がかっているとしか…

これが、説経の特徴のひとつ!

 

説経は、文字を使わず口から耳へ伝える「語り物」の芸能で

神社やお寺などの縁起を語り広めるための芸能でした。

だから、神がかっているんですね。

 

人の多く集まる、辻などに立ち

「簓(ササラ)」という竹の先を割った楽器で

拍子などをとりながら語り人気を博しました。

江戸に入って、浄瑠璃や歌舞伎と同様

芝居小屋で演じる芸能に変わっていきました。

そのころには、三味線と人形を使ったようです。

 

だんだん、縁起の色が薄まり浄瑠璃との差別化が難しくなって

芸能としては廃れてしまいました。

が、ドラマチック(非情)な物語は、

いろいろな芸能に派生して、今に残っているようです。

 

小栗判官は、岐阜安八にある正八幡神社と

その近くの結神社の縁起が始まりです。

結神社は照手姫が祀られています。

残酷な人生を送り、それに耐え、乗り越え、結ばれ

そして、神になったんですね。

 

「説経をぐり」では

所も繁盛、御代ももめでたう、国も豊かにめでたかりけり。

と結ばれています。

きっと、新版オグリも

華やかなハッピーエンドだったのではないかなぁと

想像ですが…

やっぱり、自分の目で確かめたいですよね。

 

 

公演中止が決まった南座へ、行ってみました。

正面玄関は、こんな感じ。

南座は、泣いていました。。。わたしも一緒に泣きました。

 

新版オグリの南座での再演!

コロナウイルスの終息!

平穏に過ごせる日!

 

一日も早く訪れますように

強く願います。

平穏は当たり前ではなく、尊いということに気付かせてもらいました。

照手姫に負けずに、強く美しく乗り越えたいです。

 

2020(令和二)年 弥生 安積美香

 

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