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弥勒菩薩の役割・由来・見られる寺院

弥勒菩薩

みなさまに弥勒菩薩のご神徳がありますように

こんにちは。
弥勒菩薩は、釈迦如来の次に仏のさとりを開くと言われ、菩薩の中で最高位とされています。
京都・広隆寺の「弥勒菩薩半跏思惟像」は大変有名なので、切手や美術の教科書で目にした記憶がある方もいるでしょう。
そんな弥勒菩薩について詳しくご紹介いたします。

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弥勒菩薩の由来・役割

「弥勒」とは、マイトレーヤの音写であり、「慈しみ」の意味を持ちます。マイトレーヤは、「ミトラ」という古代インドの神が起源です。
さらに古代イラン神話に出てくる太陽神「ミスラ」とも同じだと伝えられています。
弥勒菩薩はインドやメソポタミアの共通の起源にまで遡る古い神ということが分かります。
弥勒菩薩は、現在まだ悟りを開いておらず、修行の身でありますが、釈迦如来が入滅後の56億7千万年後に悟りを開き、この世界に現われて深い慈しみにより多くの人々を救済するとされています。
それまでの間は、仏教世界に存在する兜率天(とそつてん)で修行や説法を行っています。
「56億7千万年後」というのは、地球を含めた太陽系が消滅するまでに残された時間とほぼ一致していると言われています。
弥勒信仰は、二種類の信仰から成ります。
一つは、死後「兜卒天」に往生し、弥勒菩薩と共に修行をして救われたいと願う思想の「上生信仰」。
中国・朝鮮半島・日本では「上生信仰」が流行しました。
もう一方は、弥勒菩薩の下生は遠い未来ではなく、「今」なされるため、弥勒下生に合わせて、現世を変革しなければならないという救世主待望思想の「下生信仰」です。
中国では、「上生信仰」も流行しましたが、より「下生信仰」の方が流行したと言われています。また、日本でも戦国時代に「下生信仰」が流行しました。

 

弥勒菩薩の御神徳・ご利益

兜率天往生

弥勒菩薩を信仰する者は、死後、弥勒のいる兜率天に往生すると言われています。
そして、弥勒菩薩が修行を終え、56億7千万年後にこの人間世界に現れる時に、一緒に人間界へ生まれ変わることができるのです。
仏教の考えでは、死後、六道の輪廻を幾度と繰り返すことで、再び人間界に生まれ変わるとされています。
生まれ変わる来世は自ら選ぶことはできないので、場合によっては地獄界や畜生界など、辛い世界を行き来することも考えられます。
しかし、弥勒菩薩のいる兜率天という世界に行くことができれば、辛い世界を経験することなく再び人間界に生まれ変わることができるということです。

衆生救済

弥勒菩薩は、釈迦如来が救えなかったあらゆる人々を、ことごとく救済します。
そのため、「一生補処の菩薩」と呼ばれることもあります。

 

弥勒菩薩の像容

菩薩グループの仏像に共通している特徴としては、髪の毛を結ってまとめる「宝髻(ほうけい)」という髪型が挙げられます。
また、菩薩の服装は、大変華やかです。
腰回りには、様々な模様があしらわれた布を巻き、瓔珞(ようらく/貴金属や宝石をつないだ飾り)、臂釧(ひせん/アームレット)、腕釧(わんせん/ブレスレット)、足釧(そくせん/アンクレット)、耳璫(じとう/イヤリング)、天衣(てんね/肩や腕に掛ける細長い飾り布)といった装飾品を身に付けています。
これは菩薩がまだ悟りに至っていないということを物語っていると言えます。
ちなみに、既に悟りに至った如来像は、質素な服装をしていることが多いです。
弥勒菩薩の特徴とは、「思惟手(しゆいしゅ)」と呼ばれる、右手を頬に添え考えている姿です。
これは、弥勒菩薩が56億7千万年の修行の間、どのようにして人々を助けようか考えている様子を表しています。
また、「半跏踏下坐(はんかふみさげざ)」と呼ばれる、台座から左足を下ろし、立ち上がろうとしている姿も弥勒菩薩の特徴で、これは修行を終えた弥勒菩薩がいよいよ人々の救済に向かおうとしている様子を表したものだと言われています。
思惟手と半跏踏下坐の2つの特徴を併せ持つものは、「弥勒菩薩半跏思惟像(みろくぼさつはんかしゆいぞう)」と呼ばれており、弥勒菩薩像の基本スタイルと言えます。
同じ弥勒菩薩でもお国柄によってその特徴は様々です。
日本では、飛鳥時代、弥勒菩薩半跏思惟像の造像が行なれていましたが、インドでは、弥勒菩薩像は水瓶を手にする像として造像されています。
一方、中国においては、唐の時代までは、足を交差させ椅子に座る像として造像されました。
また、元・明時代以降は、日本で七福神の一人として知られる布袋を、中国では弥勒の化身とされたため、ふくよかな形で表されていました。

 

弥勒菩薩が見られる有名寺院

京都市・広隆寺 弥勒菩薩半跏思惟像(宝冠弥勒)

飛鳥時代に作られた彫刻で、国宝指定第一号です。
宝冠を冠っているようにみえることから「宝冠弥勒」と呼ばれています。
当時多くの仏像がヒノキで造られていたのに対し、これは赤松の一本造りであるのが特徴です。
高さは約124cm。右足を左膝に乗せ、右手を頬に当てて思索にふける半跏思惟像です。
微笑んだ表情がとても美しく、大変人気のある仏像です。

京都市・広隆寺 弥勒菩薩半跏思惟像(宝髻弥勒)

先述した宝冠弥勒と並び、宝髻弥勒(ほうけいみろく)も大変古く貴重な仏像です。
こちらも国宝指定されています。像高90cmで、宝冠弥勒よりもやや小さめです。
宝髻弥勒の表情は泣いているように見えるため「泣き弥勒」とも言われています。
物憂げな表情が魅力的でもあり、人々の心を惹きつけます。

奈良県・中宮寺 木造菩薩半跏像

奈良県生駒郡にある中宮寺の木造菩薩半跏像は飛鳥時代の作品で、国宝指定されています。
寺伝では如意輪観音とされていますが、これは平安時代以降の名称で、当初は弥勒菩薩像として造像されたものと伝えられています。
像高は132cmです。
材質はクスノキで、その工法が特殊であると言われています。
一木造りが主流だった時代に、いくつもの部材に分けたものを組み合わせて造られており、矧ぎをいれているようには全く見えない一体感があります。

京都市・醍醐寺 三宝院 弥勒菩薩半坐像

名匠快慶の初期の代表作です。
像高は約110cm、ヒノキの寄木造で、金泥塗り仕上げです。
菩薩でありながら、如来のような袈裟をまとっています。
形を意識的に整える工夫が見られ、優雅で穏やかな印象に加え、威厳も強く感じる仏像と言われています。

 

ありがとうございます

数ある仏像の中でもポーズが印象的な弥勒菩薩は、その見た目こそ知られていますが、由来や役割まではあまり知られていないのではないでしょうか。
今回、弥勒菩薩について大まかにわかっていただけたところで、この知識を基に、次はぜひ実際に仏様に会いに行ってみてください。
仏像を目の当たりにした際、より感慨深く感じていただけることでしょう。

今日も最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

 

この星が笑顔あふれる毎日となりますように。
Hope there will be a smile everywhere, every day.
これからの子供たちに幸せな世の中となりますように
Wish the world will be full of happiness with children.

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