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陰翳礼讃

陰翳礼讃 谷崎潤一郎

まだ電球がなかった時代の今日と違った美の感覚です。
「光線を撥(は)ね返すやうな趣」の西洋の紙に対して、「柔らかい初雪の面のやうに、ふつくらと光線を吸ひ取る」。
確かに、現代に生きるわれわれは暗闇のなかの深さを知りません。
暗さは「暗い」だけで奥がない。

「われわれ東洋人は何でもない所に陰翳を生ぜしめて、美を創造するのである。(中略)われわれの思索のしかたはとかくそう云う風であって、美は物体にあるのではなく、物体と物体との作り出す陰翳のあや、明暗にあると考える。夜光の珠も暗中に置けば光彩を放つが、白日の下に曝せば宝石の魅力を失う如く、陰翳の作用を離れて美はないと思う」。(本文より)

明るさを得たことによって失った美の領域。
谷崎さんがこれを出版したのが昭和8年(1933年)だから、陰翳の美の領域を失いかけていたその時代からすでに70年程経っていることになります。

 

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