「鉄は生き、朽ちる宿命」
やつれ
こんにちは。
「鉄は生き、朽ちる宿命」 陰影の美とはこういうことをいうのだろう。
逆光に浮かぶ茶釜。
一見、単色に見える釜肌は、見るほどに複雑な色が現れて正体がつかめない。
茶釜という茶道具の、そして鉄という素材の奥深さを改めて思い知らされます。
京都市中京区のその名も釜座(かまんざ)町で江戸初期から約400年続く釜師、大西家。
千利休を祖とする三千家の職方として代々、茶釜を作り続けてきました。
「鉄は生きているんです」
16代大西清右衛門さん(52)の一言が印象的だった。
「だから、朽ちていくことは宿命ともいえます」
やつれ、という言葉がある。
長い年月を経て自然に古びて欠けることがあっても、それこそが鉄の持つ味わいであり美しさと見る美意識だ。
鉄は朽ち果てるもの。茶の湯はそこに妙味を見いだした。
当代作の「霰覆垂釜(あられおだれがま)」は、下の部分が波打つように欠けている。
人為的に施した造形だが、そこに計算はない。硬い鉄の赴くまま、無作為の美があるのみ。
6代約400年、脈々と受け継がれてきた鉄と向き合う釜師の伝統。
そこには、相当な努力があったと思う。
16代大西さんは「今見てもかなりアバンギャルド(前衛的)なものづくりというか…。現代でも通じるデザイン、造形的な作品が残っている。これ、350年も前のものやけどなぁ、と思うことは度々ですね」と笑う。
(文・写真:産経新聞より)
伝統を創造するって美しいですね。
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