二條さま古事記のお話し スサノオ2
スサノオは高天原へ
2月16日のスサノオの続きです。
スサノオはその後、お姉さんである『アマテラスオオミカミ』に、「十拳剣(とつかのつるぎ)」を携えて、「母親の所に行きます。」という挨拶をしに行くんです。
高天原という所です。
十拳剣を携えて来たスサノオを見たアマテラスは、びっくりするんです。
そして、どうしたかというと、男装をします。
アマテラスは女神なんですけれども、男装をするんですよ。
長い髪を結わいで、武装をして、スサノオが来るのを待ち受けます。
びっくりしたのは、スサノオの方です。
「あれ?お姉ちゃんどうしたの?何をそんないかめしい格好をしているんだよ。」
「いや、お前だって父親の十拳剣を持って来たって、もしかして父親を殺めてしまったの?」
「いやいやいや、お父さんから貰ったの。」
「いや、そんなの信じられない。じゃあ、何でそのお父さんが大切にしていた剣を持ってきたの?」
「かくかくしかじかで、僕はお母さんの国に行っていいと言われたんだ。」
「いや、信じられない。」
相手は長女ですからね。
ありがとうを世界中に
Arigato all over the World
「ウケヒ(うけい)」
長女って、兄弟全てですが弟はやっぱり自分のものという感覚。
長女って、婚家だけでなく、実家のものは全部自分のものだから、男の方や次女や三女の方は覚えておいた方がいいです。
長女を怒らせてはダメなんですよ。
長女は全部押し切りますから。
「全然信じられない。」と言うんです。
スサノオは、「分かった。じゃあ、僕がこうやって来たのは本当にお姉ちゃんを殺めたり痛めつける為に来た訳ではないという事を証明する為に、お姉ちゃんのここにある髪の毛を留めている玉、その玉を僕にくれる?僕がガリガリガリとその玉を噛んで、その玉を吐き出した息から男の子が生まれたら、僕に嘘がないという事にして。」
当時、玉といったら宝石です。
「分かった。」
「僕の剣は、お姉ちゃんが噛んで、女の子が生まれたら、僕の心に嘘がないという事にして。」
という事で、「ウケヒ(うけい)」という神話があるんですが、ここで「ウケヒ(うけい)」をします。
スサノオは、アマテラスの玉飾りを、アマテラスは、スサノオの十拳剣の一部を噛み砕いて、息を吐くと、見事にスサノオからは5柱の男の神様、アマテラスからは、2柱の女の神様が生まれます。
「あ、本当だ。お前の言っている事って本当だったんだね。分かった。じゃあ信用しよう。」
ここでアマテラスは、周りに、うちの弟は嘘をついていないでしょ、嘘をつかない人ですよ、という事を示すことが出来ました。
これは、アマテラスは最初から、弟が嘘をついていないと分かっていたんです。
嘘をついてないと信じていたわけなんだけど、周りの神様の手前、自分は最高神ですし、これを示したかったんです。
「母親の家に行く前に、ここで少し休んで行きなさい。」と、こうやるんですね。
スサノオの大暴れ
さて、そこからのスサノオが面白いのです。
高天原に入ったスサノオは、まず大暴れをします。
どう大暴れするかというと、高天原で田んぼを作ってたんですが、この田んぼのあぜを壊します。
田んぼのあぜを壊されたら、水が抜けちゃいますから、一番嫌ですよね。
すごくやってはいけない事なんですよ。
それをやりのけるんです。
あぜをバーンと。
頭に来たのは、田んぼを作っていたお百姓の神様です。
「お前、何してくれるんだ。」と、怒ってアマテラスの所に訴えに行くんです。
「うちの田んぼのあぜをね、お宅の弟が壊したんです。」
「あ、そんな事をやったか、悪いなあ、申し訳ないけど、私の顔に免じて許して。」
頭に来ている田んぼの神様だけど、
「アマテラスがそう言うんでは仕方がない。」
と言って、矛をおさめます。
あらゆる所で破壊工作をします。
虫を這わせます。蛇を使います。
もう、あっちこっちでやらかすんです。
その度にそこにいた神様達は全員、アマテラスの所に訴えに行く。
「ねえ、もうお宅の弟勘弁して。あんな事をしてるんだぞ。」と言う。
なのに、
「そう、ちょっとうちの弟ね、そんな事してるけど、まあちょっと私の顔に免じて勘弁して。」
と、高天原でどんどんどんどんフラストレーションが高まるんですよ。
最後に何をやったかと言いますと、
アマテラスは、高天原でいつも、機を織る事をお仕事にしていました。
アマテラスも含めてですが、高天原という神様の世界では、神様はぼーっとしている事が許されていません。
全員にお仕事があるんです。
そういう訳で、アマテラスは、機を織る事をお仕事にしていました。
その機織りの機屋という所、アマテラスが作業をしている所です。
その機屋に、アマテラスが大切にしていた馬の皮を剥いで、皮を剥いだ馬を掘り込む。
「バーン。」
アマテラスの仕事を助けていた侍女達は、一斉に悲鳴を上げます。
「ギャー!」
その中の一人が、機を織る時に必要な「ひ(杼または梭)」、緯糸を巻いた管を入れて経糸の間をくぐらせるのに使われる、先が尖っている舟形の道具ですが、その杼(梭)でホト(女性の陰部)を突いて死んでしまうんです。
これにアマテラスが怒ったんです。
アマテラスは長女ですから、自分のものに手をつけられるのが一番頭に来る。
で、どうしたかというと、天岩戸という所に隠れてしまうんです。
アマテラスは何に怒ったのか
ここで重要な事があります。
アマテラスは、何に怒ったんでしょう?。
この神話は知っていますよね。
「アマテラスは怒った」という事実しか皆さん知らない筈なんですが、何に怒ったかという事を追求した事はありますか?
アマテラスは、侍女が死んだ事について怒った訳ではないのですよ。
スサノオが馬を放り込んだ事について怒った訳でもないんです。
「死」という事で抗議した事に頭に来たんです。
なぜ自分の侍女は死んだかといえば、スサノオの行為を見て、それについて「死」という事で抗議したんです。
神様が死ぬなんてないんですよ。
ないんだけど、「神様が死ぬ」という行為で、相手の事を抗議したんです。
それを黙認しているアマテラスに抗議したんです。
それが許せなかった。
アマテラスとは、「至高」であり、「絶対」なんです。
だから、自分がやる事、自分が決定した事に否がない筈だったのに、それに侍女は抗議したんです。
その抗議という行為に頭に来てしまった。
頭に来てしまったというより、イザナギから「お前はとにかく最高神なんだ。」と、何をやっても最高のものであると言われて来たのに、自分の事を疑ったんです。
「あれ?私が許してきた事って、間違いだったの?」
これに頭に来てしまったと同時に、恥ずかしくなってしまった。
長女を恥ずかしめたらどうなるか。
大変な事になります。
まず、世の中が真っ暗になります。
もう何をしても駄目。
まず、疫病が流行り始めます。
太陽が出ません。
あらゆる禍津神(まがつかみ)が、イザナギが、筑紫の日向の小戸の橘の阿波岐原(つくしのひむかのおどのたちばなのあはぎはら)という所で禊ぎ払ったはずの禍津神が、わくわくと現れ始める。
困りました。
アマテラスがいたおかげで、色んなものは抑えられていたんです。
ところが、アマテラスがちょっと隠れただけで、もはや社会はガタガタ。
スサノオはイノベーションだった
考えてみて下さい。
スサノオは、悪さを沢山しているけど、ここにスサノオは全く介在していないんですよ。
悪い事が起こった事も、疫病が流行った事も、例えば、あぜを壊した、お百姓にとっては大変に困る事だけれども、あぜを壊した後、あぜを修復するという力。
これを得れば、災害に立ち向かえるんです。
実はスサノオは、硬直していた高天原の産業にぶちかますイノベーションだったんです。
だから黙認していたんですよ。
黙ってやっていれば、例えば、井戸を埋められちゃったり、あぜを壊されたら、すぐさま新しく修復すればいいじゃないか。
そうする事によって、労働というものが生まれ、また新しい技術が進歩して。
そういう事になっていくんです。
社会って、壊れれば、新しいものを生み出そうという力になるんですよ。
その力の推進力だったスサノオがやった事を黙認していたアマテラスは、将来これは何かの力になると思っていて、黙認していた筈なんです。
でなければ途中で止めますよ。
「おやめなさい。」って。
だけど、古事記の中で、スサノオを呼びつけて「やめなさい」と叱責したアマテラスがいたという文章は、一行もありません。
また、アマテラスがスサノオを叱責する。
そういう文章も一行も出て来ません。
可愛い弟ですから、何やったっていい筈なんです。
そして、三貴神の中の一人、貴い神ですから、やればやるだけ貴いことである事は間違いない、とアマテラスは疑わなかった筈なんですよ。
だけど、その抗議に死という事で挑戦してきた事、死ということで抗議する事によって、皆が停滞するのです。
ありがとうございます
例えば、何か新しい事をしようと思った時に、「それはやってはいけない」と言って目の前で焼身自殺されたら、ちょっと鈍りますよね。
「あ、やってはいけないのではないか」と。
「やってはいけない事なんてない」という事が、この神様の本文です。
何故なら、拒否する事が出来るんですから。
なのに、アマテラスの侍女、それも、アマテラスが一番可愛がっていた侍女が、実はアマテラスのやっている事を否定したんです。
これはびっくりしました。
もう大変です。
アマテラスは、隠れてしまいます。
そこで神様達はどうしたかというと、神様達がスサノオを裁きます。
スサノオはその後、髪を抜かれて、爪を剥がされて、素っ裸にさせられて放り出されるんです。
これは、アマテラスがやったのではないんです。
思金神(おもいかね)という、言ってみれば重鎮と、皆が天安河原(あまのやすがわら)という所で相談をしたんです。
これも、世界的に珍しいです。
神様の裁判をトップがするのでなく、皆で相談して決めたんです。
「神議りに議り給ひて神祓いに祓う(かむはかりにはかりたまひて かむはらいにはらう)」
神様達が相談したというんです。
これにもアマテラスは頭に来たんです。
「自分が裁定したいのに、何裁定しちゃってくれてるの。」と。
この後も、アマテラスは怖いですよ。
一切口を聞かなくなるんです。
どこへ行ってしまうかというと、上に行ってしまいます。
「もうあなた達の言う事なんて聞いていられないわ。」と、一切の言う事を聞かなくなるんです。
側に置いてあったのは、『アメノコヤネノミコト』と『タヂカラオノカミ(手力雄神)』。
このお二人だけ。
他の神様は寄せつけない。
そのぐらい孤高になってしまわれました。
おかげで伊勢にお鎮まり下さっているという事なんですが。
太陽がそこら中に出てたら大災害です。
皇居におわす有難い天皇が、その度にあちこちに行かれたら大変です。
災害の時に、道をお作りになる為に、一番最初に行幸される天皇は、道を作られる為にあの方々は行かれるんですよ。
でも、普段道が出来ている所に行ったら、警察官がわーっと出て、交通の妨げですよ。
おわかりになってらっしゃる。
道がない所に行くのだったら、自分達が道を作るという事はわかっておられるんです。
阪神淡路大震災の時に、私はボランティアで三宮に行ったんですけれども、私が行った時には道が出来ておりました。
これは、陛下が一番最初に行かれたからですよね。
とにかく、道を作ってくださるんです。
北海道の島に大津波が来て、島が全部ダメになった時も、もう2週間後に陛下がお出ましになったら道が出来るんです。
道が出来るという事は、物資が動くという事なんです。
ただ、毎回アマテラスが来てごらんなさい。
大変です。
孤高にするという事が一番トップの仕事であるという事がわかったんですね。
スサノオの二つ目のお話しでした。
まだ続きますよ。
今日も最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
次回もお楽しみに。
この星が笑顔あふれる毎日となりますように。
Hope there will be a smile everywhere, every day.
これからの子供たちに幸せな世の中となりますように
Wish the world will be full of happiness with children.
#ありがとうを世界中に
#ArigatoAllOverTheWorld