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母とは何か、父とは何か③ 「神道と日本人」より

 

大切なのは命の循環

 

こんにちは。

「神道と日本人」叔父が書かれましたこの本は、平成10年12月に出版されました。

この本の「はしがき」にこのようにも書かれていました。

「日本人は世界の民族の中でも唯一、素晴らしい真実の人生を歩んできた民族であろうと思います。自分の我欲ではなくて、神さまをはじめ、周囲の人々を幸せにすることによって、自分も幸せになるという、素晴らしい生活の知恵を持っておりました。私はこの日本人の生き方こそ、現代の荒廃した地球を救える考え方だと思っています。」

そんな思いから叔父は何冊も本を書かれたのですね。

9年前に亡くなった叔父の思いを少しでも広げられますように。

今日も、「母とは何か、父とは何か」の続きです。

(前回の「母とは何か、父とは何か」はこちらから)

 

―――どうしたらよいのでしょうか。

 

大切なのは命の循環です。

循環しないと命はそこで滞ってしまうので、命は永遠に循環して続くということをいつもお話ししています。

例えば夏にミーンミーンとセミが鳴いていますが、この一匹一匹は地上に出てからわずかのうちに死んでしまうでしょう。

けれど死んで終わりかというとそうじゃない。

ミーンミーンと鳴いている間にオスとメスが一緒になって卵を産み、それがかえって、幼虫になっているでしょう。

そこから何年も土の中で過ごし、また地上に出てきてセミになって、短い成虫の間に次の世代に命をつないで、死んでいく。

春日大社でも夏になったらセミの抜け殻がいっぱい木にくっついていますよ。

こうやって命は循環しながら、延々と続いていくわけですね。

だからその時、幼虫が途中で死んでしまったら、セミは出てこないわけです。

祖先の幼虫が駄目になったら、次の成虫は出てこないでしょう。

次の世代は滅びてしまう。

だから我々も子供を産まないでそのまま死んじゃったら、命が次の世代に伝わらない。

祖先が夜見の国で命を伝えて生きてくださらないと、我々は生きることができない。

また反対に我々が生命を正しく伝えないと、祖先も生きていくことはできないのです。

すなわち祖先と我々は常につながっている。

それが循環しているということでしょう。

 

 

お腹の中の赤ちゃん

 

その仕組みがよく表れているのが妊娠です。

妊娠の仕組みはまさに神秘的で、お母さんのお腹の中に赤ちゃんがいるでしょう。

するとお母さんのとった栄養が動脈を通って、赤ちゃんにいく。でもお母さんの血液型と赤ちゃんの血液型は必ずしも同じとは限りませんね。

だからお母さんの栄養が血液を通してそのまま赤ちゃんに入ったら、赤ちゃんは生きていけないでしょう。

血液型が違ったら一発で拒絶反応を起こしてしまいます。

しかしここに胎盤というものがある。

そこが摩訶不思議なんだけれども、お母さんから血液にのって栄養が来ると、この胎盤で、赤ちゃんの血液に変わって入っていくんです。

どうして変わるか分からない。けれども赤ちゃんの血液に変わって赤ちゃんを養うのです。

それに赤ちゃんはご飯も食べていないし、肺呼吸もしていないけれど、生きているから老廃物が出てきます。

それを体の外に出す時は、やはり血液を通してやるしかない。赤ちゃんの老廃物が血液によって胎盤まで運ばれ、そのままお母さんの体に入ったらお母さんが死んでしまいますから、胎盤でお母さんの血液に変わって老廃物を捨てるようになっているんです。

そうしてお母さんが呼吸して赤ちゃんが出した炭酸ガスを外に出して、それ木の葉っぱが酸素にかえてくれる。

お母さんはその酸素を吸って赤ちゃんに酸素を送っているわけです。

循環しているでしょう。だからお母さんは赤ちゃんの代わりに食べ、赤ちゃんの代わりに呼吸しているんです。

このように循環して、だんだん赤ちゃんが大きく育っていきます。

その育っていく様子にしても、地球上に生物が現れてから三十五億年の課程、祖先の歴史をたどります。

はじめは一個の卵細胞が受精して分裂をくりかえして、魚みたいになったり、しっぽが取れてみたりして、胎盤に守られながら、十月十日の間に人間の赤ちゃんになっておぎゃあと生まれてくる。

まさに不思議な仕組みですね。

 

 

―――そうですね。でもあいかわらず、父親不在ですね。

 

確かに(笑)。

こういう話をしていると、ある神職が、「我々父親は何処にいるんですか」というんです。

けれど実際のところ、あまり父親なんて必要ないんです(笑)。

お母さんだけで十分という。

すると「じゃあ、我々は何のために生きているんですか」と聞くから、しょうがないから父親の役目を説明するんです。

そうしないと男が生きがいをなくしますからね(笑)。

さっきも言った通り、動物にはオスがありますけれど、父親というのは人間だけです。

神さまが、神の世界を見せるために人間を作られたのだから、その目的は動物とまったく違うのです。

理屈では神さまは見られないでしょう。

神さまは素晴らしい、神さまは有難いんだという、尊敬の心がなければ神さまは見ることができない。

そのために父親がいるわけです。

だから父親は、子供に尊敬する、敬うという心を生まれさせるためにいるものですね。

動物でもメスはすごい力のあるオスのところに行きますよ。

メスは強いオスの種をもらって、強く丈夫な子供を残そうとします。

本能ですね。奈良公園にいるシカでもそうですよ。

角がでっかくて体もガッチリしているオスの周りだけにメスがいます。

弱いオスはメスがお呼びでないから、さみしく周りにいますよ。

私なんかシカだったら、寂しいでしょうね。

人間だから一人だけ女房がゆるされていますけどね(笑)。

 

―――父親は尊敬されなければいけないのですね

 

ええ。ですから父親は尊敬されるために、せっせとお母さんに稼ぎを渡して、お母さんを守ってあげないといけない。

そうすると「頼もしいわね」、「素晴らしいわね」とお母さんが尊敬してくれるでしょう。

そうでない稼ぎのない亭主とか、女房を守らない亭主とか、そういうのはオスにも劣りますね。

父親とは言えないでしょう。

そして生まれてくる前はもちろんですが、うまれてからも子供とお母さんとはぴったりくっついています。

子供にはお母さんの影響がすごく大きい。

父親の偉大さもお母さんから伝わりますからね。

これが大事なんです。

お母さんがご主人に、「素晴らしい方ね。あなたのおかげで生活ができてありがたいわ」といって、子供に「お父さんは素晴らしい。りっぱね」、「お父さんのおかげで生活できてありがたいわね」と言ってもらわないと、それが子供に伝わらない仕組みなのです。

お母さんがそれをやっていると、子供に尊敬する、敬うという心が芽生えてくるのです。

父親からは直接伝わらないのですよ。

すべて母親を通さないと父親がいくら頑張ってみたところで、奥さんが「なによあんた、たいしたことない」と言ったら子供には伝わりません(笑)。

そのためには、奥さんが「ハイ」と言う。ご主人に、「ハイ」といって、いやなことがあっても「ハイ」と言っておくことです。

こういうと、すぐ男女差別だとか思う人がいるけれどもそうじゃない。

ご主人のために言うんじゃなくて、子供のために言うんです。

「ハイ」といったら、子供が「お母さんて、なんでもお父さんのことをハイって聞いて、大変だなぁ、すごいなぁ」と思うし、「お母さんにそう言われるお父さんって、すごいんだなぁ」、「かなわないな」と感じるんです。

こうしてお父さんを尊敬して、お父さんがお祀りしている神さまを敬って、立派な子供になる。

子供のために言うんです。

(本:神道と日本人 著 葉室 頼昭より)

 

 

ありがとうございます。

 

ご先祖さまを3代さかのぼると8人のご先祖さまがいらっしゃいます。

それでは10代さかのぼると1024人のご先祖さまが。

20代だと、なんと100万人以上のご先祖さま。

ご先祖さまのどなたか一人でもいらっしゃらなければ、自分は存在してなかったのですよね。

大切にしてますか、ご先祖さまを。

受け継ぐことと同じく大切な循環。

循環しないものは途絶えてしまうのですね。

雨が降って、地面に沁みこみ、草木が育ち、川に流れ、飲み水となり、海にそそぎ込み、そして蒸発して空へ!

どれか一つがなくなってもこの世は終わってしまいます。

感謝してますか。

「ありがとう」って一日なんかい言っても言い過ぎはありません。

心から「ありがとう」でいっぱいのこの星にしたいです。

 

今日も最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

日本ってやっぱり素敵ですね。

 

叔父が最後に書かれました絵本「にほんよいくに」

是非とも、お子さまと一緒に読んで聞かせてあげてください。

 

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