普賢菩薩の役割・由来・見られる寺院まとめ
普賢菩薩の役割・由来・見られる寺院まとめ
こんにちは。
女性を守護する菩薩として有名な普賢菩薩。
観音菩薩や地蔵菩薩のように広く知られた菩薩ではないものの、普賢菩薩は釈迦如来と共に祀られていることが多いので、私たちは案外目にしたことがあるかもしれません。
今回は、普賢菩薩についてまとめてみました。
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普賢菩薩の由来・役割
普賢菩薩はサンスクリット語で「サマンタバドラ」といい、訳すと「普く賢い者」という意味があります。
つまり、世界に普く現れ仏の理知と慈悲を顕して人々を救う賢者である事を表します。
菩薩とは「悟りに至るため修行中の者」、もしくは「既に悟りに至る力が備わっているが成仏せずに仏の補助を買って出る者」で、普賢菩薩は後者にあたります。
修行により悟りに至る能力は手に入れていますが、あえて現世に残り、命あるすべての人々を救う活動をしている、行動的な仏尊とされます。
そうしたことから、普賢菩薩は修行の象徴として祀られています。
普賢菩薩は修行で得た「戒律」「忍耐」「精進」「精神集中」「智慧」を人々に授けようとする存在です。
普賢菩薩は、単独で祀られることもありますが、文殊菩薩とともに、釈迦如来の脇侍として横に立つことが多いです。
中央に釈迦如来、左側に文殊菩薩、右側に普賢菩薩と配置され、釈迦三尊像と呼ばれます。
普賢菩薩が釈迦如来の慈悲の部分を、文殊菩薩が釈迦如来の智慧の部分を表しているのです。
それは、釈迦如来のように悟りを開いた完璧な存在になるためには、修行と智慧の両方が不可欠であるという意味が込められています。
頭で考えるだけではだめ、修行で鍛えるだけでもだめ、どちらもバランスよく必要だという考えが仏教には存在し、知行一致(ちぎょういっち)と言います。
長い間、女性の極楽往生は不可能といわれてきた仏教の世界ですが、平安時代後期に入り、女人成仏を説く「法華経」が登場します。
法華経を信心する女性を守護する菩薩として、普賢菩薩は女性の間で多く信仰されるようになりました。
これは、普賢菩薩が慈悲の菩薩である、という点に由来していると言われています。
普賢菩薩の御神徳・ご利益
普賢菩薩は辰・巳年の守り本尊です。
そして、あらゆるご利益が備わっています。
増益・延命
特に有名な御利益は、幸福を増やす増益と、寿命を延ばす延命です。普賢菩薩は理知と慈悲の徳で、長寿を願う者を、永遠に幸福な人生へ導いてくれると言います。
邪気を払う
昔は医療が発達していなかったため、病気や悩みは全て邪気によるものだと考えられていました。普賢菩薩には眷属(けんぞく)という10人の部下がおり、この眷属が邪気を退けるとされています。
滅罪
自分が犯した罪を告白し、懺悔することは、容易なことではありません。普賢菩薩は、過去を悔い改め、懺悔をしようとする人に手を差し伸べ、罪を消してくれると言われています。
普賢菩薩の像容
まず、菩薩の仏像に共通した特徴として普賢菩薩にも、髪の毛を結ってまとめる、宝髻(ほうけい)という髪型が見られます。
また、服装は、きらびやかでネックレスのような装飾品を付けています。
次に、普賢菩薩を見分けるための大きな特徴としては、白い象の上に坐して合掌している姿です。
この合掌のポーズは合掌印(がっしょういん)と呼ばれ、「静かな心」を意味します。
一般的には、何も持たず合掌しているケースが多いですが、手に三鈷杵(さんこしょ)と三鈷鈴(さんこれい)という道具を持っているケースもあります。
これは、人々が仏道へ入るためのサポートをする様子を表していると言われています。
普賢菩薩が乗っている白い象
これは何をイメージしているのでしょうか。
象といえば、大きな力を持ちますが、気が優しく温和という特徴があります。
象の大きな力は「仏教の大きな力」を連想させ、また優しく温和であるという性格は、仏の慈悲を表しているのです。
また、象が堂々と前進する姿は、修行に打ち込む姿と通ずるものがあるともと言われています。
ちなみに、普賢菩薩が乗る象の牙は6本あり、その牙にもそれぞれ意味があります。
布施、持戒、忍辱、精進、禅定、智慧という6種類の修行をそれぞれの牙で表現しています。
中には、頭が3~4つある象に乗っている場合がありますが、それは普賢延命菩薩像と言って、特に延命を功徳とする密教系の菩薩像である可能性が高いです。
普賢菩薩が見られる有名寺院
東京都港区 大倉集古館
都内唯一の国宝仏である普賢菩薩騎象像が展示されています。平安時代後期の作と伝えられています。全高約140cm、像高約55cm。頭と体幹部は檜の1本彫りです。普賢菩薩は、釈迦如来の脇侍として安置されることが多いですが、大倉集古館では普賢菩薩だけを間近で、ゆっくり鑑賞できます。残念ながら大倉集古館は施設改修工事のため、現在は休館中ですが2019年から再開館予定とのことです。
広島県尾道市 持光寺
平安時代末期、鳥羽法皇の命令で、近衛天皇の息災を祈願して作られた絹本著色普賢延命像があります。20本の腕を持つ二十臂延命像としては最古の作品と伝えられており、国宝に指定されています。
鳥取県八頭郡智頭町 豊乗寺
高野山真言宗のお寺です。平安仏画の代表作の1つとも言われる絹本著色普賢菩薩像を有しています。国宝指定されており、寸法は縦102.4×横52.1cm。現在は、東京国立博物館に寄託されています。
奈良県生駒市 圓證寺
本尊の釈迦如来坐像の脇侍として文殊菩薩騎獅像とともに、普賢菩薩騎象像が安置されています。御本尊の釈迦如来像は鎌倉時代の作品と伝えられていますが、普賢菩薩騎象像はそれよりも古い、平安時代の作とされており、重要文化財です。
京都府舞鶴市 松尾寺
西国観音霊場の札所でもあるお寺です。12世紀前半に制作されたと言われている普賢延命菩薩像の絹本著色画が大変有名で、国宝に指定されています。この作品は、現在京都国立博物館に寄託されています。
ありがとうございます
普賢菩薩が女性を保護する菩薩だということ、または、辰と巳年生まれの方の守護本尊だということなど…ちょっとした知識から共感を得て、普賢菩薩に興味を抱いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
仏像のお参りを始めるのは、些細なきっかけで構いません。実際に会いに行き、手を合わせ、仏像のお姿に癒されてみたり、その仏像の由来について考えてみたり…。仏像鑑賞の楽しみ方は人それぞれです。
ぜひ、この機会に仏像に親しんでみてはいかがでしょうか。
今日も最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
この星が笑顔あふれる毎日となりますように。
Hope there will be a smile everywhere, every day.
これからの子供たちに幸せな世の中となりますように
Wish the world will be full of happiness with children.
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