和の心 「共生」とは。

にほんよいくに② 元春日大社宮司葉室頼昭著より
お母さんは、毎朝、神さまや、ご先祖さまに、ごはんを、さしあげて、「ありがとうございます」って、言っているよ。
よくわからないけど、ボクもマネしていたら、「えらいわねぇ」ってほめられちゃった。
うれしくなって、毎日やっていたら、「ボクたちは、神さまたちに、守られているんだな。」って思うようになったんだ。
妹や弟も、みんなマネをしているよ。
我々の祖先が伝えてきたことは、世界に誇るべき素晴らしさが、たくさんあります。
その一番大きなことは「共生」という生き方です。
共生とは、ただ単に自然といっしょに生活しようというだけでなく、相手のすばらしさを認め、それを褒め称えて、相手と一つになろう、という生き方です。
自然の山や木々なども一つになって、どのようにしたら自然が喜ぶか考え、自然を利用する時も決して破壊するようなことはしてきませんでした。
共生は、自分のことを押しつけることではなくて、共に生きていくのに、お互いのことを考えて、一つになるということなのです。
そうやってきたので、日本は世界でもまれなるほど自然に恵まれ、またきれいな水が豊富にある国だったのです。
しかし現代は、経済を繁栄させることのみ考えて、祖先の残してきた自然も破壊してしまいました。
このままでは、これからの子孫たちはどのようにして生きていったらよいというのでしょうか。
昔の人は、自分たちのことよりも、まず子孫のことを考え、いかにしてすばらしい日本の国を将来に伝えていくか考えてきたのです。
また日本人は、自然や現在の人たちと共生するだけでなく、神様や黄泉の国(あの世)におられる祖先たちとも共生する生活をしてきました。
外国の宗教ですと、神様ははるか高い天国におられて、いろいろな願いごとや救いを求めて人々は神様に祈ります。
日本の場合は、神様は身近におられますので、神様のすばらしさを認めて、祝詞を上げたり神楽を奉納したりして、お喜ばせすることのみ行ってきました。
これが日々行われる、神社のお祭りです。
我々が毎日の食事をするのと同じように、神社では神様にも毎日、朝夕、お食事を捧げて感謝しております。
これを日供(にっく)といいます。
家庭でも神棚などにご飯をさし上げてお参りするでしょう。
人は亡くなってから時間が経つと黄泉の国で生活し、その人の家や家族を守る祖先神になります。
ですから、毎日ご飯をさし上げ、そのご飯をいただいて同じ物を食べることで、我々が神様やご先祖様と一つになり、そのお守りとお恵みに感謝しつつ、共に生きるということを行っています。
これが祖先たちが伝えてきた、神様や祖先を敬う生活です。
子どもたちに、ぜひこのことを伝えてください。
(文・絵:にほんよいくに② 葉室頼昭著より)
「共生」、とても大切な言葉ですね。
私たちは一人で生きているのではありません。
多くの人と共に生きています。
そして、多くの生きもの、豊かな自然と共に、そして目に見えないものとも一緒に生きているのです。
だからすべてに「ありがとうございます」、感謝の気持ちを忘れてはいけないのですね。
いつもいつも、たくさんの「ありがとうございます」を大切にしたいです。