梵天の役割・由来・見られる寺院
梵天とは
こんにちは。
仏教の守護神天部の一柱である梵天。
梵天さんという呼び名で聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
梵天とは一体どのような存在で、どんな姿形をしているのか、どこで見られるのか、またレプリカ像は手に入るのかをまとめて見ました。
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梵天の由来・役割
梵天(ぼんてん)は、仏教の守護神である天部の一柱であり、十二天に含まれています。また千手観音の眷属である二十八部衆の一つでもあります。
元は古代インド、バラモン教において最高位の神、万物の根源となる「ブラフマー」であるとされていて、ヒンドゥー教では、ヴィシュヌ(維持神)、シヴァ(破壊神)と共に、三大神の1人として創造神ブラフマーが数えられています。
ブラフマーは何もない時代にまず水を創りました。その水の中に一つの「黄金の卵(ヒラニヤガルバ)」と呼ばれる種を置きます。
さらにその卵の中で1年間過ごして成長したブラフマーは、卵を半分に割って天や地を創造したと言われています。
仏教に取り入れられてからは仏法の守護神となり、護法善神の代表格として帝釈天と二神一対の像として祀られることが多く、両者を併せて「梵釈」と称することもあります。
釈迦と梵天の有名なエピソードに「梵天灌頂」があります。
その内容とは、釈迦が悟りを開いた時に、その悟りを広めることをためらったのですが、その悟りを自分のものだけにせず万人に広めるよう勧めたのが、この梵天と帝釈天であった、というものです。
また古代インドのサンスクリット語が「梵語」と言われており、それは梵天が創ったものだからだ、と言われています。
仏教における欲界(よくかい)・色界(しきかい)・無色界(むしきかい)の三つの世界を三界と言います。またこの三界の中に迷う衆生を、地獄・餓鬼・畜生・人・天にわけています。
欲界とは淫欲と食欲がある衆生が住む世界とされ、三界の中で最下層に位置しています。衆生のうち地獄から人までと天の一部(六欲天)が欲界にいるとされています。
続く色界は、淫欲と食欲の2つの欲を離れた衆生が住む世界であり、欲界と無色界の間にあります。
色界は欲望からは離れていますが、物質や肉体の束縛からは脱却していない世界のことです。四禅を修めた者が死後に生まれる世界でもあります。この色界はさらに細かく十八天に分けられており、その十八天は初禅、第二禅、第三禅、第四禅の4層に分かれます。
4層のうちの最下層である初禅には① 大梵天② 梵輔天③ 梵衆天の三天があり、最高位(第三天)である大梵天を指して「梵天」と言う場合もあるのです。
神としての梵天はこの大梵天に住んでいるとされています。大梵天は梵天界の王様、その下の第二天の梵輔天には王様に使える大臣や臣下たち、さらにその下の第三天である梵衆天に梵天界の天衆が住んでおり、大多数がここに属しているのです。
ちなみに、色界の衆生はみな天と言われているのです。
最後の無色界は、物質的なものから完全に離れた衆生が住む世界です。三界の一番上に位置しています。
こちらの衆生もみな天と言われます。物質が全く存在しておらず、心の働きである受・想・行・識の四蘊だけからなる高度に精神的な世界です。無色界は四天に分けられ、その最高処を有頂天(非想非非想天、非想非非想処)といいます。
梵天は、名前こそ有名ではありますが、実は単独で信仰されることも造像されることも少なくあまり信仰が広がりませんでした。
「万物の根源」という漠然としたものを造形化した神であることや、仏教にはすべての創造主である大日如来がいて違いもはっきりせず、こちらも漠然と具現化された印象となり、あいまいなまま親しみが湧きにくいことが原因ではないかと考えられているようです。
梵天の御神徳・ご利益
仏様のご利益には、現世(今生きている人々)へもたらされるものと、死後にご利益があるものの2種類があります。梵天はどちらであるかというと、現世(今生きている人々)でご利益があるのです。梵天のご利益は生きているすべての人に授けられるとされています。
梵天は天部に属していて、天部は如来や菩薩の教えを守る役目がありますので、仏教守護、そして国土安穏というご利益があると言われています。
他に、立身出世というご利益もあります。立身には、社会的な地位を得ること、出世には、社会的に名声を得ることという意味がありますが、仏教の中では仏道に入ることや、住職になることを指しています。
現代の人にとっても、この立身出世というご利益はありがたいと感じる人も多いのではないでしょうか。
梵天の像容
梵天は、唐の貴人を模した礼服姿で人間に近い姿や、4本の腕で4面の顔の四面四臂の姿であらわされています。人間に近い姿のものには、宝髻を結い柄香炉(えこうろ)、華籠(けご)など持つ像もあります。
七世紀以降、大日如来を本尊とする密教に取り入れられると、4本の腕の場合が多く、数羽のガチョウの上に乗っている鵞鳥座(がちょうざ)の座像が造られました。
この仏像は単独で祀られることはなく、梵天・帝釈天一対像として祀られています。
これらの梵天像と帝釈天像はほとんど同じ姿に表現され、見分けの付かない場合もあるようです。
他に聖観音を本尊とした梵天と帝釈天の三尊形式も見られ、かなり古くはガンダーラの遺跡に三尊像が残ります。
梵天が見られる有名寺院
東大寺法華堂(三月堂)乾漆像
法隆寺旧食堂塑像
唐招提寺金堂木像
瀧山寺瀧山寺像
東寺講堂木像
ありがとうございます
釈迦の悟りを万人に広めさせるという大切な役割を果たしながらも、あまり表に出ることなく、信仰も広がらなかったという梵天ですが、そんな謙虚さのようなものも魅力の一つかもしれませんね。
歴史的にもあまり造像されていない上に、現代でもあまり仏像が販売されていないようですが、だからこそ欲しいと思う人もいるのではないでしょうか。
ぜひマメにチェックして、お気に入りの梵天像を見つけてくださいね。
今日も最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
この星が笑顔あふれる毎日となりますように。
Hope there will be a smile everywhere, every day.
これからの子供たちに幸せな世の中となりますように
Wish the world will be full of happiness with children.
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