ときめき☆歌舞伎、第63回
文楽と歌舞伎を見比べてきました~☆
寒いですね~~~。
わたくし2月、3月は観劇予定がないので冬眠中zzz……。
ですが1月は、特別舞踊公演と文楽公演と大忙しでした。
どちらも見ごたえがありましたよ☆
昨年の顔見世で上演された「良弁杉由来(ろうべんすぎのゆらい)」が
1月に文楽でありました。
見比べを楽しんできました~☆
◆文楽と歌舞伎って、同じ演目があるの?
歌舞伎の中に「義太夫物(ぎだゆうもの)」というジャンルがあります。
文楽(人形浄瑠璃)のために作られたものを
後に歌舞伎でも上演するようになったお芝居のことです。
歌舞伎の舞台上手に「床(ゆか)」がつくられ
太夫さんと三味線さんが座って
背景や、心情を語っているお芝居、ご覧になったことないですか?
そう! あれです!!
お人形さんは、しゃべれませんから
太夫さんが台詞を語ってくれます。
役者さんは、しゃべれますから
自分の台詞は、自分で言います。
じゃぁ、太夫さんは要らない???
いえ、いえ!
今、「はい」って言ったけど
実は、そんなこと思ってないのよ~~~。
とか、
こんな心配ごとがあるのよ~。
なんて心情や情景を、太夫さんが語って
客席にいる、わたしたちに教えてくれるんです。
時に、淡々と、
時に、熱く。熱~~~く!!!
太夫さんと三味線さんが熱くなればなるほど、
客席も手に汗。
胸が締め付けられ、涙がこぼれるのです~。
◆同じだけど、同じじゃない!? 文楽と歌舞伎
文楽も歌舞伎も初演のとおり現在まで伝わるものは、
少ないのではないでしょうか。
いろいろな年代で、いろいろな工夫が加えられて変化しています。
文楽は、文楽で。
歌舞伎は、歌舞伎で。
それぞれに、試行錯誤。
特に歌舞伎は、お人形用に作られた芝居を人間が演じるのですから
そもそも無理があるわけで、
いろいろ変化が大きいです。
ばっさりカットしたり、逆に加えたり。
歌舞伎を観てから文楽を見ると、原点に近いことが多いので
おお~っ!!! そうだったのか!
なんてことが、山盛り。
◆良弁杉由来は? どうだった?
顔見世ツアーでも観劇した「良弁杉由来」。
二月堂の場が藤十郎さんと鴈治郎さん親子の共演で
とっても感動的でした。
ちょっと、あらすじ。
夫に先立たれた渚の方は、志賀の里で
幼子を立派に育てて、夫の後を継がせることを心の糧に生きています。
が、その幼い子が大鷲にさらわれてしまいました。
渚の方は、ショックで発狂。
30年もわが子を探してあちこち。
東大寺の良弁(ろうべん)という、えらいお坊さんが、
「幼いころ鷲にさらわれてきたらしい」と聞いた渚の方は、
乞食に落ちぶれた身を気にしながらも、東大寺まで行く決心をしました。
昨年の顔見世では、
その親子の感動の再会の場面(二月堂の場)が上演されました。
1月の文楽では、通しで上演されて
2歳の良弁さんが、大鷲にさらわれるところ
母親の渚の方が発狂してしまうところ
そして、正気に戻るところ
良弁のうわさを聞き、東大寺へ向かうところ
感動の再会!
いや~~~。
どの段もバラエティに富んでいて、見せ場もあって面白かったです!
ちなみに、歌舞伎では「○○の場」
文楽では「○○の段」といいます。
「二月堂の場(段)」は、違いがいっぱいでした!
文楽の場合は、なかなか良弁さんが出てこない!(笑)
良弁さんが出てくる前に護衛の使者さんたちが
どんな特技を持っているのかを
わたしたちに披露してくれました!
槍を放り投げてキャッチ。
ひとりが投げて、相手が受け取る。
ひとりで槍をくるくる回したり、背面でキャッチしたり。
もちろん、お人形さんですよ!
かなりアクロバティック。
お~! おぉ~!! 拍手~~~!
で、客席は大盛り上がり!
歌舞伎では、ないです。(通しだったら、あるのかな?)
歌舞伎では良弁さんは、二月堂の中から登場。
香も焚かれて、二月堂の大きさや荘厳さが伝わってきます。
文楽では、舞台下手から。
二月堂へ入ることはないので、描かれたセットです。
親子の証となった如意輪観音さまは代々伝わるもので
守り袋は、お仕えしていた菅原家からいただいた香木を包んでいた錦(布)。
歌舞伎では、母が守り袋に縫い直し。
文楽では、手の器用な父が袋に縫い直したと。
もう、会うことのできない父とのつながりがこんなところで!
感動が増しますね。
良弁さんは、実在の人物です。
奈良東大寺の開祖として有名ですが、
近江石山寺の開祖でもあります。
お芝居は志賀の里からはじまりますが、相模の国の出身という説もあります。
鷲にさらわれてきたのかどうかは???
奈良時代。遠い昔すぎて、もう伝説ですね。
文楽、歌舞伎では、
出生がわかった良弁さんが
鷲にさらわれる前に過ごした志賀の里に
肌身離さず持っていた如意輪観音像を本尊に石山寺を開いたのよ~。
という、結末になっています。
なんか、ロマンがあっていいですよね。
気候がよくなったら東大寺と石山寺へ
良弁さんめぐりもいいかも。
ありがとうを世界中に
Arigato all over the World