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「きまぐれ」の中に宿る美しさ ~龍爪梅花皮の器~

陶芸家・岩崎政雄さん

こんにちは。
「梅花皮」の文字を見て「かいらぎ」とすぐに読める方は、焼き物に精通されているのだと思います。
唯一無二の模様を作り出す「梅花皮」の歴史と特徴・その魅力を紐解くと共に、陶芸家・岩崎政雄さんによる「龍皮梅花皮」の作品をご紹介させて頂きます。

 

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「梅花皮」とは?

「梅花皮」という言葉は、2つの意味をもっています。
まず一つ目が、「魚皮」の種類として使われる梅花皮です。
サメやエイなど、堅い粒状の突起のある魚皮を「鰄」または「梅花皮鮫」と書いて「かいらぎ」と呼んでいます。
梅花皮鮫は、皮を研ぐと梅の花びらに似た模様が浮き出るものです。
昔は、その皮を刀剣の鞘や柄(つか)の装飾に用いていました。
意匠以外にも、鮫肌の凹凸は滑り留めとして使われていたそうです。
戦国時代や江戸時代の頃の梅花皮鮫は、全て輸入品であったとされています。
かなり高価な代物であり、財力のある豪商か、裕福な武士しか手に取ることが出来なかったと言われています。
現在、刀の材料として様々な種類の魚皮が販売されていますが、現代においても大変入手困難な代物です。

「梅花皮」は、焼き物の種類を指す言葉としても用いられます。
この「梅花皮」が、今回お話しさせて頂くテーマです。
茶碗を高温で焼くときに、釉薬(うわぐすり)が縮れて出来る模様のことを指します。
その表面が、本来の魚皮の姿と似ていたことから、同じように「かいらぎ」と呼ばれるようになったようです。
梅花皮の出方を左右する重要な要素は、土の種類・釉薬の加減・窯の温度の3つです。
土の粒子が細かすぎると梅花皮が出辛く、釉薬が厚すぎると縮れた時に剥がれてしまいます。
これらが見事に調和しなければ、美しい梅花皮の模様は生まれないのです。

 

井戸茶碗と梅花皮

梅花皮について知識を深める為に、井戸茶碗について触れておきたいと思います。
梅花皮は、数百年の歴史を持つ「井戸茶碗」の特徴の一つと言われています。
井戸茶碗の出所は明らかになっておらず、名前の由来も諸説あるため、謎の多い器と言われています。
もともと16世紀頃の高麗(現在の朝鮮半島)で日常的に使われていた器だったようですが、室町時代の末に日本に伝来します。
その後、千利休の門下の中でも特に優秀とされていた山上宗二によって、茶道の茶器として見いだされ各地へと広まっていきます。
茶碗を支えた時に手のひらに乗る、茶碗の底の基台の部分を「高台」と言います。
井戸茶碗の高台付近には、縮れた模様の梅花皮があることが決まりになっています。
その不規則な模様に、美しさと味わいを感じた茶人たちによって、模様の「かいらぎ」には魚皮を表現する「鰄」ではなく、「梅花皮」という字が当てられたとも言われています。

 

 

一井戸、二楽、三唐津

昔の茶人の間では、茶碗の好みを謳う時に「一井戸、二楽、三唐津」という言葉を使っていたそうです。
これは、茶碗として「井戸茶碗」が最も秀逸であることを表します。
井戸茶碗の種類はいくつかありますが、中でも大井戸茶碗の人気が最も高かったと言われています。
当時の井戸茶碗は、素地である土に鉄分を多く含むことから赤褐色を帯びており、厚手で無骨な印象を受けます。
そこに施される梅花皮の模様が、茶碗の趣を更に深めます。
井戸茶碗の佇まいを見ていると、名だたる戦国武将たちが寵愛したというのも頷けます。
豊臣秀吉も推奨していたと言われる井戸茶碗は、その時代に一世を風靡していた「侘び茶」に相応しい茶器だったのです。
国宝に指定されている「大井戸茶碗 銘 喜左衛門」は「天下第一の名碗」と呼ばれ、徳川家康がお茶を点てた茶碗とされています。
現代においても、井戸茶碗は茶碗の最高級品としてその地位を確立しています。

 

岩崎政雄氏が作る龍爪梅花皮の魅力

梅花皮が入った陶磁器は数多くありますが、陶芸家の岩崎政雄さんが作り出す梅花皮の器は、「龍爪梅花皮(りゅうそうかいらぎ)」と呼ばれています。
まずは、岩崎政雄さんの略歴を簡単にご紹介します。
岩崎さんは、1952年に埼玉県でお生まれになりました。
1971年に京焼の伝統工芸師である河島浩三氏に師事し、後に独立されます。
1995年には、琵琶湖を望む滋賀県大津市に「日ノ出窯」を作られ、拠点を滋賀に移されました。
龍爪梅花皮の作陶を始められたのは2008年で、その後も数多くの作品を生み出し、ご活躍されています。

岩崎さんが作り出す梅花皮は、従来のものとは違う、力強さと迫力に満ちた個性が備わっています。
その独特の模様は、龍の爪が空を引き裂いた時にできる爪痕に見えることから「龍爪梅花皮(りゅうそうかいらぎ)」と名付けられたとされています。
龍爪梅花皮の器の特徴である艶のある乳白色は、陶器に品格を与えます。
一方、その静けさの中に大胆な梅花皮の縮れが入ることで、静と動のコントラストが強まり、作品全体に力強さが備わるのです。
岩崎さんの独自の手法で生み出された龍爪梅花皮は、梅花皮の歴史の中でも異彩を放つ存在と言えます。

 

 

あるがままの姿が美しい

「龍皮梅花皮の美しさを、実際に見てみたい」と、興味を持って頂けた方も多いかと思います。
岩崎政雄さんは、龍爪梅花皮の器を陶作するにあたり「飾る為の器ではなく、日々の暮らしに溶け込む器でありたい」という思いを込められています。
その言葉通り、龍皮梅花皮のデザインはとてもシンプルです。
品位を感じる佇まいは、料理の邪魔をせず、食材の美しさを引き立ててくれるでしょう。

龍皮梅花皮の縮れの出方は不規則で、同じ絵柄の器は2つとありません。
器によっては、焼きの工程で釉の一部が剥離し、陶器の素地が大胆に表れているものもあります。
ともすると、梅花皮の縮れ模様は「未完成」と捉えられるかもしれません。
完全であるもの、一寸の狂いもなく完璧であるものが持ち合わせている、「均整のとれた美しさ」ではないからです。
しかし、梅花皮の模様が日本人に受け入れられたのは、日本人独特の美的センスによるものであると言われています。
日本人は、昔から不完全であるものや、作為的でないもの、歪んだものを「本来の味わい」と捉える美意識が備わっていました。
「あるがままの姿が美しい」と感じる日本人だからこそ、龍皮梅花皮の魅力を感じることができるのかもしれません。

高い装飾性と際立つ模様の龍皮梅花皮は、一点一点異なる個性を持っています。
それは、梅花皮の模様が土と釉薬と炎の「きまぐれ」から生まれることに由来しています。
偶然が織りなす美しさを巧みに操る、岩崎さんの龍爪梅花皮、是非一度、器を手に取ってその魅力を味わって頂きたいと思います。

今日も最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

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この星が笑顔あふれる毎日となりますように。
Hope there will be a smile everywhere, every day.
これからの子供たちに幸せな世の中となりますように
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