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「病鉢巻」 歌舞伎のよこ道あるき♪第13回 

「病鉢巻(やまいはちまき)」 歌舞伎のよこ道あるき第13回

たったひとつの感染症で、

世の中がこんなにも変わってしまうのか。

正直、驚いています。良くも悪くも。

 

歌舞伎で病と言えば、マスクならぬ「病鉢巻」。

何のために巻いているの?

何で紫なの?

 

◆ひと目で病人とわかる目印?

 

歌舞伎に限らず、時代劇でもそうですが

病人は、紫の鉢巻を頭に巻いています。

青白い顔に紫の鉢巻をして、「ゴホッ。ゴホッ」

見覚えないですか?

 

 

左は、寺子屋の松王丸(ちょっと、わかりにくいですね…)。

右は、吉田屋の夕霧。

他には、保名の安倍保名、蜘蛛絲梓弦などの源頼光、

毛抜の錦の前など。

 

病気の種類は問わず、発熱、不治の病、気の病、仮病まで(笑)

保名は、恋人を目の前で失って発狂してしまったのですが、

乱れ髪に紫の鉢巻姿でさまよう姿は、

はかなくて、色気がありますよね。

 

顔の左側に蝶結び。

これが、歌舞伎でのお決まり。

ひと目でわかる!しかも美しい!!

歌舞伎の様式美のひとつです。

 

ちなみに布は、縮緬だそうです。

高価ですね!

どうりで長屋住まいの町人や農民は、病鉢巻をしていないワケだ。

 

◆紫色は高貴な色

 

病鉢巻は「ムラサキ」という植物の根を染料としています。

紫根(しこん)と言います。

紫色に染めることができる植物は少なく

しかも、非常に手間がかかり、難しいそうです。

 

聖徳太子が定めた「冠位十二階」で

役人たちの着る衣服の色も決められましたが、

紫は、最高位の官僚が着ていたのではないかとされています。

古代から日本に自生していた「ムラサキ」は、

貴重な染料と薬として国が栽培をはじめました。

 

「あかねさす紫野行き標野行き 野守は見ずや君が袖振る」

 

これは、額田王が宮廷の年中行事「薬狩」が行われた後の

宴会で詠んだ歌。

「紫野」は、ムラサキの植えられている野

「標野(しめの)」は、宮廷の直轄地

のことです。

 

薬の効能としては、中国漢方の最古書といわれる「神農本草経」では、

「心腹の邪気や五疸の病を治す」記載されているそうです。

江戸時代になって、解熱、解毒に効くとされ鉢巻を巻くことが主流になったようです。

江戸後期の医者、華岡青洲が作った「紫雲膏」(万能軟膏)は、

紫根が原料として使われています。

 

京都の紫野という地名は、、

ムラサキが自生していたことから付いた地名のようです。

しかし、現在では絶滅危惧種!

自生しているものは非常に少ないそうです。

 

写真は、ムラサキの花。

花は白いんです!

大きさは、直径7mmほど。

とっても小さくてかわいい。

5月に京都府立植物園で撮影してきました。

植物園では、福知山市の製薬会社で栽培されていた種を譲り受け、

昨年から展示されるようになったとのこと。

栽培も難しいそうです。

本当に、貴重!!

 

◆元気いっぱいの江戸紫

 

助六も紫色の鉢巻してない?

まったく患っているようには見えませんが…

 

そうなんです。

助六の鉢巻の結び目は、左ではなく右側。

そして、蝶結びではなくねじり結び。

病気とは真逆の元気ハツラツ印なのです!

 

 

助六は、成田屋のお家芸 歌舞伎十八番のひとつです。

5月から予定されていた

市川團十郎白猿の襲名狂言になっていた演目です。

先代の團十郎さんも襲名演目に選ばれた

歌舞伎十八番の中でもとっても大切な演目。

 

成田屋のお家芸は、荒事です。

初代團十郎が作りだした荒事は、「不動明王の姿をまねた」と言われ

團十郎に、にらんでもらうとその年は、患うことなく過ごせるとか。

一日も早くコロナウイルスが終息して

劇場で助六を観ることができますように!

 

2020(令和二)年 水無月 安積美香

ありがとうを世界中に
Arigato all over the World

 

 

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