「金閣寺」 歌舞伎のよこ道あるき♪第18回
「金閣寺」 歌舞伎のよこ道あるき♪第18回
昨年末、金閣寺の屋根が葺き替えられたそうです。
地元民の特権?!
こっそり参拝してきました。
雲ひとつ無い、良いお天気。
朝日に照らされピッカピカ。
屋根の黒ずみがなくなった分、屋根も金色に見えますね。
金箔がより一層輝いていました~☆
■歌舞伎の金閣寺
歌舞伎で金閣寺といえば、「祇園祭礼信仰記(ぎおんさいれいしんこうき)」。
1757年12月、人形浄瑠璃で初演。大ヒットしたそうです。
歌舞伎ではその翌月、上演されています。
「金閣寺」といわれているは、全五段の四段目の部分です。
桜が降り散る中、縛られた雪姫が
桜の花びらを集めて爪先で鼠を描くシーンが美しくって!!
しかも鼠が縄を食いちぎるという!
(祖父が雪舟で、幼少の雪舟が涙で描いた鼠の逸話がベース)
見どころとしては、雪姫の美しさが先行していますが
他にも注目ポイントはあるのです。
大胆な舞台機構もそのひとつ。
金閣寺は三層造り。
物語の中盤までは、二層部分までが見えています。
が、一番上には慶寿院(将軍の母)が幽閉されているのです。
慶寿院を救い出すために、此下東吉が三階部分へ上がるのですが
大セリを使って屋台(金閣寺)の下層階が舞台の下へ下がって、
屋根の鳳凰までが見えるという仕組み!
上下に動く金閣寺。
何度見ても、テンション上がります。
江戸時代からこの演出らしい!
すご~い!!
■松永大膳の難題が、解決できない?
金閣寺へ行くと、金閣しか目に入らなくて
他に何があったっけ?
しかも、金箔のキラキラしか覚えていない(汗)
歌舞伎で、
家来になったばかりの東吉に碁に負けてしまった松永大膳は、
ムカッとして
碁笥(碁の器)を井戸に放り投げます。
そして東吉に
「軍師というなら、手をぬらさず井戸から碁笥を取り出してみよ」
という難題を出します。
東吉の回答は…
雨樋を使って滝の水を井戸へ流し込み、
碁笥を浮かび上がらせて取り出すというもの。
金閣寺に滝ってあったっけ???
あるんです!
金閣の後方の少し離れたところに。
その名も「龍門の滝」。(龍も登場しますよね)
水量たっぷり。
石は、鯉の滝登り。
しかし、肝心の竪樋がない!!!
金閣寺の三層部分の屋根後方に長く突き出しているのが
軒樋です。
(二層部分は、前方に伸びていますね)
ご存じでした?
軒樋まで金箔でキラキラ~☆(しかも、五七桐の紋が入っている!)
なんて素敵なの!!
けどね、突き出しているだけで竪樋がどこにもないのです。
竪樋を使わず直接、水を池に落とすようになっているんです。
すご~い!
誰が考えたの?
舞台を観ていて、
東吉が得意げに竪樋を外すのを見て
世界遺産の器物損壊やん!
って、思っていたのですが、そもそも竪樋が無いやーーーん!!!
って、
そんなオチでした(笑)
けど、江戸時代からこの形だったのかは???
一部資料には、大正時代にできたとも書かれています。
江戸時代には、きっと竪樋もあったのでしょう。
超マニアックな、金閣寺のお話でした。
2021(令和三)年 如月 安積美香
ありがとうを世界中に
Arigato all over the World