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「言挙げせず」  皆見宮司(丹生川上神社下社)のお話しより

 

「言挙げせず」

先日の(社)和の道黎明会の和の学びの会に、丹生川上神社下社の皆見宮司にお越しいただき、素敵なお話しをいただきました。

下社のお話しはもちろん、天誅組から今上天皇の思いまで、あっという間の一時間でした。

そのお話しの一つ「言挙げせず」が、皆見宮司のご本「心の荷物をおろす場所」にも書かれていましたのでご紹介。

 

神社で奏上される祝詞の冒頭部分に「掛け巻くもかしこき」という言葉があります。

これは神さまに「言葉に出していうには恐れ多いことですが」という意味です。

神社では日本独自の精神を伝える「言挙げせず」という言葉や精神性を大切にしていきます。

「言挙げ」とは「言葉に出す」という意味。

それを「せず」と否定するので「言葉に出さない」という意味になります。

人に心があり感情がある限り、それを言葉に出して伝えることはむずかしいから言葉に出さない、という奥深い意味を持ちます。

今の世相から見れば、人に対して気持ちを伝える気力がなく、諦めてしまっているように思われますが、それはまったく逆です。

 

 

日本人は言葉に出さずに相手の感情を察し、心を感じ合い心での会話をしてきました。

気持ちを言葉に出して表現するのではなく、目でものをいい、身体に心をにじませてきました。

 

言葉は非常に便利なもののように見えますが、言葉では言い尽くせぬ心の部分が生じます。

言葉は発する者の感情表現や、聞いた者の精神状態でその真意はさまざまに変化し受け取られます。

相手を思い尽くそうとする力があれば、言葉にせずとも通じ合えてきたのです。

お互いが言葉に出さずとも感じ合うことを実践して、信頼関係が生まれる社会が出来ていました。

互いに言葉を越えて心で感じ合うこともまた、「言挙げせず」といいます。

 

言葉や体裁、形式よりも、大切な人の心や感情を察して生きていくことの重要さを、日本人は知っていました。

「言挙げせぬ国」だからこそ、言葉を発する時は相手の気持ちやすべてに心を巡らして、言葉に魂を込め、言霊といってきました。

 

 

現代社会は

グローバルという言葉の下、何も語らない、意見を言わない日本人を軽視する、変わらなければグローバル社会にのれないと多くの書物などが刊行されてきました。

日本人の素晴らしい思いを知らない人たちがどれだけたくさんいることか。

その影響でか、言わなければ損とばかりに言いたいことをいう。

言葉には良しも悪しも気が宿ります。

言えばいいという訳ではないですね。

 

我欲に生きるのではなく、他力を認め、感謝して、自力をあげる。

今、一番必要なことは「感謝の心」。

 

皆見宮司、本当にお忙しい中ありがとうございました。

また、お話しを聞かせてくださいね。

時間の制限なく。

 

参考
心の荷物をおろす場所 皆見元久さん著
素敵な場所「丹生(にう)川上神社下社」
悪い神さまのご利益

 

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