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土は偉大な“正直者”です 日本人の思い

 

土は偉大な“正直者”です

こんにちは。

正岡子規の詩に「笠一つしたたる山の中を行く」とあります。

したたる山、「山滴る」は夏の山を言う夏の季語です。

緑なす山々の瑞々しい姿を水の滴りで形容したものです。

春は「山笑う」、秋は「山装う」、冬は「山眠る」とあります。

昔から自然を愛し、いつくしんだ日本人の心ですね。

さて、今日は自然と共に暮らしてきた日本人の土に対する思いを岡本彰夫さんお話しより。

 

地は万物の母にして、苗だにおろす時はことごとく生ず。

若し庭広ければ青物の食物の類を作ること、これを以て天地の徳を積むという。

 

孔子がまとめたといわれる『易経』によれば、土の徳は「直にして方にして大なり」と書かれています。

つまり、土は正直で規律があり、偉大だということです。

「土は嘘をつかない」。

農業家はそう話されます。

人と違って、土にうらぎりはありません。

精魂込めて向き合えば、必ず豊穣な実りで報いてくださいます。

私がご奉仕させていただいている春日大社には、年に一度、天皇様のお使いをお迎えしてご奉仕する「春日祭」というお祭りがあります。

そもそも、日本のお祭りは実に丁寧なもので、お祭りをさせていただく前には、無事にご奉仕できるよう神様にお願いする「前儀(ぜんぎ)」があり、本来のお祭り、つまり「本儀(ほんぎ)」が済んだ後にも、無事に御奉仕が叶ったことに感謝する「後儀(こうぎ)」があります。

その前儀の一つ、「午之御酒式’(うまのみきしき)」は、本儀で神様にお供えするお酒を前もって神様にお供えし、そのお下がりを、神官が頂戴する儀式です。

ちなみに、このお酒は境内のある酒殿(日本最古の酒蔵といわれている)で醸したもので、儀式のときは、四組の酒盃が神官の座前に据えられます。

そうして一献目は、うやうやしく捧げてからそのお酒を大地に注ぎ、二献、三献、四献は神官が頂戴するのです。

これは、お下がりの御酒を体中にとり込んで、心身を浄化する儀式だと考えられますが、中でも一献目のお酒を土に注ぐ所作は、「祭らい」というもので、土をお祀りする儀式なのです。

つまり、土の神様のお陰で、春日様に捧げるお供物ができたことを感謝申し上げるのです。

 

 

土の尊さ

 

昔の人は、土の尊さを知っていました。

だから土をお祀りしたのです。

しかし、現代の我々は、土は踏みつけるものという認識しかありません。

おまけに汚い物や危ない物、さらには原子力の廃棄物まで土に埋めてしまいます。

土の尊さは、農業をやらないとわかりません。

子供たちには、ぜひ土に親しんでもらいたいものです。

生命の不思議さも、天地の恵みも、また日本人が古くから培ってきた伝統や精神も、すべて農業に立脚したものでありますから、我々の国は農を基本として考えなければ、理解できないことがたくさんあります。

一方、地鎮祭は、大地の神様をお祀りして、土地に家を建てさせていただく許しを乞う祭典です。

これは、日本という国土には、国の魂の神様が鎮まっておられるという認識に基づく儀式で、たとえば奈良県天理市の大大和神社には日本国土の魂が鎮まり、また大阪の生国魂神社や長野県の生島足島神社にも、その国土の霊が神様としてお祀りされており、土と深い関係があります。

さらに我々の生死離合を守られると伝えられている土地の神様、つまり鎮守のお社は、「産土神」と申し上げます。

このように、土ほど尊いものはありません。

だからこそ南北先生(江戸時代の観相家・水野南北さんのこと)は、「庭前に花壇等を築きこれを楽しむ人は生涯発達なし」とまで述べられております。

土に稲や野菜を播けば、食物を収穫できますが、花は自分が楽しむだけで終わってしまいます。

それでは尊い土がもったいないではないかとまで考えられたのです。

では、ゴルフはどうなのでしょう。

私は生涯ゴルフをするつもりはありませんが(笑)、あの広大な土地を遊びに使うなど、とんでもないことになりはしませんか? 

ゴルフをする人は常に土の尊さを思い、感謝してプレーすべきでしょう。

そして経営者は、ゴルフ場の収益で土の浄化事業か農業振興、もしくは国土の保全のための浄財を捧げてほしいものです。

参考:神様が持たせてくれた弁当箱 著:岡本彰夫さん

 

 

ありがとうございます。

私たちは誰でも、知らないうちに神さまに助けられています。

天に食べ物を返す人は長生きできます。

満ちては欠け、欠けては満ちるのが人生です。

ささいな善行も神さまは必ず褒めてくださいます。

尊いものを粗末に扱う扱う人は天から責めを受けます。

 

今日も最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

自然と共にすべてのことに感謝して、素敵な毎日を送りましょうね。

 

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