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文月(ふみつき)「香」 黎明書簡より

五味に立つ

「香道」は日本の精神性を理解する上で大切な「道」であります。

「香道」は京中山家の一門に繋がる三條西家実隆が室町時代中期においてその「型」を確立し、以来現在に至るまで変わることなく伝統様式を継承しています。

「香道」とは単に「香木」の匂いを嗅ぎわけて銘を当てる「組み香」のことのみをいうのではなく、本来はこれも陰陽五行と深く関わりがあり、また、匂いも五味に立つといい、その香を辛・甘・酸・苦と表します。

香の匂いを嗅ぐことを「香道」では香を利くといいますが、これは正に聴くことで、目に見えない匂いを嗅ぐことによって自然の気を感じ、その自然と一体になり、宇宙の波動や意識を受けとめるということです。

いいかえると匂いによって自己の中に眠っている太古から繋がる潜在意識を覚醒させるということでもあるのです。

このことによって穢れが祓われ自己の魂が浄化される結果となり、それこそが「香道」の本当の意義と言えるのです。

 

己亥 七月吉辰

一般社団法人 和の道 黎明会 理事長  中山貴英

 

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