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日本の夏の風物詩、大文字焼き(五山の送り火)って何?

日本の夏の風物詩、大文字焼き(五山の送り火)って何?

日本の夏の風物詩、大文字焼き(五山の送り火)って何?

大きな山に、漢字で「大」という字が炎で描かれているのをテレビ等で見たことがある人も多いでしょう。この行事の俗称が「大文字焼き(だいもんじやき)」です。この大文字焼きとは一体何なのでしょうか?最も有名な京都の五山の送り火を中心にご紹介します。

大文字焼きの歴史

日本の夏の風物詩である大文字焼きですが、実はその起源や歴史、由来は今でも謎に包まれていて、明らかになっていないものも多く、特に京都の五山の送り火については謎が多いままとなっています。

昭和など近年になってスタートしたものや、一部の古いものについては起源がわかっているものもありますが、京都の五山の送り火に関しては、日本に様々残る書物の中にも公式な記録が残っていないようです。

大文字焼きとは?

山に、「大」の字を松明の炎で描く行事です。目的としては、お盆の時期に先祖の霊を送るための送り火として行われることが多いです。
宗教的な、神聖な行事であると言えます。

大文字焼きといえば、京都の五山の送り火が有名ですが、現在はこちらだけではなく日本各地で行われています。また京都の人の多くは、五山の送り火のことを「大文字焼き」と呼ばれることをよく思っていません。

なぜなら「焼く」のではなく、送り火として灯す、厳かなものであると考えているからです。大文字焼きという表現はその思いを軽んじられていると感じるようです。

京都五山以外で大文字焼きが行われる場所

大文字焼きと呼ばれるものの中で最も有名なのが、先ほどからご紹介している京都の五山の送り火ですが、実はそれだけではなく、日本各地で行われています。ここから、10カ所をご紹介していきます。

<奈良県奈良市 高円山>
奈良県内では、第二次世界大戦の際、約3万人にのぼる戦没者が出ました。その方々を祀るための行事として当時奈良市長だった鍵田忠三郎さんたちが、1961年(昭和36年)から創められたのがこの大文字焼きです。

大の字の1画目の長さは109メートル、2画目が164メートル、3画目も128メートルとなっており、日本最大級と言えます。

<神奈川県足柄下郡箱根町 明星岳(通称 大文字山)>
1921年(大正10年)から続いています。

通称大文字山とよばれ、正しくは箱根外輪山の一つです。元々は避暑客の慰安から始まったそうですが、うら盆の送り火として全山の有縁無縁の精霊に対しての冥福を祈る意味も込められています。

1画目が108メートルあり、350本もの松明に一気に点火します。箱根大文字焼きと呼ばれるこちらの大文字焼きは、京都の五山の送り火と違い、2本線で縁取った「大」の文字となっています。

<静岡県三島市 箱根西麓笹原地先>
三島夏祭りの最中に、一時期は日本一の大きさを誇った大文字焼きが、花火とともに見られます。

<山梨県笛吹市一宮町 大久保山>
江戸時代に峡東地方で行われていた四大火祭りのひとつです。大の字の大きさは約80m四方あります。

<秋田県大館市 鳳凰山>
大館大文字まつりの一環として、花火大会や燈籠流しとともに眺めることができます。

<高知県四万十市 十代地山(通称 大の字山)>
小京都中村に夏の終わりを告げる行事です。
その歴史は約500年前、応仁の乱を逃れて中村に下った一條教房の息子房家が父と祖父の精霊を慰め、京都を懐かしんで始めたとされています。

<京都府福知山市 姫髪山>
1951年(昭和26年)から姫髪山では丹波大文字として大文字焼きが始まりました。先祖供養のために始められ、現在は福知山市仏教会と福知山商工会議所、丹波大文字保存会が毎年実施しています。

<大阪府池田市 五月山>
お盆の時期に多い大文字焼きですが、こちらは毎年8月24日に開催されています。正保元年(1644)から続く「家内安全」と「火難厄除け」を願う「がんがら火」というお祭りで、「大一文字」と「大文字」が灯されます。

<栃木県佐野市 三毳山>
地元の皆さんの手により、縦80m、横60mの「大」の字が炎でゆっくりと浮かび上がります。

<岩手県西磐井郡平泉町 束稲山>
藤原四代公、義経主従の追善と先祖供養のために、京都・東山になぞらえた束稲山に、幅約80m、高さ約112mの大の字が浮かびます。

なぜ大の字なのか?は諸説あり

なぜ「大」の字なのか、明確な記録はないものの、その由来には諸説あります。いくつかご紹介していきましょう

①「大」は北極星をかたどっている。
北極星は一年中位置が変わらず、神の化身とされていた。その北極星をかたどった大の字を、同じく動かない山に灯した

②五芒星をかたどっている。仏教の悪魔退治の意味がある

③弘法大師が護摩壇を組むとき、大の字型にしていたから

④この世を構成している4大要素の「大」

⑤「大」の字は「一」と「人」で構成されており、これを人型と見立てて、人間の無病息災を祈っている

関西地方ではでは、男の子が生まれると、その子の額に大の字を書き、お宮参りをするという風習があります。こちらは元々「×」を書いて悪魔よけをしていたものが、徐々に変化して「大」になったと言われています。

京都 五山の送り火の起源

冒頭にご紹介したように、五山の送り火の歴史や起源については明らかにされていないのですが、その中でもいくつかの説があります。定かではありませんが、3つをご紹介します。

①平安初期:空海
空海が、浄土寺が火災に見舞われた時、山の上に飛んできた本村阿弥陀仏が光明を放ったものを、光明の形に描き納めた(記録なし)

②室町中期:足利義政
足利義政が息子の足利義尚をなくした後、弔いのために行った(記録なし)

③江戸初期:近衛信尹(能書家)
能書家の近衛信尹が始めた
※こちらは1662年に刊行された書物「案内者」に、“大文字は三藐院殿(近衛信尹)の筆画にてきり石をたてたりといふ“という記述があります。

京都 五山の送り火の五山とは?

五山の送り火では五山の名の通り、大文字焼きだけでなく、他の文字や形の送り火と合わせて、それぞれ約30分間灯されます。それでは、灯される順番にご紹介しましょう。

<①東山如意ヶ嶽、大文字山 ○大文字○>
20時ごろ点火

初めに点火されるのは大文字山の大文字です。「左大文字」と区別するために「右大文字」・「右の大文字」と呼ばれることもあります。大の字の真ん中には、大師堂と呼ばれる弘法大師を祀った小さなお堂があります。

<②松ヶ崎西山、万灯籠山 ○妙○>
20時05分ごろ点火

徳治2年(1307年)、松ヶ崎の村民が日蓮宗に改宗したとき、日像が西山に「妙」の字を書いたとされています。(涌泉寺の寺伝より)

<②松ヶ崎東山、大黒天山 ○法○>
20時05分ごろ点火

下鴨大妙寺の日良が東山に「法」の字を書いたとされています。

“松ヶ崎の妙法”は、日蓮宗の題目「妙法蓮華経」から用いられたものです。
※妙法は隣り合わせで五山の1つ、同時刻点火
1307年に「妙」ができ、350年後に「法」が出来たと言われています。

<③西賀茂船山 ○舟形○>
20時10分ごろ点火

承和14年(847年)、慈覚大師円仁が唐からの帰路に暴風雨にあった際、「南無阿弥陀仏」と名号を唱えたところ無事到着できたという故事にちなんで、円仁が乗った舟をかたどったという話があります。

また、精霊船の意味があるという言い伝えもあります。

<④大北山 ○左大文字○>
20時15分ごろ点火

大文字と同様の意味があると考えられます。また明治時代には「大」を「天」としていたことから、「天」を表わすという説もあります。
一斉点火の大文字と違い、筆順で点火されます。

<⑤嵯峨鳥居本曼荼羅山 ○鳥居形○>
20時20分ごろ点火

鳥居形松明が点火される曼荼羅山には、愛宕神社の一の鳥居が立っており、京都に禍事が入り込むのを阻止する意味があるとされています。
他山と違い、木を組むのではなく、松明をそのまま突き立てる方式を取っています。

それぞれの文字や形の意味には諸説ありますが、どれもご先祖様が無事に帰れるようにという想いを込めて灯されています。

京都 五山の送り火、江戸後期は十山

今では五山の送り火として定着していますが、実は、江戸後期には十山に灯されていました。過去点火されていたとされる、残りの五山をご紹介します。

①い(かながしら)
京都市左京区市原

②一
京都市右京区鳴滝

③竹の先に鈴
京都市西京区松尾山

④蛇
京都市右京区北嵯峨

⑤長刀(なぎなた)
京都市右京区嵯峨観空寺

実はこちらで紹介した5つの山だけでなく、明治5年からおよそ10年間にわたって、全ての送り火と祇園祭が禁止されていました。

なぜなら、当時の日本は近代化が進み、文化財や伝統保護の意識が低く、祖先の霊を送り、祭りで疫病を祓う行事である大文字や祇園祭は迷信であるという考えが浸透していたからです。

さらに太平洋戦争時代にも空襲の目標にされるのを避けるため、中止されていた時期がありました。

その後再開こそされたものの、資金難などの影響により、昭和にかけて一つ、また一つと消えていき、現在の「五山」になったとされています。

京都 五山の送り火 燃え残りの炭にご利益

送り火の後には、炭が燃え残ります。その炭にご利益があると言われているのをご存知でしょうか。

送り火の後、まずは関係者が残った炭を持ち帰るのですが、その後一般人も持ち帰ることが可能です。夜中から拾いに行く人もいるようで、翌朝8時頃には全てなくなっていることも多いそうです。

何に使うのかというと、魔除け・厄除け・災難除け・無病息災のお守りです。
半紙などに包み、水引をかけて玄関などに吊るしておくと良いと言われています。

他にも、細かく砕いて粉末状にしたものを少量服用すると、持病や腹痛に効くとも言われているようです。

最後に

ご先祖様の霊を送るために灯される大文字焼き。京都にある五山の送り火だけではなく、様々な場所で見ることができます。

確かに宗教的な儀式ではありますが、ご先祖様への感謝の念は宗教に関係なく持っていると思います。もし近くで開催されているのであれば、一度見に行ってみるもの良いのではないでしょうか。
夏の夜空に浮かび上がる炎でかたどられた文字は、きっと幻想的で素晴らしいと思いますよ。

 

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