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なぜ?日本語は七五調になったのか

 

素敵な日本人の感性

こんにちは。

今日は、二十四節気の「芒種」、七十二候では「腐草(ふそう)蛍となる」。

蛍を見かけましたか?

都会では難しい現代ですね。

「川ばかり  闇はながれて  蛍かな」(加賀千代女)

街灯などなかった当時、川の周辺は想像以上に暗かったでしょう。

それこそ深い闇かも。

ただ蛍の明滅によって川の両岸はそれと知れたでしょうね。

その狭間に、漆黒の闇が流れていて。

現代ではなかなか想像できない光景でしょうか、でも、ついこの前までどこでも感じたのでしょうね。

さて、俳句でも和歌でも、どうして七五調なのでしょうね。

斎藤孝さんの「日本人は何を考えてきたのか」のご本にこのように書いてありました。

 

万葉集を英語で読むと

アメリカ生まれの日本文学者・リービ英雄さんの著書に「英語でよむ万葉集」(岩波新書)という好著があります。

日本人にとってもなかなか難解な万葉集の歌を、非常に上手に英訳したもので、むしろ日本語の歌を詠むより歌の内容がわかりやすくなっています。

たとえば、次の歌を英訳と共に読んでみましょう。

「田児の浦ゆ うち出でてみれば 真白にぞ 不尽の高嶺に 雪は降りける」

→田児の浦から出て見ると、真っ白に富士の高嶺に雪が降っていたことだ。

(山部赤人、巻3・三一八)

Envoy to

Poem on viewing Mount Fuji

by Yamabe Akahito

Coming out

from Tago’s nestled cove,

I gaze:

white,pure white

the snow has fallen

on Fuji’s lofty peak.

 

和歌を英語に翻訳するとき、和歌の形式通り五七五七七という音節を守って訳すのが理想なのですが、それが非常に難しいことがリービ英雄さんの訳を見るとよくわかります。

英語と日本語では音節の捉え方が異なるからです。

 

 

七音と五音のリズム

 

日本の詩歌の最大の特徴は、七五調と言われる七音と五音のリズムを繰り返す形式です。

日本語は、基本的に一音(拍)ずつ区切られるため、五七五七七とか五七五というように数えやすいという特徴があります。

こうした定型より一字でも多いと「字余り」と言い、少ないと「字足らず」といいます。

このように言葉の「数」を重視という特性は、日本の詩の発達を考えるうえで非常に重要なことです。

では、日本人にとって非常に心地よく感じられるこのリズムはどこから生まれたのでしょう。

 

日本語の「2n+1」という基本公式

 

作家の井上ひさし(1934-2010)さんは「私家版 日本語文法」(新潮文庫)という著書の中で、日本語が七五調のリズムを刻むようになった理由として、日本語には「2n+1」という基本公式があると述べています。

ヤマ、カワ、ウミ、ソラ、トリ、ウオ、イネ、ハナ、フク、カネなど、日本語の基本単語には二音節のものが多い。

一方、これらの二音節の言葉の上にかぶせられる枕詞は圧倒的に五音である。

すなわち合わせて七音。

他方、二音節の言葉が助詞群(一音多い)で繋がれ、[2・1・2]、あるいは[2・2・1]で、五音となる。

こうして七音と五音が日本語の基本の韻律となった。

(『私家版 日本語文法』)

日本語はリズムになろうとする前にまず二音ずつの音塊になるといった。

これが正しければ、自然に七五調は「日本語の宿命」ということになるだろう。

すなわち「2n+1」が成り立つからである。

二音の塊りがいくつかに助詞ひとつ、これを数式にして「2n+1」なのだが、このnが二個であれば五音、三音なら七音が得られる。

(前掲書)

 

一音一音に意味がある

 

日本語が七五調になった理由はこれだけではないとは思いますが、二音が基本となっているというのは興味深い指摘です。

日本語は一文字=一音とはっきりしているだけでなく、その一音一音に意味があります。

たとえば、大和言葉における「み」や「ち」という言葉(音)は、霊魂や神といった霊的な意味を持っています。

雷の神である「いかづち」の「ち」、海の神である「わだつみ」の「み」、これは神を表す神聖な言葉です。

事実、漢字が日本に入ってきたとき、日本人は「ち」という音に霊魂の「霊」や命の源である「血」という字を当てています。

この「ち」や「み」という言葉は、日本の神という言葉が入ってくる前から用いられていた抽象的な概念です。

大和言葉ではさまざまなものに宿る霊性を表わすとき、「〇〇み」や「〇〇ち」としたのではないでしょうか。

海の神様は、海を意味する古語「わた(わだ)」+「み」で「わだつみ」。

山の神様は、「やま」+「み」で「やまづみ」。

食べ物の神様は、食物を意味する古語「うけ」+「ち」で「うけもち」。

このように日本語では意味を持つ一音一音を組み合わせることで、言葉を増やしていたと考えられるのです。

そうして二音の言葉が数多く生まれ、その二音を助詞でつなぐことで五音と七音のリズムが自ずとつくられていった、というのが井上説です。

 

 

ありがとうございます。

日本の古典には、日本人ならではの感性や知性、あるいは日本人として持つべき常識といったものが込められています。

つまり、細かく説明しなくても「当然、わかるよね」という暗黙知を前提として書かれていることです。

一般的な散文でさえそうなのですから、三十一文字(みそひともじ)で表現しなければならない和歌では、そうした暗黙知を前提とした省略はさらに加速します。

そして、上記のように七音と五音、「2n+1」の法則。

知れば知るほど、日本語って素晴らしいですね。

 

今日も最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

日本語って、日本の文化そのものかもしれませんね、もっと学ばなければ。

 

 

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