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光と闇

言葉では表現できない空間

こんにちは。
昨日の仲秋の名月、本当に美しかったですね。
私は浄住寺からすべての電気を消して、闇の中で名月を楽しんでいました。
月の光がとても神々しく、庭の池にも映しだされ、流れる雲、聞こえてくる風の音、闇と光、言葉では表現できない空間でした。
さて、「WAGO 第25号」は「光を求めて」大特集です。
その中の写真家 稲田美織さんのお話しから。

ありがとうを世界中に
Arigato all over the World

 

夜の神域

神事をとり行う際の、けがれのない清らかな闇は、神域の森を静かに包んでいた。
そしてそのおまつりが行われる場所には松明の光が丸い光の空間を創り出している。
時々、松明がパチパチとはぜる音は、夜の静かな神域に響きわたり、無条件に心が満たされた。
まるでDNAにある古代の記憶がよみがえるかのように。
夜の神域は、昼間のそれとは全く違うものだった。
その森のあちこちにはあらゆる生命がざわめいていて、自分自身も体中の感覚がどんどん研ぎ澄まされてゆくようだった。
そして自然の一部となって、見えないそれらの呼吸に自分の呼吸が重なってゆくような感覚がした。

 

「闇」

「闇」という漢字は、なぜ視覚的な表現であるのに、「門」という漢字の中に聴覚的な「音」という字が使われているのだろう。
調べてみると、漢字の多くは成りたちの上で、形成文字と呼ばれていて、形成文字というのは、意味を表す部分と発音を表す部分との2つの要素から成り立つ漢字ことをいう。
発音といっても、漢字が作られたころの古代中国の発音なので、日本での音読みとは少し違うかもしれない。
また音だけではなく、意味を同時に表すこともあり、「音」は「視覚によらない」という意味がある。
さらに言えば、「闇」は本来、「門」を閉じて光が入らない状態、視覚が効かない状態を表していたということだろうか。
光がなくても音がある、まさに浄闇(じょうあん)の中では、静寂が音を囲んでいて、普段は聞こえないような微細な音を、神経研ぎ澄まして聞いていたような気がする。
「暗」という字は「日」が付いていることにより、「闇」よりは明るい状態を表す。
また「明」は太陽と月が両方出ているので明るいのだ。
普段は気にせずに使っている漢字の成り立ちを良く見ると、とても興味深い。

 

生かされている

私たちは人間が作物を作っているように思っているが、実は全ては自然が生み出してくれていて、人間はそれに少しだけ、手助けをしているのに過ぎないのだと思う。
太陽、大地、風、水、あらゆる自然が命を生み出し、育んでいる。
それによって私たちは生かされているのだ。
神宮の神さまの山でも、式年遷宮のご用材を育てているが、木の成長には、肥料より太陽の光がより大切であるという。
そのために神宮営林部の方々は、一本の木に対して植樹をし、枝打ちや下草刈りを行い、五世代にも渡り、木々の成長を助けている。
特に神宮では隣接木が大木候補樹に触れた時にその木を伐採して、太陽の恵みを木に十分浴びせる「受光伐」という方法が取り入れられている。
木の根っこは地上の枝より地中に広がっている。
そこには小さな無数の生命が動き回るので、広葉樹の落葉により腐葉土は一層ふかふかの土壌を作り出していく。
そして、緑の水がめとなって、雨の水を蓄えてくれている。
神宮の山の半分は天然の森で、特に源流から湧き出した五十鈴川の両岸60メートルの森は水を美しく保つため、あえて一切手を入れないのでという。
その天然の森は光に溢れ、風も通る本当に気持ちの良い森だった。

 

ありがとうございます

世の中は混とんとしていて、理不尽な事件が起こり続け、絶望的な気持ちになるときもあるが、闇が存在しているからこそ、光が見えるのだ。
明るく清らかに輝く、自然界では闇も存在の一つであり、その中でいかに清らかな光に向かって生きてゆくのか、それがとても大切なように思った。
16日は神宮の神嘗祭。
改めて闇夜の神事、そこに浮かぶ闇と光を感じてみたいと思います。
自然のままに、あるがままに、本当に大切なことをもっともっと大切と思えるように。
「ありがとうございます」と思えるように。

今日も最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
これからもみなさまと一緒に、この世の中が笑顔あふれる毎日となりますように、精進していきましょう。

 

この星が笑顔あふれる毎日となりますように。
Hope there will be a smile everywhere, every day.
これからの子供たちに幸せな世の中となりますように
Wish the world will be full of happiness with children.

#ありがとうを世界中に
#ArigatoAllOverTheWorld

 

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