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高千穂神社 後藤宮司のお話し3

この日の夕方 「着物」のお話しから

こんにちは。
11月2日に高千穂神社に参り、後藤宮司とご挨拶をさせていただき、その後、境内へ。
境内や周りを散策させていただいた後、改めてお礼のご挨拶に伺うとお部屋にお通しいただき、下記のすてきなお話を。
本当にありがたいことです。
後藤宮司さま、奥さま、ありがとうございました。
高千穂神社 後藤宮司のお話し高千穂神社 後藤宮司のお話し2はこちらから)

ありがとうを世界中に
Arigato all over the World

 

 

<葉室>
今の女性の着物は大変ですよね。
男は単純にまとって締めればいいですけど、女性は一人で着るのが大変です。

<後藤宮司>
どこの国でも民族衣装というのは素晴らしいですけど、日本の和服、特に女性の着物というのは優美ですよね。

<葉室>
やはり世界中からも美しいと思われる着物です。
それが、昔は麻、そしていつからでしょうか、絹というものが生まれて着物などになり、自然のものを大切に用いています。
昔はどの国でも衣装はそうでしょうけれども、麻と絹をこれだけすてきに施すというのは、日本の美、美しさの一つかなと思います。

<後藤宮司>
そうですね。
そして、外国の衣装も素晴らしいんでしょうけど、着物は衣紋掛にかけた時に絵になりますし、折り畳めば箪笥にスッと入りますね。
やはり外国の昔の貴族の女性の衣装というのは、屋敷が相当広くないと収容しきれませんよね。

<葉室>
仰る通り違いますよね。
着物は掛けるとそこで絵になります。
作り手さんの思いが柄になりますし、もっと細かく言えば、何人かの手を経て着物が出来上がるではございませんか。
そこには、一人一人の作り手さんの思いがこもって一つのものが出来上がる。
今のように機械でバーッと流してボンじゃなくて、当然、時代の流れの中で当たり前の事かもしれませんが、やはり一人一人の思いが重なって重なって一つのものが出来上がります。
だから、「ものを大切にしましょう」ってあまりにも当たり前すぎる言葉が自然とできるのですね。

<後藤宮司>
若い女性が、「これはおばあちゃんの着物です。」と言っていたのを聞いた事があります。
あんなに世代を超えて着ていけるわけですから、素晴らしいと思いますね。
以前、東京である女性の方の本の出版祝賀会があって、その近くに有名な六義園という公園がありましてね、丁度、春先で、枝垂れ桜で有名なそうです。
残念な事に、私が行った頃はまだ開花してない時期で、「残念だな」と思ったのです。
そうしたら、その女性の方が枝垂れ桜のお着物をお召しになっていたのですよ。
それで、「いやー、ここで桜の花を見るような思いがしたな。」と思って、普段はそういう事を言うのは不躾ですけど、「よくお似合いですね。」と言ったのですね。
そうしたら、「おばあちゃんのお下がりです。」って言うのですよ。
素晴らしいなと思いましたね。

<葉室>
本当にそうですね。
三代先の孫までですから。
そういう繋ぎがもうないですね。
私たちの年代も結婚の時には、まだ桐箪笥に着物をつめて嫁入り道具の一つとして戴くということがありました。
うちの家内との時もそうでしたけど、もう着ることなく箪笥の肥やしとなっていてもったいないですね。

<後藤宮司>
そうなんですか。
なかなか簡単にパッと着て出かけるというものでもなくなってしまったものですから、そうですね。
でも最近、コロナのせいでテレビ制作が出来ないのか、古い時代劇の映画なんかをやってることがあるでしょう。
女優さんが着物を着て出てる姿を見ると、やはり日本的なたおやかな美しさを着物姿には感じますね。

 

 

<葉室>
美しさが違いますね。
着物は日本人だから似合うものだと思います。
やはり絹を着る肌触りとか、色々な点で絹って素晴らしいなと思います。
また、献上物としたら麻と絹じゃございませんか、そういう形でも大切にしていきたいです。
でも、今、麻は日本国内での生産が殆ど出来ない事になってます。
戦後にGHQから禁止されたのですよね。
車は石油で走ってますが、その前、昔々は、麻から絞ったオイルで車を走らせたそうですね。
麻には素晴らしいことがたくさんあります、なおかつ日本中で生育出来るということで、GHQはダメにしたのではないでしょうか。
だから資源のない日本になってしまったのでしょうか。

<後藤宮司>
嬉しいニュースですけど、麻が大分作りやすくなったそうです。

<葉室>
少しずつ許可がおり、麻の栽培が広まればよろしいですね。

<後藤宮司>
私達が子供の頃は、まだちょっとの間、麻とか、それから桑畑とか沢山ありました。
麻は、漫画の中で忍者の子供が飛び越える練習をするのに使うというようなのがありました。
麻は成長が早いでしょう。
だから、忍者の子供が毎日飛び越えて、高い所でもポンと飛べるようになるというのを漫画で見たことがあります。
それに麻はスーッと伸びてるのですよね、あの頃、遠くから見ても風景としても良かったです。

<葉室>
春頃で、育つのが3~4ヶ月。
それに、神社のしめ縄など多くが麻でございますよね。

<後藤宮司>
そうですね。
よくは知りませんが、お伊勢様のお札を神宮大麻と言いますよね。
麻には浄めの力があるという信仰があって、神主のお祓いの時も麻ですね。
高千穂の神楽は、古い所は、古い時代に作られた大麻による「御幣」を今も使っています。

<葉室>
麻からは、やはり素晴らしいものが出来ますね。

<後藤宮司>
ちょっと面白い話で、面白いと言ったらいけないけど、私の友人に話したら大笑いしたことがありまして。
私がまだ若い頃、神社の御札所で夕方遅くまで仕事をしてたのです。
すると、人気が少なくなった頃、ちょっと薄暗くなる頃に顔色の悪い男の人がやって来まして、「ここで大麻を売ってるんですか?」と言うのですよ。
だから、「はい。ございます。」と言ったのですね。
「いか程するんですか。」と言うから、あの頃は神宮大麻は500円の時代ですから、「500円です。」と言ったら、「そんなに安いのですか。」と言うのです。

<葉室>
すごいやりとりですね(笑)。

<後藤宮司>
はい(笑)。
私がお札を渡したら、「あ、これですか?」と言うのですよ。
「じゃ、結構です。」と言われました。

<葉室>
粉になっている物のおつもりでその方は仰ったのでしょうか。
面白いですね。
でも、あり得ますよね。
神社で当たり前に大麻という言葉で堂々と出しますからね。

<後藤宮司>
大麻大麻と、「大麻あります」と書いてたもので。

<後藤宮司の奥様>
「お導きを頂いて下さい」って渡さなくてはいけませんでしたね。

<葉室>
でもそうですね。
これでまた今日一日、良い方にね、という話になりますよね。

<後藤宮司>
私は一瞬意味がわからなくてですね、狐につままれたような気分で、そこまでの指導力はなかったですね(笑)。
でもやはり、仰ったように、昔から日本の自然の中に根付いたものを工夫して改良して利用しながら、装束にしても何にしても、いろいろな文化の良いものを残しておきたいですね。

 

 

着物

<葉室>
本当にそうだと思うのです。
着物をみなさんが着れるようになったらいいかなと思うけど、それは難しい事だと思います。
でもやはり、楽しい時に着せて貰う事でも結構なので、何かの時には着る。
1年に2~3回でもいいから着るという機会を皆さんが持ってくれるだけでも違うなぁと思います。
自分がこんな事を言うのも、自分もいい歳になってきたから、多分着物の事も言ってるのだろうと思いますけども、若いうちはなかなか着物は。
京都でも色々な方々が着物を普通に着てらっしゃるのを見るのですけど、やはり、それはお茶かお花のお稽古ごとのお席に上がるための着物を着てるというようで、多分、普通に街をブラブラと着てる人は少ないのかもしれないです。

<後藤宮司>
着物はやはり高価で、女性にとって気安く買えるというものではないですね。
そういう事もあって敬遠されたというか、そういう事もあると思うのですが、以前よくお参りに来られた娘さんは、広島の方ですけれど、休みの日は京都に行って古着店の着物を見つけて買って歩くのが楽しみだったらしくて、いつも来る時は広島から着物を着て来られました。
結構そういう着物ファンというのは今でもいらっしゃるのですね。

<葉室>
古い着物を売ってる所で、現代物ではなくて昭和初期とかの着物とか見ますと、それはまた手の込んだ手作りのものがたくさん残っているではないですか。
それはそれは美しい着物。
それは高くても5万円くらいまでであったりします。
でも、本当に素敵です。
先程仰っていた、季節に合わせた柄がいっぱいあるではないですか。
その季節が訪れる少し前にもう着ましょう。
そういう日本人の思いってすごいなと思います。

<後藤宮司>
よく年配の女性の方から、やはり自分達が年をとってきて、特に子供さんがいない方などは、親から戴いたり作って貰った着物も、どう処分したらいいか、ポッと捨てるのもなんだしとかいう相談を受けた事があります。
それは持っていく所に持って行くと重宝がる人がいると思いますけどね、と言うのですけど、なかなか都市に住んでいると、身近にそういう所がないのでしょうね。
難しいと思いますね。

<葉室>
もったいないですね。
もう、今は古着屋さんが買うという事が増えてきているのかなと思いますし、逆に言ったら、自分の持っている着物を市場というかネット上に出して、買いたい人が値段を付けて買うという、これもこれからあり得ると思います。

<後藤宮司>
それでも着物が残っていけばいいですよね。

<葉室>
はい、そう思います。
箪笥の肥やしではなくて、着る為の物として流通が動けば。

 


(この絵は、マークエステルさんが高千穂神社を書かれて奉納された絵です)

 

ありがとうございます

<後藤宮司>
葉室さんにしてもそうですけど、やっぱり若い時だけに着る着物ではなくて、高齢者になってもその人に似合う着物というのがありますし、それぞれの年代でそれを楽しんでね。
贅沢ですけど、時には季節にちょっと合わせてみるとか、それが出来ると、そして、そういう場を作る事が大事ですね。
人と楽しくお会いする機会とか、お茶とかお香とか色々ありますけど、それだけじゃなくて、もうちょっと身近にそういう人間の昔のコミュニティの中での場とかあるとね。

<葉室>
今のお話いいですね。
もし、またお時間があって、例えば京都へ他の御用でも結構でございますから、午後ちょっと空ける時間とか戴けたりしたらば、「宮司様が来られるから、皆さんお話を聞きに着物で来ない?」と、そういう風な「着物で」って作っちゃったら、それはそれでよろしいかと思いますね。
行ってみたいけど私だけ着物で行ったら恥ずかしいなっていう方もいっぱいいらっしゃるので、着物で集まるっていう場を作ったらと思います。

<後藤宮司>
それは、良いと思いますね。

<葉室>
そういう催しなどを色々としてみたいです。

 

後藤宮司、すてきなお話しをありがとうございます。
本日も最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

 

この星が笑顔あふれる毎日となりますように。
Hope there will be a smile everywhere, every day.
これからの子供たちに幸せな世の中となりますように
Wish the world will be full of happiness with children.

#ありがとうを世界中に
#ArigatoAllOverTheWorld

 

 

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